暗号通貨の代表格であるビットコインは価格の変化が注目されがちですが、ビットコインは買い物やサービスの決済手段としても使えます。現在はビットコインの支払いに対応しているお店はそれほど多くはありませんが、ビットコインのデビットカードを使えばビットコインの支払いに対応していないお店でもビットコインのデビットカードで決済が可能です。今回は、この「ビットコインのデビットカード」について解説します。
それぞれのカードの違いについて
クレジットカードやキャッシュカードは一般的ですが、デビットカードはこの2種類ほど一般的ではありません。そこでまずは、おさらいの意味も含めてそれぞれのカードの種類の解説から始めていきます。
クレジットカードは銀行口座に残高が無くても買い物の支払いが出来るカードです。買い物をした代金は翌月に銀行口座から引き落とされるため、いわば借金をして買い物をしているようなものです。そのため、買い物をする時には銀行口座や手元にお金がなくても決済することが可能なのです。
次にキャッシュカードですが、これは銀行口座へ現金を入金したり引き出したりするためのカードです。また、自分の口座から公共料金などの支払いをすることも可能です。しかし、買い物の支払いをすることは出来ません。
デビットカードは銀行口座に直結したカードで、クレジットカードとは違って買い物をしたその瞬間にデビットカード決済で銀行口座から代金が引き落とされます。そして、デビットカードは預金残高を超えた支払いは出来ないことが特徴です。また、デビットカードの支払い回数は一回払いのみとなっています。しかし、クレジットカードでは審査がありますがデビットカードでは審査がないことも特徴です。
ビットコインのデビットカードとは?
ビットコインのデビットカードとは、ビットコインの仕組みとは何ら関係が無いことが特徴で、プリペイド型のデビットカードとウォレット型のデビットカードの2種類が存在します。まずプリペイド型のデビットカードですが、事前にビットコインを日本円に換金してからデビットカードに入金しておくという仕組みになっています。
次にウォレット型のデビットカードは、ビットコインを保管しているウォレットと直結している仕組みになっています。そのため、何度もビットコインを日本円に換金する手間を省きたい方に向いていると言えます。なお、ウォレット型のデビットカードは、使用したタイミングのレートでビットコインが換金されるという流れでデビットカードでのビットコインの支払いが行われます。
ウォレット型のデビットカードは手間が省けて便利なタイプですが、一度の支払いで使いすぎないように気をつける必要があります。そのため、デビットカードの使いすぎが心配な場合にはプリペイド型のデビットカードを選ぶ必要があります。
日本で使えるビットコインのデビットカードには、「バンドルカード」や「マネパカード」があります。これらはVISAやMasterCardの加盟店での支払いに使うことが出来ます。つまり、直接ビットコインでの支払いには対応していないお店でも、ビットコインのデビットカードであれば日本国内の多くのお店で支払いが出来るということになります。以前はこの他に、海外のデビットカードである「ワイレックスカード」や「サポカード」もありましたが、カード発行会社であるWaveCrest社は2017年10月15日付けでヨーロッパ以外でのサービスを終了しました。そのため、現在ではこれらを使うことは出来なくなりました。
日本で使用可能なビットコインのデビットカードの特徴とメリット・デメリット
日本で使用できるビットコインのデビットカードにはバンドルカードやマネパカードがありますが、それぞれの特徴やメリット・デメリットを見ていきましょう。まずバンドルカードですが、VISA加盟店で使えるデビットカードです。国内の取引所であるCoincheckと提携しています。また、街中の店舗で使用するには300円で発行される物理的なカードが必要になります。
メリットとしては日本語表記されている点や、電話番号と生年月日で簡単に登録出来ることが挙げられます。デメリットは入金できる金額に上限があることです。1回にチャージ出来る金額は30,000円が上限で、1ヶ月では120,000円が上限となっています。また、残高の上限が100,000円となっているため、大きな金額の買い物が出来ないこともデメリットと言えます。
次にマネパカードですが、こちらも国内の取引所であるZaifと連携しています。そのため、Zaifに口座を作ることが使用する条件となります。そして、MasterCardの加盟店での支払いが可能。また、日本円以外に5つの通貨に交換が可能で、米ドル、豪ドル、香港ドル、ユーロ、英ポンドに交換出来ます。
メリットは、年間の維持費や発行手数料が掛からないことと、日本円以外にも交換が可能なため海外でも利用しやすいことが挙げられます。しかし、チャージの反映が当日の16時になるため、すぐに利用出来ないことがデメリットになります。そして、チャージ出来る上限が1日で100,000円のため、この点も注意が必要。
デビットカードにチャージした時点で課税の対象になる
ビットコインのデビットカードを使用する上では税金についての理解も必要です。2017年9月6日に金融庁の公式発表により、ビットコインなどの通貨で得られた利益は「雑所得」となりました。つまり確定申告の必要があるのです。
また、課税されるタイミングは、日本円に換金した時になります。この時に購入した金額よりもビットコインなどの価格が上昇していれば、「利益確定」と判断されます。
デビットカードのバンドルカードやマネパカードを使うには、ビットコインから日本円に換金してチャージすることになります。デビットカードの場合には、このチャージしたタイミングで課税の対象となります。そのため、買い物の支払いにビットコインのデビットカードを使った、又はチャージした場合にはその時点で税金が発生することを覚えておかなければなりません。
もし、購入したときよりもビットコインの価値が上がった場合、バンドルカードやマネパカードにチャージしたしたとしてもその時点で課税対象となるため、税金から逃れることは出来ません。つまりこれは、ビットコインのデビットカードは節税対策にはならないことを意味します。ここで注意しなければならないのは、ビットコインを始めとした暗号通貨に関する税法はまだハッキリしていないということです。そのため、金融庁からの公式発表など、暗号通貨に関する情報には常に注目しておくことが重要です。
ビットコインで支払いをしたい場合には、デビットカードが手軽な方法
ビットコインなどの暗号通貨は新聞やニュースで取り上げられて多くの人が注目していますが、それはあくまでも投資対象としての側面が強いと言えます。しかし、代表格とも言えるビットコインは、決済手段としての一面も持っています。実際に決済出来る店舗は少ないのが現状ですが、デビットカードがその問題を解決してくれます。
デビットカードであれば全国に対応している店舗が数多く存在するため、わざわざビットコインの支払いに対応している店舗を探す必要がありません。また、専用のウォレットから出金する必要もないため、より手軽にビットコインでの支払いが可能です。国内のデビットカードは1日にチャージ出来る金額に上限があるため大きな買い物には向いていませんが、実店舗でビットコインを使って支払いをしてみたい場合には、デビットカードが手軽で良い方法と言えます。