最近メディア等で多く使われる言葉“フィンテック”。フィンテックが現在の金融経済に革命をもたらし、国家や社会だけでなく個人の経済成長に大きく作用して貢献すると期待されていますが、まず初めにフィンテックがどんなものなのか?という事がわからないと話が始まりません。

フィンテックがどんなものであり、フィンテックにより私たちの生活やライフスタイルがどう変わるのかを紹介し、今後のフィンテックの進展と仮想通貨の関係をご紹介します。

フィンテックの意味

フィンテックとは金融finance(ファイナンス)と技術technology(テクノロジー)を合わせて作られた言葉です。日本では2014年くらいに各メディアや新聞等で登場したフィンテックですが、海外ではその前からすでに使われています。

古くはフィンテックは、その金融機関や企業体が独自に持っていた会計や勘定システムの事や、営業店舗や情報システム(支店やATM)のことにも使われていましたが、現在のフィンテックの使われ方としてはITを活用した革新的な新しい金融サービスの形態やそれを実現する為の技術などの意味に使われています。フィンテックは造語ではありますが十分に海外でも通用する言葉です。

なぜフィンテックが盛んになってきたのか?

前述でも述べたように、従来のフィンテックの形では金融機関ごとの支店やATMの設置を増やしたりする事で利便性を図っていました。コンビニATMとかは新しいといえますが、こういった従来の金融システムの展開では、新たに情報システムを構築したり、支店やATMを増やしたりと時間とコストが莫大にかかってしまいます。古くからある金融機関であれば比較的容易ではありますが、これでは新たに立ち上げた金融機関や、金融業界に新規参入の企業にとっては大きな障害となってしまいます。さらに私達利用者にとっても既存の金融サービスしか選択肢がなく、新しいサービスや有益なサービスがなどが受けづらくなっていました。

しかし、昨今のIT技術の目覚ましい進歩により、世界中の人々は様々な価値観が生まれ、その波は金融機関の変革や様々な金融サービスを生み出し、今まで不可能だったことがフィンテックにより実現できるようになってきました。その一つとしてスーパーコンピューターの存在があります。

スーパーコンピューターの登場によって、端末(パソコンやスマートフォンなど)から送られてくる膨大な情報を瞬時に計算し解析できるようになりました。これにより、顧客が求めているものやサービスを速いスピードで知る事ができ、サービス提供業者側がすばやく提供する事が可能となりました。他にも人工知能の能力向上やスマートフォンの爆発的な普及によって様々な金融サービスや新しい決済方法、金融商品などが誕生しています。

フィンテックでどう変わるのか?

フィンテックの向上により、私たちの生活はこれまで以上に便利な世の中になります。煩わしかった作業や手間、人を雇わなければできなかった作業がフィンテック向上により革新的に変わります。

フィンテックの代表的な例を挙げますと、自動で家計簿が作れるクラウド家計簿があります。今まで買い物のレシートや銀行から引き落とされていた通帳を確認しながら、手書きで家計簿をつけていた手間が、電子マネーやクレジットカードの利用に変える事によって自動的に家計簿を作ってくれるクラウドサービスがあります。

また、株価や金融商品といったものの変動を人工知能で判断し、与えられた条件で的確に自動投資してくれるサービスや、クラウド会計ソフトを使って会社の経費を一元管理して、税務申告の際などにデジタル申告で簡単におこなう事が可能となっています。

もっと身近なところで言えば、飲み会等で割り勘にしたときに幹事さんは沢山の人数のお金を回収したり、細かいお釣りを用意したりと大変です。スマートフォンで割り勘アプリなどを使えば、そういった煩わしい手間もかからずに宴会の決済が可能です。

現在はIT技術の進歩、特にスマートフォン普及に伴って、私たちは簡単に情報を手にする事ができる様になりました。それにプラスしてフィンテックの活用は、金融サービスを提供する側、受ける側にとっても迅速な決済や決定を可能とすることができ、多くの利用者の価値観の変革を早める事に寄与しているのです。

フィンテックで仮想通貨はどうなるのか?

フィンテックによって変わる世界の金融と経済このようにフィンテックによって、私たちの生活における決済や会計といった身近なところから、融資や資金運用といった金融サービスすべてのものが、ほとんどコストをかけずに簡単にできてしまいます。ある意味コストとは壁といってもよいでしょう。それをフィンテックによって壁を取り除き私たちの大変身近で便利な物に変えてくれます。

仮想通貨に関しても、フィンテックによって生み出されたといえる代表的なものの一つ。ブロックチェーンと呼ばれる仕組みで通貨としての信頼を保っているもので、すでに大手家電販売店では仮想通貨での支払いが可能ですし、その他のサービスも徐々に拡大しつつあります。今後は仮想通貨は現金にとって代わる存在になるかもしれません。

これまで説明した様に、フィンテックにより壁が取り除かれ、融資や資産運用が誰でも簡単に出来る様になれば、仮想通貨の運用も今以上に多くなるでしょう。しかし、仮想通貨に対しての不安や恐れを抱く人も多くいます。仮想通貨が犯罪組織の資金に利用されたり、詐欺まがいの事案も多くあるのは確かです。

これに対して、各国で様々な仮想通貨の法規制や対策を出しています。日本においても仮想通貨の法的な規定や、仮想通貨を取り扱う企業の監視と監督。仮想通貨利用者の保護などの法律「改正資金決済法」が2017年4月1日より施行され、仮想通貨に対する機運が高まったのは記憶に新しいところです。

フィンテックによって今後の仮想通貨と世界は?

フィンテックによって、金融サービスの流れがスムーズになるのは確かなことで、それに伴い様々なアイデアが現実化するようになります。世界各国はこのフィンテックの向上が経済発展の重要なカギと考えている国は少なくはありません。

例えばイギリスでは国を挙げてフィンテックの支援に回っており、新しく金融サービスを開始する企業などに対し、どういったサービス内容が規制の対象になるかなど事前にサポートを行ったり、規制の調整などを率先して政府機関や担当監督庁で行っています。

また、今や世界の金融センターであるシンガポールでも、金融管理局が中心となってフィンテック推進の姿勢を前面に出して、金融テクノロジーの活用と環境整備に力をいれています。

各国がこの様にフィンテックに対して力強く支援を行う訳は、画期的かつ革新的なフィンテックを創出する事により、自国の金融市場の活性化と競争力の強化につながると考えているからです。

日本も銀行に対しての規制緩和や、前述の改正資金決済法の施行などで巻き返しを行っているますが、世界各国に比べて出遅れている感は否めないところです。

フィンテックの向上により、従来の金融サービスをより便利に利用できるようになり、これまで縁遠いと思われていた金融商品や仮想通貨なども、ずっと身近になってくるでしょう。それこそがフィンテックの目的です。

現金を持たずカードだけで支払うようになり、今はスマートフォンだけで決済が出来ます。近い将来は何も持たずに、指紋認証や光彩認識によって支払いができる世の中がすぐ近くまできています。こうした世界の流れは止まる事はありません。フィンテックによって金融の価値観が変わり、世界がもっと近くなる事でしょう。