LINEが開設する仮想通貨取引所BITBOXとは
2018年6月28日LINEが仮想通貨取引所のBITBOXを7月から運営することを発表しました。BITBOXの運営はシンガポールに拠点を構えているLINE Tech Plus社が行い、BITBOXにて取り扱う仮想通貨はビットコインやビットコインキャッシュそしてイーサリアムやライトコインなど30種類以上となり、取り扱う仮想通貨の種類は運営を開始後に順次追加されていく予定になっています。そしてスプレットは0.1%とする予定なので大変に魅力的なのですが、日本やアメリカに居住している人は対象外となっていて、日本とアメリカを除く全世界を対象に展開していくことになっていますし、対応する言語は日本語とタイ語以外の15種類の言語に対応しています。
ただBITBOXは仮想通貨と仮想通貨を交換する取引所となり法定通貨との交換は行わないため、法定通貨で仮想通貨を購入することが出来ません。
そのため実際にBITBOXで仮想通貨の取引を行うには他の取引所からビットコインなどを移してから、そのビットコインで他の仮想通貨を購入するなどの方法をとる必要があります。
仮想通貨取引の6割を占める日本人を除外する海外の取引所
このようにLINEは日本やアメリカに居住している人の取引を拒否していますが、実は現在ビットコインの取扱いを行っている国の6割近くが日本の取引となり、次に多いのが全体の21%程を占めているUSDTと呼ばれる米ドルと同一の価値を持つペッグ通貨、そして次が全体の13%程を占めている米ドルとなっていて、ここまでで全体の9割以上を日本や米ドル系が占めています。
しかし日本に居住している人の取引を拒否している海外の取引所がここにきて増えてきていて、例えば香港に拠点を構えているKuCoinは日本居住者に向けたサービスの停止を6月28日に発表しましたし、クラーケンやHitBTCそしてHoubiProやBigONEが同様に日本居住者向けのサービスを停止することを発表しています。このようにここにきて日本居住者向けのサービスを停止する海外の取引所が増えてきている原因は、日本で営業している認可を受けている業者でも業務改善命令を出してしまう金融庁の厳しい対応が大きく影響していることが想定されます。
その結果海外の取引所は日本人向けのサービスを停止する選択肢を選んだということになるのですが、しかしクラーケンやHoubiProのように体制を整えてから日本人向けのサービスを再開することを目論んでいる取引所もあるため、厳しい日本の規準より6割を占める日本人の取引量が魅力的に映っているということが出来ます。一方LINEが日本人向けのサービスを行わないことも、日本で取り扱っていない仮想通貨を取り扱うなど日本の厳しい規準に対応出来ないことが原因だと推定することが出来ます。
日本人の取引を拒否するLINEの狙いとは
仮想通貨の取引所を運営するという観点から見ると、6割を占める日本人の取引量は魅力的なはずですが、その日本人の取引を拒否してしかも全体の2割以上を占めているアメリカの取引さえも拒否する形で取引所を開設する意味は、LINEが取り組むこれからの方向性に深い関わりがあります。実際仮想通貨の取引所を開設することを発表したLINE CONFERENCE 2018にて出澤社長はLINEトークンエコノミーという構想を発表しました。
具体的にこのLINEトークンエコノミー構想ではブロックチェーンを活用してシェアリングや契約管理などを行い、その結果LINEのユーザーが使用するサービスへの貢献度に応じて独自のトークンを発行するなどの新しい試みが含まれています。これはブロックチェーンは現在仮想通貨の取引の安全性を確保する技術として利用されていますが、それ以外にも広く応用が可能な技術であるとLINEは見ていて、その技術を応用したサービスの提供に主眼を置いている結果ということが出来ます。
しかも日本では普及しているLINEですが世界ではまだまだ低いシェア率となっているため、日本以外の国での利用者を増やしていくことを目的にしていることも推測することが出来ます。このようにブロックチェーンの技術を活用することでLINEの新しい可能性を模索する動きの一貫が仮想通貨取引所の開設となるため、これからのLINEが行う戦略が注目されるところです。