ビットコイン通貨別取引量の推移と急に出現したUSDT

2013年頃から世界のビットコインの取引量で一番多く取引されていた通貨は中国の人民元でしたが、規制が強まるとビットコインの取引量は2017年夏頃から激減してきました。そしてその結果現在人民元による取引はグローバルマーケットで1%以下になっていると中国人民銀行が発表しています。一方人民元の取引量が減少していく中で取引量が増加したのが韓国のウォンと日本の円でした。特に円はテレビCMなどの影響を受けて急増して通貨別取引量のトップに踊り上がりました。

その後ビットコインの先物取引が出来るようになってから米ドルでの取引量が増えてウォンを抜いて二番目に多くの取引量になり、2018年1月頃には円の取引量と殆ど同じ取引量にまで至りましたし、日本ではコインチェックによるネム流出もありましたが円の首位は譲らないでいました。しかし、今年に入って急増して米ドルでの取引量を抜いて円の取引量に迫っている取引通貨があります。それがUSDTと呼ばれる通貨で、2017年までは目立たなかった取引量が2018年7月8日には円の46.8%に次ぐ38.81%の取引量に急増していました。

しかも7月10日には円の取引量を越えて57.51%と通貨別取引量の過半数の取引がUSDTによる取引となり、円での取引量は31.34%にまで減少してしまいました。因みに日本時間の7月11日早朝4時の時点では円での取引量は44.49%となりUSDTでの取引が39.60%となっていて、円での取引が増えて若干USDTでの取引よりも多くなっています。

今年になって急増しているUSDTの特徴とデメリット

円を抜いて通貨別取引量の首位に踊り上がったUSDTですが、このUSDTは米ドルと殆ど同じ価値を持つ仮想通貨になります。つまり一般の仮想通貨はビットコインの値動きに連動して米ドルの値動きには基本的に連動しないのですが、このUSDTは理論的にビットコインの値動きに連動しない仮想通貨となります。因みに米ドルなどの法定通貨と価値が同じ通貨をペッグ通貨と呼び、代表的なペッグ通貨に香港ドルがあります。そして仮想通貨での米ドルに対するペッグ通貨がUSDTとなり、その代表的なUSDTがテザーとなります。

テザーはテザーリミテッド社が発行している仮想通貨となり、テザーリミテッド社に法定通貨を預けることによって預けた法定通貨と同一価値のある仮想通貨テザーを与えてくれ、テザーを入金すると同一価値の預けた法定通貨と交換することが出来るという流れになっています。テザーはこのような仕組みのためビットコインなど仮想通貨の価格が大きく値下がりしても影響を受け難いというメリットがありますが、一方今後ビットコインなど仮想通貨の価格が大きく上昇することがあればその動きに付いて行けない可能性があります。

一方テザーは米ドルと同一の価値がありますが、為替の変動は仮想通貨の変動と比べて変動幅が狭いため、仮想通貨の取引に比べて値幅を狙った短期による取引には向いていません。
しかもテザーリミテッド社が管理しているため、倒産することによる混乱が発生するリスクもあります。

USDT急増の原因と今後について

ビットコインの通貨別取引量の推移と急増するUSDTの特徴と今後について結局このような特徴からテザーは変動幅が他の仮想通貨に比べて狭くビットコインなどの仮想通貨に連動しないため、ビットコインの下落によるリスクを避けるためのリスク資産として機能していると推測することが出来ます。ただ7月に入ってからはビットコインの価格は71万円~74万円位で推移しているため、ここにきてUSDTによるビットコインの取引量が急増している原因は7月に入ってビットコインが急落しているからということではなく、テザーがビットコインの価格操作を行っていたのではないかという疑惑などからテザーの注目度が上がり、ビットコインなどの仮想通貨の価格が下落しているこのときにリスク資産としてUSDTによるビットコインの取引を行う投資家が増えたからということが出来ます。

実際テザーリミテッド社は6月25日に2億5,000万ドル分のトークンを準備したと発表されていて、タイミング的にはその後からUSDTによるビットコインの取引量が増加しています。そのようなことから今後は更にUSDTによる取引が増えるといえますが、逆にいえばビットコインなどの仮想通貨のこれからに対して不安を抱いている投資家が多いといえます。しかし単に不安を抱いているだけですと仮想通貨取引から手を引いていくことになりますが、実際はUSDTを取引する投資家が増えていることから、数年後など将来的には上がると感じている投資家が多いともいうことが出来ます。

そこで今は下がっているし今後も下がるリスクがあるためUSDTに資金を入れてビットコインの取引を行っていますが、上がる状況になったなら米ドルなどの法定通貨に変換した後にビットコインなどの仮想通貨を取引するようになると推測することが出来ます。このことからUSDTによるビットコインの取引量が今後どのように推移していくのかは、ビットコインの価格が何時上昇するのかを判断する意味でも注目されます。