日本国内の大手仮想通貨取引所のビットフライヤーが年会費無料のプリペイドカードを発行し、取引所に登録している全ユーザーを対象として抽選で1,000 名に無償配布を行いました。中にはプリペイドカードが発行されたのを知らずに突然届いた荷物に戸惑う人もいたようで、その対応に賛否両論が飛び交っています。

ビットフライヤーVISAプリペイドカードの概要

このVISAプリペイドカードはauウォレットカードの仕組みと同じで、カードに埋め込まれたチップにビットコインのチャージを行い、使用することができます。そしてチャージしたビットコインをVISA対応店で支払いに利用し、残金が足りなくなったらインターネットがある環境ならどこでもチャージできるという利点を持っています。auウォレットカードでは現金とポイントを支払い用にチャージしますが、ビットフライヤーVISAプリペイドカードではビットコインをチャージするという点が大きな違いです。何故このタイミングでプリペイドカードを発行したのか、ビットフライヤーの公式サイトを見るとプリペイドカード発行の経緯について記載がありました。

【原文】
国内最大の仮想通貨・ブロックチェーン企業である株式会社 bitFlyer(本社:東京都港 区、代表取締役:加納 裕三、以下「当社」)は、仮想通貨ビットコインを使って円建てチャージができる、bitFlyer VISA プリペイドカード(以下、「本カード」)を、2017年10月6 日(金)より発行することをお知らせいたします。

当社のお客様は80万人を超え、月間2兆円超の仮想通貨取引が行われております。今般の改正資金決済法施行に伴う国内ビットコイン利用者の更なる拡大を見込み、日常生活において簡単にビットコインを円建てでチャージができるプリペイドカードを発行し、新たな顧客層の開拓と決済に関しての利便性を向上させます。

内容から察すると、昨今では大手取引所の競争心が強まって他社より優位に立とうとしていることから、ビットフライヤーも日本一の取引所を目指して顧客獲得に向けたサービスを拡大しているようにも受け取れます。

ビットフライヤーでプリペイドカードを作るメリット

では、果たしてビットフライヤーのプリペイドカードをわざわざ作るメリットがあるのでしょうか。まずはプリペイドカードのキャッチコピーを見てみましょう。

・入会金、年会費、利用料金無料
・残高はアプリで簡単に確認
・使いすぎることがなく安心
・VISAのマークのお店で使える
・ネットショッピングで使える

カードを発行する際に一番気になるのが維持費の問題です。ビットフライヤーでは入会金や年会費など、利用におけるビットフライヤーの手数料は発生しない為にカード発行のリスクは少ないので、気軽に作ることができます。無料で発行した後の使い道は人さまざまですが、一番にオススメできることはビットコインから日本円へのチャージです。取引所を経由してビットコインを自身の口座へ送金依頼しても、即時対応してくれる取引所は数が少ないので遅い対応では翌日送金になる場合もあります。しかしプリペイドカードにチャージを行う場合は即時反映されるので、すぐに支払いに利用したい時には便利ですね。

カードの使い方と体験レビュー

ビットコインでチャージするプリペイドカードを登録ユーザーに無料配布プリペイドカードを使用する前に、まずはプリペイドカード発行申し込みを行う必要があります。下記のアドレスから申し込むことができますので、発行が済んでいない方は一番時間のかかるプリペイドカード発行申請を先に行いましょう。

■bitFlyer VISAプリペイドカード
https://bitflyer.jp/vpc

プリペイドカード発行申請が終わりましたら、事前準備を行っておくと後の作業が楽になります。

①ビットフライヤーの会員登録
②スマホに『バンドルカードアプリ』をインストール

たった2つの手順で事前準備は完了ですから、とってもカンタンです。後はプリペイドカードが到着したら、カード番号をバンドルアプリに入力してカードの「有効化」を行うことで利用可能となります。有効化を行うにはプリペイドカード到着日から2か月以内に行う必要があるのですが、それを過ぎてしまうとカードが無効化されて使用不可能になってしまいます。プリペイドカード到着後は、すぐにカードの有効化を行ってください。有効化が終わりましたら使用可能となるので、1回3万円、月12万円までのチャージ制限に気を付けてショッピングを楽しみましょう。

筆者が試しに使用してみたところ、プリペイドカードの特性がauウォレットカードと似通っているために、これまでauウォレットカードを使用していた店でプリペイドの支払いを行うとスムーズに取引ができました。バンドルカードアプリをインストールする際に表示されるユーザーレビューも好評価が多く、多くの方に支持されているのが実感できます。使い方によっては、今使っているプリペイドカードの代わりに常用できるほどに便利です。

実際にプリペイドカードが利用できる場所

先ほどauウォレットカードと利用店舗が重なるとお話しましたが、auウォレットをお持ちでない方には利用できる店舗イメージが湧かなかったかもしれません。実際に利用を想定できる場所は、コンビニの買い物やネット通販、家電量販店の少額の買い物です。ビットフライヤーによる使い過ぎ制限のために、3万円までしかチャージができないので高額な買い物には向きません。またVISAデビットの特性でVISA対応店舗の一部では支払い利用ができないということから、VISA対応店舗が多いとはいえ、実際の利用場所は限られてしまいます。社会人からすると多くの方はクレジットカードを利用している為に不便に感じる部分もあるでしょう。しかしビットフライヤーの狙いは、仮想通貨の投資が若年層にも浸透してきたという経緯であり、今回のプリペイドカード発行はクレジットカードを持てない学生などをターゲットにしているものと思われます。

税金対策には使えなくなったプリペイドカード

以前の日本の法律ではプリペイドカードをうまく使用し、タックスヘイブンである海外の取引所からプリペイドカードにビットコインを入金することで、社会人にも恩恵のある税金対策が可能でした。

しかし現在では『ビットコインを使用することで生じた利益は、所得税の課税対象となります。』との文面が日本国税庁ホームページに明記されているため、ビットコインを別の通貨に換金したり、ビットコインで支払いをしたりした場合は全て課税対象となります。この納税義務を違反したことが発覚すると、500万円以下の罰金か5年以下の懲役となるうえに7年前までさかのぼって延滞税を徴収されてしまいます。仮想通貨の動きには国税庁も目を光らせているので、今後はプリペイドカードを仮想通貨の利益節税に役立てることはできません。

プリペイドカードの総評

ビットフライヤーが提供するVISAプリペイドカードは、オリコカードの発行で有名な株式会社オリエントコーポレーションと株式会社カンムがサポートしているので高い信用力があります。また、信用力があるからといってクレジットカードのように借り過ぎる心配が無いので、どんなものか興味本位で作っても損は無いでしょう。今後、プリペイドカードのユーザーが増えることでビットコインを流通、支払いに使用する場面が増える訳ですから、ビットコイン決済対応店舗が増えてますます市場が拡大していくことも見込めます。そのような未来が期待できる、とても魅力的なプリペイドカードです。