仮想通貨を、最も安全な保有方法を使って保管することは、仮想通貨投資を行う上で、非常に大切です。仮想通貨の保有方法によっては、外部からハッキングを受けて仮想通貨が奪われてしまい、大きな損失が出てしまうこともあります。しかし、安全な保有方法で保管することができれば、そのようなリスクを最大限低くすることができるのです。
コインチェックにおいて、XEMが盗まれたことは、仮想通貨投資を行っている人にとって、非常に大きな事件でした。海外の取引所がハッキングされ、仮想通貨が盗まれるということは毎年発生していたのですが、大勢の人が、「仮想通貨を取引所に置いておくことは、安全な保有方法のひとつだ」と考えていたこともあり、まさか日本の取引所が被害にあうとは思っていなかったのです。仮想通貨に投資する場合は、自分の資産をこれからしっかりと守るためにも、仮想通貨の安全な保有方法をしっかりと知り、きちんと管理していく必要があります。仮想通貨の保有方法はいくつもの種類がありますので、その中から一番安全で、利用しやすい保有方法を自分で選ぶことが大切です。
仮想通貨を保管するウォレット
仮想通貨の保有方法を考えるときには、まず「仮想通貨をどこに保管するか」ということを考えねばなりません。仮想通貨を保管する場所のことを「ウォレット」と呼び、様々な種類のウォレットがあります。ウォレットとは、いわばお財布のようなものです。今までは、仮想通貨を購入した場合、取引所のウォレットは仮想通貨の安全な保有方法のひとつであるあると考える人が多かったこともあり、そのまま取引所の自分の口座に置いておく人が多かったのですが、コインチェックの盗難事件以降は、自分で仮想通貨の保有方法についてしっかりと調べる人が増えてきました。そして、「自分で管理することが、最も安全な保有方法である」ということがわかり、取引所から出金し、自分自身で仮想通貨を管理する人が増えてきています。
仮想通貨の取引所では、毎日何百億という取引がなされており、非常に大きなお金が集まっている場所でもあります。ハッカーもそれを知っており、取引所にターゲットを絞ってハッキングをしてくるので、仮想通貨を盗まれてしまう可能性も高くなってしまうのです。実際に、2017年にはウクライナの仮想通貨取引所「Liqui」で、ビットコインが6万枚も盗まれるという事件や、韓国の取引所「ユービット」がハッキングされ、その結果取引所が倒産してしまうという事件が起こっています。
日本でも、コインチェックがハッキングされ、約580億円相当のXEMが奪われるという事件が起きたため、コインチェックのXEMの保有方法はどうだったのかということについて、大きな注目が集まりました。あまりにも大きな被害額だったので、ニュースで連日取り上げられ、「このニュースで仮想通貨というものを知った」という人も多かったようです。この場合、被害額が大きかったものの、コインチェックが全額補償するということで決着しましたが、これはとてもまれなケースです。世界を見ても、ハッキングされた仮想通貨を補償した例は他にありません。取引所においては、保有している仮想通貨をコールドウォレットという、インターネット環境から切り離されたところで保管するのが、一番セキュリティが高い保有方法です。しかし、コインチェックの場合、保有しているXEMの保有方法は、オンラインウォレットによるものが多く、ハッカーがアクセスできる環境に、多くのXEMが保管されていたことになります。
今後、海外はもちろんのこと、日本で取引所がハッキングされた場合でも、補償されない可能性の方が高いでしょう。しかし、今後はこのような大規模なハッキングが多発しているため、仮想通貨取引所としても、仮想通貨の保有方法をオンラインウォレットからコールドウォレットへ大幅にシフトしていくことが考えられます。また、日本を代表する取引所であるビットフライヤーのように、補償制度を設けてはいますが「不正な日本円出金に伴う補償」のみというところもあります。つまり、日本円を不正に出金された場合は補償されますが、例えば、日本円をビットコインに変え、そのビットコインを不正に出金された場合などは、補償の対象外ということになります。このように、仮想通貨が盗まれた場合は補償されないという場合は、やはり自分で一番安全な保有方法を考え、自分自身で管理していくことが重要だと言えます。
仮想通貨の取引所がハッキングされた場合、日本円が不正に出金されるのではなく、仮想通貨を勝手に送金されてしまう場合がほとんどです。口座にあったのが日本円の場合は、勝手に何らかの仮想通貨を買われてしまい、その後犯人のアドレスに無断で送金されてしまいます。よって、日本円の不正出金のみを補償するという、ビットフライヤーの制度は実質あまり意味がないとも言えます。やはり、仮想通貨投資をする場合は、一番安全な保有方法を考え、自分自身で守っていかなければならないでしょう。
仮想通貨を自分で保管するには、ウォレットを利用する
取引所以外における仮想通貨の保有方法は、「自分のウォレットに仮想通貨を送金し、管理する」という保有方法です。この保有方法は、取引所以外の場所にウォレットを作り、購入した仮想通貨をそこに送金する、つまり「引き出しておく」という方法です。万が一、取引所がハッキングに合った時に、預けていた仮想通貨が盗まれてしまうというリスクを減らすことができる、安全性が高い保有方法の一つです。
ウォレットには、ホットウォレットコールドウォレットがあります。ホットウォレットとは、常にオンライン状態にあるウォレットのことで、安全性が非常に高い保有方法とは言えず、リスクがあります。このウォレットは、スマホやパソコンに無料でダウンロードすることができます。オンライン状態にあるということは、外部から侵入される可能性がある、ということを意味します。ハッカーがインターネットの広い世界の中から、あなたのウォレットを探し出してハッキングをする可能性は非常に低いのですが、可能性は0ではないということを理解しておく必要があります。一番安全な保有方法を探している場合は、ホットウォレットではない方法をおすすめします。
ホットウォレットの種類とその違い
ホットウォレットには、「デスクトップウォレット」「モバイルウォレット」「ウェブウォレット」の3種類があります。デスクトップウォレットとは、パソコンに専用ソフトをダウンロードして使うウォレットです。パソコンを立ち上げて、インターネットに繋いでいるときはオンライン状態となりますが、ネットを切断した状態だと、オフライン状態で管理することができ、安全性が高い保有方法です。ただし、パソコンを利用していると、知らず知らずの間にウイルスに感染してしまっている場合があります。気づかないうちにウイルスに感染していて、パソコン内の情報が外部に流出してしまう場合がありますので、ウイルス対策ソフトなどを入れて、セキュリティ管理をしっかりとしておく必要があります。
モバイルウォレットは、スマホなどのデバイスにインストールして使う保有方法です。GoogleplayやApplestoreでは、様々なウォレットのアプリが用意されており、好きな種類を選んでダウンロードすることができます。スマホを使って、思い立ったときにいつでも仮想通貨を送金したり、受け取ったりすることができるので、モバイルウォレットはとても便利です。しかし、スマホは機内モードにしている時以外は、常にオンライン状態であるということをしっかりと理解する必要があります。
ウェブウォレットは、ウェブ上にあるウォレットサービスで、Gmailのように、どこからでもアクセスできることができる保有方法です。デスクトップウォレットやモバイルウォレットの場合は、パソコンを置いてある自宅や、スマホが手元にないとウォレットにアクセスすることができません。しかし、ウェブウォレットは、インターネットにアクセスさえできれば、旅行先でも、オフィスからでも、自由にウォレットアクセスし、利用することができる、便利な保有方法であるといえます。
ウェブウォレットは、どんな端末を使ってでもアクセスできることから、一番利便性が高い保有方法であると言えるでしょう。ただし、モバイルウォレットと同じように、常にオンライン環境にありますので、ハッキングされる可能性が比較的高いことがデメリットです。また、自分のウォレットだけではなく、ウォレットサービスの管理者がハッキングされた場合も、情報が漏洩し、仮想通貨を盗まれてしまう危険性があります。
コールドウォレットは、オフライン状態で管理できる
仮想通貨を保管するには、オンライン状態での保有方法と、オフライン状態での保有方法の2種類があります。ホットウォレットはオンライン状態で管理するウォレットですが、オフライン状態、つまり、インターネットにつながっていない状態で管理できるウォレットのことを「コールドウォレット」と言います。コールドウォレットの中での代表的な保有方法は、「ハードウォレットを利用して保管する」というものです。有名なものでは「トレザー」や「レジャーナノS」などがあります。これは。スマホのアプリやパソコンにインストールするウォレットと違い、USBポートに差し込んで使う、USBメモリのような小型の電子機器ですので、まずはそれを購入する必要があります。仮想通貨を送金、もしくは受信するときのみ、パソコンに接続し、処理が終わったら、パソコンから外して管理することができます。
このハードウォレットは、仮想通貨の送受信時以外は、インターネット環境から隔離して保管できるので、ハッキングに合う可能性が、限りなく低い保有方法と言うことができます。頻繁に売買せず、年単位での長期保有を考えているのであれば、この保有方法を採用することをおすすめします。ハードウォレットは、とても安全性が高い保有方法です。小さなものですので、管理方法も簡単です。引き出しやタンスに入れて保管することもできますし、肌身離さずに管理したい場合は、カバンに入れて持ち歩くこともできます。このように、インターネット環境から切り離した状態で、好きな方法で保管できることが、オフラインでの仮想通貨の保有方法である「ハードウォレット」の一番のメリットです。
仮想通貨をペーパーウォレットで保管する方法もある
仮想通貨の安全な保有方法として、ペーパーウォレットというものがあります。これは、ビットコインアドレスと、その秘密鍵(パスワードのようなもの)を紙に印刷して保管するという保有方法です。実際に印刷し、紙で保管するので、常にオフライン状態ということになり、安全性が高い保有方法となっています。また、自宅の金庫や銀行の貸金庫に入れるなど、「物」として管理することができるので、どのような年代の人にとっても、比較的簡単な保有方法であると言えます。実際に見て、触れられるという点でも、安心感があります。
ただし、ペーパーウォレットは、紙でできているので、インクが劣化したり、紙が破れてしまったりすると、仮想通貨を取り出すことが困難になります。ラミネート加工をして印刷面の劣化を防いだり、予備のためのコピーを取っておくなど、保存には細心の注意を払いましょう。
このように、仮想通貨を安全に保管するための保有方法や、そのために利用するウォレットには様々な種類があり、自分が好きなもの、使いやすいと思うものを選んで利用することができます。通常はハードウォレットなど、安全性が高い保有方法を使い、使いたい分だけモバイルウォレットに移しておく、という使い方もできます。取引所に置いておくのが不安だという人は、是非ウォレットを使うなど、安全性が高い保有方法つかって、仮想通貨を自分自身で管理するようにしましょう。