仮想通貨投資を始める人の中には、相場の分析方法がわからず、不安を感じている人もいるでしょう。相場をどのように分析すればよいのかということや、どのような相場分析方法を使うかということは、確立された方法があるわけではありません。しかし、チャートの見方は株式やFXと似ており、相場を把握するための分析方法として、まずは基本的なチャートを読めるようになっていた方が良いと考えられています。

仮想通貨投資では、ビットコインの値動きの分析が重要

仮想通貨の相場分析方法仮想通貨には様々な種類があり、ビットコイン以外にも、イーサリアムやリップルなど、色々なものを買うことができます。もちろん、取引所のアプリを開けば、ビットコイン以外の相場を確認でき、それぞれの通貨のチャートを簡単に見ることができますので、相場分析方法のツールとして、アプリは気軽に利用できます。

しかし、忘れてはならないことは「どれもビットコイン相場と連動して動く性質がある」ということです。仮想通貨は、世界の市場では、ビットコインを使って売買されているので、その相場の値動きにつられて、他のものも動いてしまうと言う特徴があるのです。このようなことから、相場分析方法の基本としては、ビットコインに注目すべきと言えます。

たとえば、ビットコインに何らかの悪い情報が出て相場が暴落したとします。その情報が、例えばイーサリアムにはまったく関係がないものだったとしても、イーサリアムの相場も連動して暴落してしまうのです。様々な情報を収集し、「イーサリアムは将来性があり、長期保有したい」と思って購入したとしても、場合によっては、このように相場が連動して、大幅に値を下げてしまうこともあります。このように、そのアルトコイン自体の評価が高くても、ビットコインの値動きが良くないと、相場が影響を受け、その良い材料が、価格に反映しないこともありますので、相場分析方法としては、個々の銘柄に着目するのではなく、まずはビットコインを観察し、分析する必要があるのです。

これは、株や投資信託と違い、仮想通貨ならではの特徴と言っても良いでしょう。自分が保有しているものの価格がどうして下がったのか、理由がわからない、という時は、ビットコインの相場が悪くなっていることが往々にしてあります。

仮想通貨の相場分析には、ビットコイン建てチャートを活用

仮想通貨を売買できる取引所は、世界中にあります。日本では、日本円を使って購入する仕組みとなっていますが、世界のスタンダードとしては、基本的にはビットコインを使って売買されています。よって、分析方法としては、もしもチャートを見るときには、ビットコイン建ての相場やチャートを見る必要があるのです。

例えば、日本円で高値を更新していたとしても、ビットコイン建てで高値を更新しているとは限りません。この場合、相場が良いとは言えません。仮想通貨に投資している人達は、日本人だけではなく、世界中に存在します。そして、彼らが見ているのは、世界共通である「ビットコイン建て」の相場やチャートなので、基本的には、世界の人達と同じものを見て今後の動きを判断する方が、相場を分析する際の精度が高いということになります。口座を持っていなくても、海外の取引所のページを開くと、ビットコイン建てのチャートを見ることができますので、見てみることをおすすめします。

2018年中には、イーサリアムなどの時価総額が高いものは、ビットコインの相場連動を外れ、独自の動きをし始めるであろうという予想も一部ではなされているのですが、明らかにそうなるまでには、もう少し時間がかかると考えられています。それまでは、何を買う場合であっても、基本の分析方法として、必ずビットコイン建ての相場やチャートをチェックするようにしましょう。

仮想通貨は株のようなファンダメンタル判断がしにくい

仮想通貨は、株を違って、ファンダメンタルズの情報が少なく、「将来性」や「今後価格が上がっていくかどうか」ということを判断し辛いという特徴があります。株が今後値上がりするかどうかを予想する場合は、その株を発行している「企業」をまず判断します。上場企業であれば、情報開示義務がありますので、資本金や売り上げ、利益なども調べれば見ることができます。ROE(株主資本利益率)やROA(総資本利益率)を参考に、「その株が買われすぎか、売られすぎか」ということを判断することもできます。

しかし、仮想通貨では、株のように「参考にできるような、信頼性がある財務情報や指標」がほとんどありませんので、相場を予測しにくい面があります。ROEのような指標もありませんし、バランスシートもありません。その中で重要視されるのは、「その通貨の開発が進んでいるか」「新しい取引所に新たに上場するか」「実際に何らかのシーンで使われる可能性があるか(今後実需が見込めるか)」ということです。

これらの中で、新しい情報が出ると、市場から評価され、価格が上がる傾向にあります。このように、情報を頼りに相場を分析し、投資判断を下していくのが一番良い方法であるとも言えるでしょう。このように、相場を判断するためには、情報収集は非常に大切になってきますので、相場分析のためにはツイッターなどを活用し、新鮮な情報を手に入れるようにしましょう。

仮想通貨相場とアメリカの市場金利の関係

仮想通貨の基軸通貨とも言えるビットコインの値動きの分析が重要仮想通貨の相場を考えるときには、分析も大切ですが、もっと大きな視点で考える必要があります。それは、「市場全体に資金が流入しているか」ということです。どれだけ将来性が高い仮想通貨があったとしても、「仮想通貨に投資しよう」と考える人達が少なくなると、市場から資金が抜け、相場が悪くなり、勢いが衰えてしまうのです。

分析方法のひとつとしては、まずは世の中の大きなお金の流れに着目し、「株式市場に資金が流れこんでいるか」「債券市場にはどうか」「世の中にはお金が余っているのか」「機関投資家は、積極的に投資を増やしていきたいのか」などの動きを把握しておく必要があります。そして、それらの要素を総合的に判断して、「仮想通貨市場にお金が入ってきそうかどうか」を自分なりに見極める必要があります。

一番注目しておきたいのが、アメリカの市場金利の動きです。アメリカの市場金利が上がると、株式市場から債券市場にお金が流れていきます。つまり、株安になる可能性があります。リスクを取らない方向に、お金が流れていくのです。仮想通貨は、「リスクがある投資」と考えられていますので、株式と同じような現象が起きて、仮想通貨市場からも資金が抜けていく可能性があります。このように、相場分析のためには、金融市場全体を大きな視野でとらえ、観察することも重要な分析方法なのです。

仮想通貨と金相場が連動しているか?

仮想通貨への投資は「リスクがある投資」であると見なされていますが、2017年の年末には、これまでと違った動きが、ビットコインで観察されました。それは、ビットコインと金相場との連動です。金が買われるタイミングで、同じようにビットコインが買われた時期があったのです。このことにより、ビットコインは「金と同じように、リスクヘッジの資産として認められた」として、この相場が連動する現象は大きな注目を集めました。

金は、リスクをヘッジするための資産として知られています。株式市場やドルが暴落した時は、「安全な資産にお金を移動しよう」と意識が働きます。特に、機関投資家やファンドマネージャーなどは、預かったお金を安全なところに避難させなければなりません。そして、避難する資金の受け入れ先が「金」なのです。

仮想通貨は、一般的には「リスクがある投資」ですから、金とは反対の動きをするのが一般的です。しかし、金と連動したということは、「ビットコインが、リスクヘッジのための資産として認められた」ということを表していますので、この時は単なる投資・投機対象から、出世したという捉え方をされました。

2018年に入ると、その連動はなくなってしまいましたが、今後同じような動きをする可能性はあります。これから、世界の金融情勢がどうなっていくのかはわかりませんが、例えば、世界的株安が起こったときに、リスクヘッジのための資産として仮想通貨が注目される可能性があります。そうなると、膨大な量の資金が流れ込む場合もあるのです。この兆候をつかむためには、日ごろから金相場とビットコイン(仮想通貨)の相場の値動きを観察しておくと良いでしょう。

仮想通貨の相場は、週末や夜間休みがある株式市場と違い、24時間365日動いています。また、アメリカではNY市場、日本では東京市場というように、株式では国ごとに市場が分かれていますが、仮想通貨市場では世界中の人が、同じ市場を見ていて、同じような分析方法を用いて、相場を観察しています。仮想通貨で短期売買をしたいという人や、数年じっくりと保有したいという人など、投資に対する考えも人それぞれではありますが、基本の分析方法は変わりません。相場の大きな流れを分析できるようになると、仮想通貨への投資がより一層楽しくなりますので、相場の分析方法を頭に入れておくようにしましょう。