bitFlyerなど6社に対する業務改善命令でビットコイン価格はさらに下落:世界最大級の登録業者bitFlyerの法的な安全性が揺らいだ

ビットコイン(BTC)価格が70万円前後で低迷する中、6月22日に金融庁が再び規制強化の動きを強め、bitFlyerをはじめとする6社に厳しい内容の「業務改善命令」を出しました。金融庁の業務改善命令を受けたのは、「bitFlyer・テックビューロ(Zaif)・ビットポイントジャパン・BTCボックス・ビットバンク・QUOINE」の6社で、いずれも日本の仮想通貨交換業者の中では知名度が高くて取扱高も大きな会社ばかりです。特にbitFlyerは、コインチェックが「NEM大量流出事件」で通常業務の大半を停止してからは、ビットコインの現物取引とレバレッジ取引(仮想通貨FX)で日本最大の取引量を誇る取引所になっていました。

2017年後半に、中国の仮想通貨規制強化によって中国国内の取引所が閉鎖されたこともあり、現在は仮想通貨取引全体の過半が日本人(日本国内の取引所)によって行われています。そのため、厳密にはbitFlyerは「日本最大の取引所」を超えて「世界最大の取引所(特にビットコイン取引量/月間約680,000BTCは世界市場の約25%のシェアを握る)」に位置づけられていることも多く、もっとも安全でもっとも使いやすい取引所として大勢のユーザーに信頼されていました。

ここでいうbitFlyerの安全性とは、「仮想通貨が流出しない技術的なセキュリティー上の安全性+金融庁が認可した登録業者で法律的な問題がない安全性」を意味していました。しかし、金融庁からまさかの業務改善命令を受けたことで、bitFlyerの「コンプライアンス体制(法律・規制に違反していない安全性)」が疑われ、BTC価格が65万円台まで急落する一因になったのです。

bitFlyerが「新規ユーザーの口座開設」を一時停止する緊急措置

bitFlyerはユーザー数が200万人を超えていて2017年の年間取扱高も2兆円以上ですから、bitFlyerのユーザーが仮想通貨取引を控えたり仮想通貨を売って手放したりするだけで、BTCとアルトコインの価格が下落する要因になってしまうのです。国内ではbitFlyerに続く大手取引所のテックビューロ(Zaif)も、今年3月に続いて2度目の「業務改善命令」を受けることになり、Zaifが金融庁の監督強化に基づく業務改善命令(顧客資産保護・内部統制・金融犯罪防止など)の規制レベルに対応するだけの社内能力を持っていないのではないかとの疑念も生まれています。

1月26日のコインチェック事件後、金融庁は「みなし業者」だけではなく「登録業者」にも積極的に「立ち入り検査」を実施し始めましたが、今回は金融庁審査をパスした登録業者16社のうちの約4割に相当する6社が行政処分を受けたという深刻な事態なのです。

特に、「ユーザー数・取引量・資本金」で世界でもトップクラスの取引所(しかも登録仮想通貨業者)であるbitFlyerが処分対象になったことは、仮想通貨市場もネガティブな要因として受け取っています。顧客の本人確認が不十分だという業務改善命令を受けたbitFlyerは、「新規ユーザーの口座開設」を一時停止する措置を自主的に取りましたが、最大手のbitFlyerで「仮想通貨をこれから購入したい」という新規ユーザー(個人投資家)が増えてこないというだけでも、ビットコインはじめ仮想通貨の売り注文増加につながりやすいと言えるでしょう。

bitFlyerに対する金融庁の「業務改善命令の内容」はどのようなものか?:本人確認・マネーロンダリング対策・内部統制を重視

金融庁がbitFlyerに出した業務改善命令の具体的な内容(適正かつ確実な業務運営を確保するための内容)は以下のようになっていて、業務改善計画を7月 23日までに書面で提出する義務があります。業務改善計画の実施完了までの間は、「1ヶ月毎の進捗・実施状況」を翌月10日までに報告というかなり厳しい条件が突きつけられています。

①経営管理態勢の抜本的な見直し
②マネーロンダリング及びテロ資金供与に係るリスク管理態勢の構築
③反社会的勢力等の排除に係る管理態勢の構築
④利用者財産の分別管理態勢及び帳簿書類の管理態勢の構築
⑤利用者保護措置に係る管理態勢の構築
⑥システムリスク管理態勢の構築
⑦利用者情報の安全管理を図るための管理態勢の構築
⑧利用者からの苦情・相談に適切に対応するための管理態勢の構築
⑨仮想通貨の新規取扱等に係るリスク管理態勢の構築
⑩上記①から⑨の改善内容の適切性や実効性に関し第三者機関の検証を受けること

金融庁がトップに上げている経営管理態勢の抜本的な見直しとは、率直に言えば「社長のワンマン経営を許さない議論・牽制のできる取締役会を構成しなさい」ということです。現在の友人知人が大半の取締役会の経営態勢では、加納裕三社長が独断に走った場合(実際には独裁的ではないにしても)、議論+多数決で牽制できるだけの健全なメンバー構成ではないというのが金融庁の見立てであり、他の取引所も類似の改善命令を受けています。利用者や顧客資産の保護という「技術的なセキュリティーの強化・顧客資産と会社資産の分別管理の徹底」についても指摘されています。

金融庁は特にマネーロンダリング(資金洗浄)やテロ資金供与、反社会的勢力の資金源といった「金融関連犯罪のリスク」に神経を尖らせており、bitFlyerは「本人確認プロセスの運用」に問題があるという指摘も受けています。そのため、新規顧客の口座開設を停止して、既存ユーザーに対する「本人確認状況の再点検」を行うことを即座に決定しました。ユーザーの登録情報に不備・不足が見つかれば、仮想通貨取引をしていた既存ユーザーであっても「本人確認プロセス」を再び実施して、「本人確認に疑義のあるユーザー・偽名匿名などでマネーロンダリングを行う恐れのあるユーザー」を徹底排除する構えです。

BTC下落を強めた韓国の大手取引所Bithumbのハッキング事件:安心して仮想通貨を預けられるセキュリティーの重要性

大手取引所は金融庁の行政処分をクリアしてビットコインを再び上げられるか?6月20日には、韓国の大手取引所Bithumb(ビッサム)がハッキングされる仮想通貨盗難事件が起こり、仮想通貨の「カウンターパーティーリスク(取引所リスク)」が再燃してしまいました。セキュリティー上のリスクがある取引所には、安心してビットコインやアルトコインを預けておけないという認識が広まると、どうしても仮想通貨取引をしたいという新規参入者が減って価格も下落しやすくなります。Bithumbの約34.5億円とされたハッキング被害額は、後で約18.7億円と訂正されその全額を補償できるという事ですが、ビットコインやリップル、イーサリアムが盗まれた事で、取引所の信用は落ちてしまいました。

韓国では6月初めにも取引所のCoinrailで、約44億円相当の仮想通貨がハッキングされる事件が起こっています。日本のコインチェック事件の被害規模約580億円には及ばないものの、韓国の取引所も「外部から侵入されるセキュリティーの甘さ・顧客資産の分別管理の不徹底」の問題が深刻化しています。顧客が預けている資産を外部から盗まれてしまうというのは、一般的な金融機関である銀行ではまず考えられないセキュリティー問題です。法定通貨と同等の信用に仮想通貨が近づくためには、「絶対に盗まれない取引所」の前提を、セキュリティー体制強化で再構築する必要があるでしょう。

ビットコイン価格を再び上昇トレンドに戻すには取引所が変わらなければならない:今後の仮想通貨交換業者に求められているもの

6月以降、戻り始めていたビットコインとアルトコインの価格が再び下落トレンドに入りましたが、この下落の要因には「仮想通貨交換業者(取引所)の信用低下」が影響しています。金融庁の監督強化に基づく行政処分の乱発が、取引所の信用低下や仮想通貨の購買意欲低下を煽っている面は確かにありますが、中長期的に見れば「現時点の仮想通貨交換業者(取引所)のクオリティー」では、一般の人たちが仮想通貨を安心して購入して預け続けることが難しいのです。65万円のサポートラインにまで急落したビットコインを再び上昇トレンドに戻していくためには、現在の取引所が「安心して仮想通貨を売買・保管できる取引所」に変わっていかなければなりません。

金融庁の業務改善命令の内容にも、「今後の仮想通貨交換業者(取引所)に求められているもの」のヒントが多く示されています。金融庁は仮想通貨の取引所と売買を短期間で一般にも広めるために、改正資金決済法で「取引所の登録制度」を採用した時点では、甘めの規制や審査の基準を敷いていました。しかし、コインチェック事件で約580億円分もの仮想通貨が流出したことをきっかけに、立ち入り検査を実施した所、取引所に想定以上の不備・欠点・問題が見つかってしまったのです。

今後の仮想通貨交換業者には「悪意ある犯罪者が紛れない本人確認の徹底+絶対に盗まれないセキュリティー体制強化+分別管理(将来的には信託保全も)による顧客資産保護+マネーロンダリングなどの金融犯罪防止体制」が、必要最低限のハードルとして求められることになります。これらは銀行等の金融機関であれば当たり前に超えるべきハードルで、取引所に仮想通貨を預けていたら盗難が心配だからウォレットで管理した方がいいというような「信用力の低い取引所」の前提が異常なのです。上記の要件を取引所が満たすことで、「ビットコインなど仮想通貨の売買・保管」を安心して行うことができ、仮想通貨の新規投資=新規購入(BTC価格の上昇要因)も増えてくるでしょう。