仮想通貨の投資環境は、年々変化しており、今後はますます仮想通貨市場が拡大すると考えられています。2018年3月のG20では、「仮想通貨を金融資産として認める」と同意がなされ、仮想通貨に対する各国の姿勢も明確になりました。今後、適切な規制が行われ、それによって機関投資家が本格的に参入しやすくなることから、2018年は本当の意味での「仮想通貨元年」になるのではないかと期待されています。

仮想通貨のグローバルスタンダードとなる規制が定められる

仮想通貨市場の2018年投資環境の見通し今までの仮想通貨にとって、一番のリスクは「国から規制がかかり、仮想通貨が禁止になる」ということでした。法律で禁止されてしまえば、売買することはできず、その国においての仮想通貨の価値はゼロになってしまいます。

実際、2017年9月に、中国における仮想通貨の売買が禁止された時には、ビットコインは大暴落を記録しました。また、ベトナムでは、仮想通貨の決算が法律で禁止されましたし、インドでは、インドの中央銀行である「インド準備銀行」が管轄するすべての金融機関に、仮想通貨の取引所との取引を禁止する命令を出しています。それに対して日本では、2017年4月に、仮想通貨法を制定し、仮想通貨を「決済手段として利用できる貨幣である」と認めています。

このように、各国によって仮想通貨に対する姿勢がバラバラであり、なおかつ、アメリカやEUなどの姿勢がはっきりと定まっていなかったのですが、2018年3月のG20で「仮想通貨を金融資産として認める」と同意がなされたことで、機関投資家などの大口投資家が、仮想通貨市場に参入できる素地が整ったと言うことができるでしょう。G20の同意は、機関投資家やファンド、様々な企業に対して「仮想通貨を扱っても良いよ」というサインを送ったとも判断することができます。実際、G20以降は、仮想通貨市場に参入する意思を明確にした企業や投資家が増えており、その数は今後ますます増えていくと考えられています。

仮想通貨に対する中国の規制が、今後緩和される可能性がある

中国では、ビットコインの人気が非常に高く、政府に禁止されるまでは、世界のビットコイン取引のかなりの部分を占めていました。しかし、仮想通貨の売買を通じて、中国のお金が海外に流れてしまうということと、ビットコインがあまりに人気のため、中国元が軽視されるのではという二つの懸念から、中国政府が仮想通貨取引を禁止しました。しかし、ここにきて、中国が規制を緩和するのでは、という憶測が流れ始めています。

2018年5月に、習近平国家主席がブロックチェーン技術のことを「新たな産業革命である」と発言したことが、ニュースで大々的に取り上げられました。ブロックチェーンは、飛躍的な進歩をもたらす新世代の技術であり、中国は2019年末までに、全国的なブロックチェーンの標準を作り、完了させると表明したのです。

ビットコインなどの仮想通貨は、投資対象として考えられがちですが、仮想通貨に使われているブロックチェーンは、画期的な技術であり、今後社会の様々な場面で活用されることが期待されています。G20が仮想通貨を認めたことを受け、中国だけが仮想通貨を禁止していたのでは、中国がこの技術革命に乗り遅れてしまうと判断した可能性があり、中国も、仮想通貨に対して積極的な姿勢へと方針を変えてきました。実際に規制が緩和されるのか、されるとしたら、どのようなものになるのかということはまだまだ不透明ですが、習近平主席がブロックチェーンに対して、新世代の技術であると明言したことは、仮想通貨市場にとって、非常に明るい材料であると言えるでしょう。

機関投資家や企業が続々と参入してくる可能性

2018年のG20後、様々な企業が、仮想通貨への参入を表明しています。まず、日本では、野村ホールディングスが仮想通貨などのデジタルアセットの保管サービス(カストロディ・サービス)の提供に向けて、研究を開始したと発表しました。これは、今後仮想通貨市場に機関投資家が入ってくることを見越しての先行投資であると考えられています。

また、東京三菱UFJ銀行は、アメリカの大手仮想通貨取引所であるコインベースと提携しました。コインベースは、これを機に、日本市場へ参入する予定となっています。日本の銀行が海外の仮想通貨取引所と提携することで、よりビジネスが広がりますし、東京三菱UFJ銀行の顧客がコインベースに流れる、つまり、仮想通貨市場への新規顧客の流入が今後見込まれるということでもあり、好材料であると受け止められています。

海外の著名な投資家も、相次いで仮想通貨に対して発言をしています。まず、世界一有名といっても過言ではない「ジョージ・ソロス」のファミリーオフィスは、仮想通貨市場への参入を目指すと明言しました。また、ビルゲイツ率いるビルゲイツ財団は、リップルと提携し、世界中の、銀行口座を持たない貧困層に向けた支払いアプリを開発しています。

アメリカ最大の投資信託の販売・運用会社であるフィデリティは、独自の仮想通貨を作るなど、何らかの方法で、仮想通貨市場に参入するとしており、ビットコインやイーサリアムに対して好意的な発言も行っています。

このように、今までは個人投資家が中心であった仮想通貨市場が、2018年以降は機関投資家中心の市場へと成長していく可能性があります。機関投資家や企業が参入する前段階で、将来性がある仮想通貨を保有しておけば、将来、大きな利益が得られる可能性があり、今後の動きが非常に楽しみであると言えるでしょう。

リップルとビットコインキャッシュが仮想通貨市場をけん引するか?

2018年の仮想通貨市場はリップルとビットコインキャッシュがけん引か仮想通貨の価格は、どのアルトコインもビットコインを中心に動いています。なぜならば、世界中の仮想通貨の取引所では、ビットコインが基軸通貨として使われており、どの通貨もビットコインの価格に連動してしまう性質があるからです。

しかし、ここにきて、「ビットコインの性能に限界があるのでは」ということが取りざたされており、ビットコインの信頼性が揺らいできています。そして、それは価格にも表れており、2018年年初の暴落から、価格の上下を繰り返しながらも、ビットコイン価格は数か月にわたって下落しており、その影響で、仮想通貨市場全体も低迷しています。

ここで問題となっているのは、仮想通貨市場全体が、ビットコインの下落に引きずられてしまっているという点です。仮想通貨の中には、将来性が高く、評価されるべきアルトコインが多くあります。しかし、ビットコインの価格が低迷しているので、それらのコインも暴落してしまっています。この問題を解決するには、ビットコインの連動から外れ、それぞれの仮想通貨が、独自の動きをしていく必要があります。

このきっかけを作ってくれるのではと期待されている仮想通貨が「ビットコインキャッシュ」と「リップル」です。リップルは、実際に銀行間送金に使われるようになってきており、今後、グーグルやアップルとの提携があるのではと期待されています。

ビットコインキャッシュは、アフリカなど第三世界の人も利用できるような、ガラケー同士でビットコインキャッシュをやり取りできるアプリを開発しています。また、ビットコインの本流を受け継いでいるのはビットコインキャッシュであると言う認識が徐々に広まっており、ビットコインのマイナー達は、ビットコインではなく、このビットコインキャッシュを支持しています。また、日本のSBI取引所を運営している北尾社長も「ビットコインキャッシュに力を入れていく」と明言しています。

このように、これら二つの仮想通貨は、ビットコインとの連動から外れて独自の動きができるだけの、強力なファンダメンタル材料があります。これら二つ、またはどちらかの通貨がビットコインとは違う値動きをしていけば、それぞれの通貨が、それぞれに評価されていくような、新しい仮想通貨市場が生まれるきっかけになるのではと期待されています。

仮想通貨売買の税金面では、日本を除く世界では追い風

仮想通貨市場を今後後押ししていくと考えられているものの一つが、仮想通貨売買にかかる各国の税制です。日本は、仮想通貨の売買益は源泉分離課税ではなく、雑所得として必ず確定申告をしなければなりません。そして、最大税率は45%にもなり、約半分が税金で徴収されてしまう可能性があり、投資家にとっては非常に不利な状況となっています。

しかし、各国では、仮想通貨に関する税制で、優遇措置を打ち出しています。フランスでは、今までは仮想通貨の売買益は14~45%の累進課税だったのですが、今後は、一律19%とすることが決定されました。最初はビットコイン限定の税制のようですが、今後は他の仮想通貨にも適用されると予想されています。

またドイツでは、1年以上長期保有した後であれば、売買益は無税となっています。シンガポールでは、仮想通貨の売買益は原則非課税となっています。このように、先進国の状況を見ると、税制が緩和される方向で動いています。このように税制が優遇されると、投資が活発になりますので、多くの人が仮想通貨市場に参入することを、より後押ししてくれると考えられています。日本でも、税制が改正される可能性はありますので、そうなれば、より多くの資金が流入し、仮想通貨市場が活気づいていくでしょう。

2018年前半は、仮想通貨市場は低迷した状態が続いています。しかし、今まで説明してきたように、仮想通貨市場が拡大していくような、明るい材料が多くあります。仮想通貨は、これからが本番であると考えている投資家も多く、今後どのような形で成長していくのか、楽しみに見守っていきましょう。