スペクターコイン(XSPEC)とは、プルーフオブステークス(POS)の仕組みを持った仮想通貨で、匿名性が非常に強く、プライバシー性が高いことが特徴の通貨として、2017年1月に公開され、売買が開始されました。そして、2017年の半ばには、発行時以来6000%ものリターンを出した仮想通貨として、ニューヨークタイムスに掲載されたこともある、注目度が高い仮想通貨です。それでは、スペクターコインの特徴や将来性について、詳しく見ていきましょう。
スペクターコインの一番の特徴は匿名性
スペクターコインの特徴は、プライバシーを重視した、その匿名性です。ビットコインやイーサリアムなど、匿名性がない仮想通貨は、そのコインがどのアドレスからどのアドレスへ送金されたのか、誰でも見ることができます。なぜならば、そのような情報は、誰もが見ることができる「ブロックチェーン」に記録されているからです。もしも、そのアドレスの持ち主や属性がわかれば、どのようなことに使われたのかということや、どんな人に資金が渡ったのかということを、他人に知られてしまう可能性があるのです。
それに対して、スペクターコインは、送金や決済の際に、取引履歴や送金主などが第三者にわからないような仕組みをとっているので、スペクターコインを使ったときに「誰が使ったか」「何に使ったか」などの情報がわからなくなっています。こういった特徴がある仮想通貨を「匿名通貨」」と呼んでおり、プライバシーを保護できる仮想通貨として注目されているのです。
仮想通貨が匿名性を持つには、様々な方法があり、そのコインによって使われている方法が異なります。スペクターコインは、「リングシグネチャー」という、匿名性がある取引を成立させるような、新しいプロセスを利用しています。このプロセスを経ることによって、取引情報を覆い隠すことができ、どこへ資金を送金したかなどの情報を隠すことができます。
また、TORプロトコルといって、ユーザーのIPアドレスを隠すことができる機能も持っています。このプロトコルを採用していることで、どのアドレスからどのアドレスへ通貨が移動したのかを追跡できなくなります。つまり受信者と送信者を特定することができなくなるということです。このように、「リングシグネチャー」と「TORプロトコル」という二つの機能を活用して、匿名性を維持している仮想通貨がスペクターコインということになります。
匿名性がある仮想通貨で有名なものはモネロやジーキャッシュ
匿名通貨として有名なものは、モネロ(Monero)やジーキャッシュ(Zcash)、ダッシュ(Dash)があります。モネロは、匿名通貨の中でも一番存在感がある仮想通貨です。また、ジーキャッシュは、アメリカの大手銀行であるJPモルガンとの提携が大きな話題となりました。ダッシュは、海外では日本よりも知名度が高く、実用化が進んでいる匿名通貨で、ベネズエラではダッシュで決済できる店舗が増えています。また、アイルランドの企業でもダッシュでの決済のみを受け付けているところがあります。
このように、実際に決済で使うには「匿名性」が重視される傾向にあります。現在、日本ではほとんどの人が現金を使っていますが、現金もある意味匿名通貨です。その現金が誰から渡されて、誰のものになったのかという記録を一切残すことができないからです。マネーロンダリングや闇社会では、現金が重視されているのも、そういった事情があります。他の匿名通貨と同じように、スペクターコインにも、非常に高い匿名性が備わっていますので、今後社会で使われていく可能性があると言えるでしょう。
匿名通貨に使われている技術は、それぞれ異なる
モネロやジーキャッシュ、ダッシュは、すべて匿名通貨ですが、使われている技術はそれぞれ異なっていることが特徴です。まず、ダッシュは、「プライベートセンドとインスタントセンド」と呼ばれる方法によって、送金の速さと匿名性を確保しています。ジーキャッシュでは、ゼロ証明という方法を採用しており、お互いの情報を完全に非公開にしたままで取引ができるという特徴があります。モネロは、ワンタイムリング署名という方法により、匿名性に特化しています。
このように、匿名通貨それぞれに使われている方法が異なり、それが匿名通貨の個性であるとも言えます。スペクターコインは「リングシグネチャー」と「TORプロトコル」という二つの方法を併用して採用しているので、それが他の匿名通貨との差別化になるとも言えるでしょう。
匿名通貨ごとの発行枚数を比較。スペクターコインは割安?
スペクターコインは匿名性が高い通貨なので、他の匿名通貨と競合する立場にあります。匿名通貨の中で、どのコインが実際に利用されていくのか、その仮想通貨の価値が今後上がりそうかどうかということには興味がわきますね。仮想通貨に投資をする場合は、まず、その通貨の発行枚数の上限を確認しましょう。発行枚数が低いと、希少価値が高いということになり、値が上がる傾向にあります。
まず、スペクターコインですが、2000万枚となっています。ダッシュは2200万枚、ジーキャッシュは2100万枚となっていますが、モネロは発行上限なし、つまり無制限に増えていく可能性があります。このように、匿名通貨として知名度が高いダッシュやモネロ、ジーダッシュに比べて、スペクターコインも何ら遜色がない発行枚数ということになります。2018年6月の段階で、ダッシュは約30,000円、モネロは約13,000円、ジーキャッシュは約20,000円となっています。
それに対してスペクターコインは、約26円となっています。匿名性の機能としては、他の匿名通貨よりも優れているにも関わらず、このような価格帯で推移していますので、今後の伸びしろは非常に大きいと言うことができるでしょう。
日本では匿名通貨は上場廃止。海外での匿名通貨の評価は?
日本では、コインチェックに上場していた「モネロ」「オーガー」「ダッシュ」「ジーキャッシュ」の上場が廃止されました。マネーロンダリングなどの懸念があるということでしたが、海外の取引所を見ると、今まで通りに売買されています。匿名通貨は、日本と同じように、世界でも駆逐されていく流れとなるのでしょうか?
海外では、匿名通貨は一定の評価や指示を得ています。JPモルガンがジーキャッシュを支持しているのが、その良い例です。匿名通貨は、マネーロンダリングの危険性はありますが、富裕層も匿名通貨を好む傾向にあるため、規制はされないのではないかと考えられています。
匿名性を持った仮想通貨で、「バージ(Verge)」というコインがあるのですが、この仮想通貨は2017年12月に、0.5円から19円に高騰し、話題になりました。また、あるサイトでは、このバージでの決済が実際に導入されています。このように、匿名性を持つ仮想通貨は、最近では評価される傾向にあります。日本では逆の方向に進んでいますが、世界的に見ると、匿名通貨は、しっかりとした評価を得ていると言えるでしょう。
スペクターコインは、高い匿名機能を持ち、今後が非常に楽しみな仮想通貨です。有名な匿名通貨が1万円をこえた値をつけていることを考えると、非常に割安な状態であると言えます。これからは、仮想通貨が実際の社会で、決済などに導入されていくと考えられています。スペクターコインも、何らかの決済に導入が決まれば、評価が上がると考えられますので、今後の情報や値動きをしっかりと追っていきましょう。