ネクストコイン(NXT)は、2014年1月に公開された仮想通貨であり、ビットコインのソースコードを元にしておらず、ネクストコイン用にプログラムされた、独自のものを利用していることが特徴です。また、ネクストコインコインは次世代の仮想通貨であるともいわれており、世界で初めての100%プルーフ・オブ・ステークス(Proof-of-stakes)のシステムを100%採用したコインとして注目されました。しかし、最近では「POS通貨」が多く公開されており、ネクストコインコインに対する注目度が低くなってしまっているのも事実です。
ネクストコイン(NXT)は初期に公開された仮想通貨
ネクストコイン(NXT)は、日本の仮想通貨元年ともいわれている2017年よりも前の、2014年に公開されました。このように、ネクストコインは比較的初期の仮想通貨であり、また、ビットコインの後継であると初めて主張した仮想通貨であるともいわれています。ネクストコインは、独自のブロックチェーンを持っており、それも特徴の一つとなっています。
ネクストコインの開発陣は、ビットコインのソースコードではなく、ネクストコイン独自の新しいコードを作成したことからもわかるように、非常にアクティブで、熱心な開発を行っています。しかも、2014年から継続的にそれを行っているということになります。情熱をもって、熱心に開発をし続けるということは、仮想通貨においては非常に重要なポイントです。
なぜならば、仮想通貨市場では様々なコインが上場し、売買されていますが、その中でも「実際に開発が着実に進んでいる」仮想通貨はごく一部という現実があります。もちろん、どの通貨においても、「この通貨でこのようなことができるようにしたい、そのためにはこのような段階を踏んで、開発を行っていきたい」という計画があるのですが、実際には絵に描いた餅になっていて、開発が全く進んでいないコインも多く存在するのです。
開発陣が、何十億という資金を集め、そのあとは開発を行わないといったような、詐欺まがいのコインもあります。そのようなコインが増えている現状を考えると、2014年当初から継続的に開発を行っている通貨であるという点は、評価されるべきであると言えます。
ネクストコイン(NXT)の発行上限数は10億枚
ネクストコイン(NXT)の発行上限数は10億枚となっており、比較的多い部類に入ると言ってもよいでしょう。有名な仮想通貨と比較してみると、ビットコインの発行上限は2100万枚、リップルは1000億枚、ライトコインは8400万枚、ダッシュは2200万枚となっています。仮想通貨の時価総額不動の第二位であるイーサリアムや、匿名通貨として有名なモネロやジーキャッシュ、そしてリスクなどは、発行上限が定められていません。
仮想通貨では、発行上限が決められていて、市場供給量が少ないものほど、価格が上がる傾向にあります。もちろん、いちがいにそうとは言えませんが、ビットコインが高騰した背景にも、「供給量が限定されている点が、資源としての埋蔵量に限りがある金(ゴールド)と似ている」という点に注目が集まり、価格が上昇したという経緯があります。
少ない枚数のものに買いが集まると、自然と価値が高まり、価格も上がっていきますので、仮想通貨を買ってみようと考えたときは、まずは発行数量を確認しておく方がよいでしょう。このように、主要アルトコインの発行枚数を見てみると、ネクストコインの10億枚は多いと考えられます。
ネクストコイン(NXT)の仕組みであるPOSの仕組みとは?
仮想通貨の重要な仕組みとして、プルーフオブステークス(通称POS)とプルーフオブワーク(通称POW)の二つが挙げられます。この「POS」と「POW」は、表記は似ていますが、仕組みは全く違います。どのような仕組みの仮想通貨であるかということを表す時に「POS通貨」や「POW通貨」と呼ぶこともあります。
例えば、ビットコインはPOW通貨であり、コインチェック事件で話題になったXEMは「POS通貨」といった具合です。POS通貨というと、プルーフオブステークスの仕組みを使っている仮想通貨であり、POW通貨はプルーフオブワークの仕組みを使っているということになります。新しい仮想通貨が公開されるときも、POSかPOWかということが、投資家が注目する、大きな特徴の一つとなります。
POSは、その仮想通貨を持っている人の割合(つまり、出資金の割合)で、承認の割合を決めるという仕組みがあり、そのコインを多く持っている人が、より多くのインセンティブを獲得できるということになります。これは、高性能のコンピューターや多くの電力を必要としないため、地球にも優しいエコな仕組みとも言われています。POW通貨では、電力を多量に使うため、地球環境に対しての悪影響が心配されていますが、POS通貨の場合は、そのような電力は必要ありませんので、地球にやさしい仮想通貨であるとも言えます。
POSと比較されやすいPOWの仕組みとは?
ビットコインに代表されるようなPOW通貨は、簡単に言うと、マイニングによって仮想通貨の取引を承認するタイプの仮想通貨です。仮想通貨の承認においては、取引自体が正しいものであるかを確認するために、膨大な量の計算を行い、ハッシュ値の計算を行います。この計算作業がマイニングです。マイニングは、専用のコンピューターを購入しなければならず、またそれに消費する電力もものすごい量になるため、費用がかかります。よって、POW通貨におけるマイニングは、個人ではなかなか参入できないような、壁が高いものになっています。
POW通貨は、この消費された電力に裏付けられた価値があると考えることができるため、POS通貨よりも価値が高いと考える人もいます。しかし、ビットコインのマイニングだけで、小国が消費する電力量を超えてしまうほどの、非常に多くの電力を必要とするため、将来、マイニング電力量が環境問題として取り上げられた場合は、不利な状況になるかもしれません。
POWでもPOSでも問題になっている、51%問題とは?
POSとPOWの共通の問題として、51%攻撃というものがあります。通常のマイニングでは、情報を偽造しようとする人よりも、マイニングによって正しい情報を作り出している人の方が多いため、全体として正確性を保ち、不正ができないようにしてあります。
しかし、不正を行おうと考えた人やグループの採掘・承認速度が51%を超えて多数派となってしまった場合は、「不正=多数派なので正しい」と判断されることになってしまい、結果として、不正が可能となってしまうのです。ビットコインでは、これらの承認作業は「マイナー」と呼ばれる何社もの企業が行っています。彼らがその気になれば、理論上は、団結して51%攻撃を行うことができ、不正が可能となってしまうというリスクがあります。
ただし、ネクストコインが採用しているPOSの仕組みでも、51%攻撃は起こりえます。市場に供給されているコインの量のうち、51%以上を買い占めてしまえば、不正を行うことができるのです。しかし、51%を買い占めるためには、非常に多くの資金が必要となります。また、51%を保有して攻撃を行ったとしても、攻撃を受けるとその通貨の価値は暴落するため、自らが51%以上保有している仮想通貨の価値も下がってしまうことになり、攻撃をするメリットがないということになります。このように、POS通貨は、消費電力が少なく環境に優しいこと、51%攻撃の可能性が低いことから、POWのデメリットを補っている通貨とも言えます。
ネクストコインは、100%POSの仕組みを最初に取り入れた仮想通貨としての実績がありますが、近年は多くのPOS通貨が生まれており、その人気も下火になりつつあります。しかし、環境問題などがクローズアップされれば、POS通貨全体が評価され、その中でネクストコインに再び人気が出る可能性もあります。今後も、ネクストコインの値動きをしっかりと見ていきたいですね。