ビットコインは時として「DApps(ダップス)」、分散型アプリケーションと呼ばれます。少し専門的な用語にもなるので仮想通貨について勉強をはじめたばかりの方は少し難しく感じてしまうかもしれません。仮想通貨をみていくと分散型アプリケーションに分類されるものは非常に多くあります。ビットコイン、イーサリアムは分散型アプリケーションになります。
ビットコインやイーサリアムなどの仮想通貨の普及、認知度の向上により分散型アプリケーションは注目を浴びてきているわけですが、将来的にはいろんな場面への応用が可能になっています。すでに、分散型アプリケーションを使った実例もあります。今回は、DApps、分散型アプリケーションとは何かを解説していきます。
DAppsの定義
DAppsとは英語表記の一部を用いた略称になっていて正式には「Decentralizad Applications」となります。日本語に直訳して「分散型アプリケーション」と呼んでいます。今回は分かりやすいように、以降の文章でも分散型アプリケーションと日本語の名称で記していきます。
分散型アプリケーションと言われても、やはり、馴染みのない言葉ですから分かりにくいと思います。まずは「分散型」と「アプリケーション」を別々に理解してから組み合わせたほうがいいでしょう。「分散型」とは仮想通貨の世界ではよく用いられ、中央管理者が不在であることを意味しています。ネットワークの利用者同士が管理運営を行なっている状態です。
そして、アプリケーションとはインターネットやITの用語になりますが、特定の作業の目的に応じてつくられているものを意味します。具体的に言えば、みなさんも仕事で使うであろう文書処理ソフト、表計算ソフトもアプリケーションです。
さらに、メールソフトやゲーム、Google Chromeなどのwebブラウザもアプリケーションと言えます。ですから、分散型アプリケーションとは複数の管理者によって運営され、特定の目的のために利用されるものをいうのです。
大枠として分散型アプリケーションがどのようなものかはつかめてきたと思いますが、定義を表すと「オープンソースで特定の管理者に制御されず自動化されている」、「独自のトークン(仮想通貨)を持ち、参加者に報酬として支払われる」、「ユーザーの同意でプロトコル(利用手順)が変更、改善ができる」とDavid Johnston氏のGithubでは打ち出されています。先に例に出したビットコインは全てを満たしています。
ブロックチェーンによって利用者が取引を記録し、特定の誰かに管理されていません。その取引記録を処理するマイナーには報酬が支払われています。さらに、時々、ビットコインからハードフォークして新たな仮想通貨も誕生しています。私たちはビットコインを投機目的にみてどれだけの価格の上がり下がりがあるのかに注目がいきますが分散型アプリーケーションの視点で見ると優れた機能があると言えます。
DAppsのメリット
分散型アプリケーションの概要、定義を理解したのならば次はメリットとデメリットも勉強していきましょう。当然、メリットがあるからこそ生まれた分散型アプリケーションですが多少なりともデメリットがあります。
まず、最大のメリットは分散型、つまり、「非中央集権」であることです。先ほどから特定の誰かが管理しない仕組みと申していますが、それがポイントなのです。現在、私たちが利用しているサービスの多くは管理者がはっきりと存在しています。
例えば、多くの方が利用している無料通話アプリのLINEやプライベートや仕事のことをアップするフェイスブックやツイッター、インスタグラム。それらには管理者、運営者が存在しています。管理者が存在すれば利用料の発生や集中的なアクセスによってサーバーが落ちることがあります。仮想通貨の取引でも国内外問わず取引手数料が発生するのがほとんどです。
こちらも運営会社が存在し、安全な取引を行う対価として手数料を支払っているのです。中央集権的なサービスを利用するのはリスクも生じます。仮想通貨取引所なら、管理している企業や団体が破綻すればサービスの停止や資産を失う可能性だってあります。
その点、非中央集権的なシステムであれば管理者は複数になりますし、仮に一部の管理者に何か不都合が生じてもネットワーク全体には大きな影響がありません。よく聞くと思いますがサーバー攻撃にあったとしても複数いる管理者のコンピュータ全てのデータを改ざんしなければ不正は成立しません。セキュリティの水準も非常に高いと言えます。メリットをもう一つ紹介すれば仮想通貨以外にも様々な分野に分散型アプリケーションは応用できます。活用事例は以降のテーマで詳しくみていきましょう。
DAppsのデメリット
分散型の管理によって様々なリスクに対応し、より良いものへと改善できるのが分散型アプリケーションですがデメリットも覚えておいて欲しいところです。まずはスケーラビリティ問題です。分かりやすく言うならば、取引の処理にかかる時間です。ビットコインでは度々問題になっています。
なぜ、取引に時間がかかってしまうかと言えば、ビットコインの場合、インターネット上の台帳(ブロック)の大きさが限られていて同時に取引が殺到すると記録しきれなくなり時間がかかるのです。これから様々な分散型アプリケーションが登場すると思いますが利用者や取り扱うデータの増加でスケーラビリティ問題の発生は危惧されています。
そして、定義でも紹介したように分散型アプリケーションでは独自のトークンを持ちます。そのトークンは価値が永遠に保証されているわけではありませんから通貨としての価値が保てるかもポイントになります。
たとえば、ゲームアプリがあったとしてそこで発行されるトークンに価値がなければゲーム自体も存続できなくなることです。最後に必ず頭の片隅に入れて欲しいのがセキュリティについてです。先ほどは分散型アプリケーションのセキュリティ水準は高いと言いましたが絶対に安全とは言い切れません。実際、アプリケーションに不具合がありトークンが失われた事案もあります。(The DAO事件など)アプリケーションを利用した時に得たトークンの管理はハードウォレットで行うなど自分でできる対策は必要です。
DAppsの活用事例
ここまで分散型アプリケーションの詳細をみてきましたが実際に活用されている事例もあります。ビットコインなど仮想通貨以外で少し紹介します。
分散型アプリケーションの成功例として身近なものにはゲームがあります。現在、数多くのゲームがありますが「BitPet」と言うペットの育成ゲームは結構な人気を誇っています。スマホゲームでも流行ったポケモンのようにキャラクターを育成して報酬がもらえるゲームです。報酬はイーサリアムでもらえますのでゲームを楽しんで、さらに、仮想通貨を得られる一石二鳥のサービスです。
そして、仮想通貨取引所にも導入されていて「0x(ゼロエックス)」と言う取引所は代表的なところです。一般的な取引所はハッキングリスクが生じますが分散型の取引所は預けた資産の秘密鍵を自分で管理しますのでリスクを抑えられます。その他、様々な市場の予測にも活用が可能で「Auger(オーガー)」は未来予測をして的中させたユーザーに報酬が支払われる仕組みを採用しています。逆に間違った報告をすれば供託金が没収されます。
以上の活用事例は一部で、クラウドでデータを管理するデータストレージや本人確認にも分散型アプリケーションは応用できるようになっています。
DAppsの将来
分散型アプリケーションは今の所イーサリアムのプラットフォームを利用して開発されているものが多くなっています。仮想通貨でも人気のあるイーサリアムを応用しているアプリケーションが多いため、分散型アプリケーションはなくなる仕組みではないと考えられます。ゲームなど実用化されているサービスもありますが抱える問題点をどう解消していくかが今後の見どころになるでしょう。