仮想通貨市場の中でも特に価値があるとされ、注目を浴び続けているリップル(Ripple、通過名称はXRP)は日本でも大人気銘柄として取引量も多くなっています。リップルは、昨年末の価格から比べると、評価は劣ってきているように感じますが時価総額ランキングではビットコイン、イーサリアムにつぐ3位の位置にいます。このように、リップルは依然として価値が高いコインとなっています。
リップルといえば国際送金をはじめとする銀行間送金のための、利用価値がある仮想通貨であると多くのユーザーが認識していることでしょう。リップルに、通貨の送金に優れた機能があるのは間違いありません。しかし、リップルが本来目指しているのは「価値のインターネット」を作り上げることです。
そのステップに銀行間送金を行なっているわけです。リップルには価値のインターネットの理念があり、「価値を送金する」国際送金などの機能を充実させていることを多くの利用者は見落としています。そこで、今回はリップルが目指している価値のインターネットとは何かを解説していきます。
情報のインターネットについて
リップルの価値のインターネットを解説する前に触れておきたいのが「情報のインターネット」です。インターネットが誕生してからおよそ30年ほどになるわけですが、インターネットがあることで私たちの生活は非常に便利になっています。メールの送受信、SNSによる様々な人との交流、アマゾンや楽天市場など各種通販サイトでの買い物…。あげればキリがないほどインターネットは私たちの生活の一部になっています。
例にあげた現状のインターネットはクラウドと呼ばれ情報を共有、蓄積させる仕組みで成り立ちます。ですからインターネットに繋がっている環境、対応しているデバイスを用いれば好きな情報をいつでも得ることが可能なのです。この状態を情報のインターネットと呼びます。情報のインターネットだけでも十分な感じもしますが、さらに進化して「価値のインターネット」を目論んでいるのがリップルになるわけです。
価値のインターネットとは
「価値のインターネット」とは仮想通貨、もちろんリップルが広く知れ渡ってから聞くようになった言葉です。英語で表現すれば「Internet of Value」となり、頭文字をとって省略し「IoV」と表すこともあります。定義を解説すると「金融資産など価値資産の交換が瞬時に手数料をほぼかけずに実行できるシステム」のことです。つまりリップルが目指しているのは、価値の移転をすばやく実行できるシステムということになります。
今回、リップルを絡めて解説しているので仮想通貨だけの話に聞こえるかもしれませんがそうではありません。日本円や米ドルなど法定通貨も含まれ、さらには株式、マイレージ、証券、知的財産など価値を持つ全ての資産を含んでいます。
情報のインターネットを利用している現在の我々は「メールしか利用しない」とはならず、好きな芸能人のブログサイトを閲覧したり、仕事で必要な情報をインターネットから収集するなど利用方法や利用価値は多岐に渡ります。リップルが目指している価値のインターネットも同じで、銀行間の送金だけにとどまらず将来的には他の価値財産の交換に活用される可能性は大いにあります。
リップルが価値のインターネットの構想を持ったのはインターネットの唯一の欠点を見つけたからです。その欠点が送金機能なのです。歴史を遡ればインターネット登場当初は電子メールの送受信が主な利用内容でした。画像の取り込みには別のハードウェアを取り付ける必要があるなど利便性にかける点が多々ありました。
ですが技術の革新で対応ができるようになっています。技術革新も進む一方で、実は、インターネットのシステム上、送金できるコードは存在していたのです。情報のインターネットの発展に目を向けていましたが、リップルが目指している価値のインターネットを実現する土台はあったということになります。
「価値のインターネット」と「インターネットバンキング」の違い
現状の送金システムを日常生活から振り返れば自分が誰かに送金しようとすれば銀行に向かい、取り扱い時間内に手数料を払って送金します。「銀行」という第三者を介することで、お金という価値を送金する際には手数料は発生し、海外に送金する場合には高額なものになります。
送金時間も銀行の営業時間内でなければスムーズに届きません。海外送金ならば数日間の時間も必要です。これらの問題点も重なり、リップルの価値のインターネットという理念はさらに強固なものになるわけです。
理解を深めるために混同しやすい技術との違いも解説しておきます。現在、インターネットバンキングの普及も進んでいますからそれとはどう違うのかと疑問も出てくると思います。しかし、インターネットバンキングは口座残高をネット上で見られるだけであって本当の意味で価値をインターネット上に移しているとは言い難いのです。電子マネーも同様で日本円をチャージし違う媒体で決済できるだけですので価値をインターネット上に移してはいません。
インターレジャープロトコル(ILP)について
リップルが価値のインターネットを作り上げるために銀行とリップルの台帳をつなぎ簡単な送金ができるよう、インターレジャープロトコル(ILP)を利用しています。リップルの場合、xCurrentに利用し送金システムを構成しています。インターレジャープロトコルはリップルが提唱し、ワールドワイドウェブコンソーシアム(W3C)が決済送金規格で標準規格と定めています。
ワールドワイドウェブコンソーシアムはインターネットに詳しい方であればご存知かと思います。インターネットの様々な規格を決めているアメリカの団体です。ワールドワイドウェブコンソーシアムが決済送金規格の標準規格として認めただけではなくGoogleやApple、Microsoft、Facebookなどと共同で仮想通貨支払いに対応したAPI(誰でも利用できる仕組み)を開発しそこにインターレジャープロトコルに採用されています。簡単に言うとリップルの送金や決済のシステムがいろんな場面で使いやすくなります。
もちろん、インターレジャープロトコルのネットワークに参加している銀行間で送金が瞬時にできます。さらに、ブロックチェーン同士を繋ぐことも可能ですからビットコインのブロックチェーンとイーサリアムのブロックチェーンを接続し種類の異なる通貨同士の交換もできるようになります。インターレジャープロトコル単純に法定通貨だけ、仮想通貨の同じ銘柄だけのつながりにはならずいろんな価値の交換に役立つと想定されています。
価値のインターネットを作り上げたらリップル(XRP)の価値はなくなるのか
リップルは価値のインターネットを理念に開発が進みネットワークには世界中の多くの銀行が参加している状況です。リップルの技術をしっかりと評価しているあかしでしょう。ところが一部ではリップルの技術には注目し賛同できるが通貨(XRP)が使われるかは別問題との意見も飛び交っています。そのような意見を目にすれば通貨の価値はあるのだろうかと考えても無理はありません。
期待値に賭けて、今後リップルの価値が高騰することを願って保有している投資家もいますので、これは彼らにとっては懸念材料と考えられます。もちろん、通貨としての価値がなければリップルは企業としても利益は出なくなります。
通貨としての価値は保たれるかについては、リップルのネットワーク開発者のDavid Schwartz氏はインターレジャープロトコルの利用で資産の所有権は瞬時に移動するものの、それに対する支払いにXRPが使われると説明しています。さらに、XRPが昨日するように仕組みを作ることが価値を生み出す収益モデルとも話しています。ですから、技術だけがすごいわけではありません。これから価値がある通貨として機能していくように開発が進められていくでしょう。
リップルに関してはなかなか難しい知識を理解する必要があり、開発目的も誤解しやすい部分があります。しかしながら目指している「価値のインターネット」が日常的なものになると私たちの生活の利便性は飛躍的に向上するのではないでしょうか。