宇宙空間を利用することでどこからでも仮想通貨投資を行なうことが可能に
アメリカ時間で2017年8月15日にBlockstream社は、宇宙空間を使用して地球上の何処からでもビットコインの取引を行なえる環境を、2017年末までに提供することを発表しました。その宇宙空間を使用した新しいビットコインを取引出来る環境はBlockstreamSatelliteといって、宇宙空間を周回する3基の人工衛星を利用してビットコインのネットワークを創設して、そのネットワークと地上の利用者とが直接ビットコインを送受信する事で、より多くの地域の人々がビットコインの取引を行なうことが可能となるシステムになります。
具体的には、地上の利用者は人工衛星からの電波を受信出来る受信機とパソコンを使用することで、ビットコインの取引を何処からでも行なうことが出来るようになり、人工衛星のネットワークにあるブロックチェーンでその取引を管理するようになっています。このようなシステムのために、このシステムを利用することによって金融機関や仮想通貨を引き出すことが出来る場所から遠い地域に居住する人や治安に不安がある地域、そしてインターネットが接続出来ない環境の地域でも仮想通貨投資を行なうことが可能となるので、更に仮想通貨投資を行なう人が増えていく可能性があります。
インターネットを介した仮想通貨投資の現状と課題
ところで仮想通貨にはビットコインを筆頭にリップルやイーサリアムそしてビットコインから分岐したビットコインキャッシュなどがありますが、全ての仮想通貨はインターネットを介して取引を行なうことが出来るインターネット上の通貨となります。そのようなインターネット上の通貨である特徴から、通常の紙幣のように盗まれたり火災などによる紛失はありませんが、ハッキングによって仮想通貨が盗まれる事件が発生しています。
例えば香港にあるビットコインの為替両替所を運営しているBitfinexがハッキングによって日本円にして約65億円の被害を受けたことがありますし、韓国では世界最大級のビットコイン取引所であるBithumbがハッキングの被害を受けて、3万人もの顧客データが漏洩してしまったことがありました。一方イーサリアムでもイーサリアムクライアントであるParityが提供しているマルチシグウォレットでシステムの脆弱性が発覚し、その脆弱性をついたハッキングによって日本円にして約34億円分が盗難されたとイーサリアムジャパンが公表しましたが、Parity側の対応により現在Parityが提供する最新のマルチシグウォレットを使用する場合は、脆弱性による被害は受けることはありません。
基本的に取引を行なった記録に関してはブロックチェーンで管理しているので、記録を改竄したり、今まで存在しなかった架空の記録を作り出したりすることは出来なかったのですが、取引所を運営するシステムはインターネットに繋がっているソフトウェアである以上システムの脆弱性は存在し得る話しになってしまい、その結果そのシステムの脆弱性をついたハッキングによる被害が発生していることも事実といえ、しかも今後もシステムの脆弱性をついたハッキングとの戦いが続いていくことは、一般的に使われているWindowsの例を見ても容易に想像することが可能となります。
宇宙を介するビットコイン送受信システムが示す危惧される点と将来性
地域によっては政情が不安定なために自国通貨の価値が低かったり、テロなどが頻発することで手元の現金の管理の不安を覚えたりするような環境にいる人たちがいますし、銀行やATMなどが近くに存在しない金融インフラが整っていない地域が存在しています。そしてそのような政情が不安定であったり、金融インフラが整っていない地域でインターネットに接続出来なかったりする場合でも、この宇宙空間を使用してビットコインの取引を行なうことが出来るBlockstreamSatelliteを利用することで、その地域の現金を所有するよりも安全に資金を管理することが可能となります。そのために将来的には仮想通貨投資を行なう人が増えていく可能性があります。しかもビットコインの場合発行数が限られているために、希少価値が上がって更に高騰する可能性も出てきます。
ただ実際に人工衛星のネットワーク上でビットコインを取引する場合にはインターネットに接続する必要があるため、将来的にはこのネットワークがハッキングされる危険性がないともいえないのでその点の注意が必要にもなりますが、非常に将来性があるシステムのため今後の動向が注目されます。