2017年は仮想通貨元年と呼ばれていますが、仮想通貨市場は今年に入って下火が続いています。そんな市場とは裏腹に、2018年は地域仮想通貨が来る、といわれています。そこで今回は、地域仮想通貨とは?といった基本的な情報から地域仮想通貨を利用するメリット、そして実際に盛り上がりを見せている地域仮想通貨の紹介をしていきます。

地域仮想通貨とは?地域仮想通貨の基礎的情報

地域仮想通貨さるぼぼコインの将来性仮想通貨を知っている人でも、「地域仮想通貨」という言葉を聞いたことがない人は多いのではないでしょうか。しかし、「地域仮想通貨」ではなく「地域通貨」であればどうでしょうか?ある限定の地域で独自に発行され、使用されている通貨ということがなんとなく想像できますよね。そして地域仮想通貨を簡単に説明すると、地域通貨の仮想通貨バージョンということができます。

地域仮想通貨に関して詳しく解説するには、まずは地域通貨に関する基本的な情報が必要になります。地域通貨がブームを起こしたのは、なんと19年以上も前です。地域通貨の前身は地域復興券と呼ばれるものでした。当時は金融危機直後で、景気不振に陥っていました。そこで景気向上のため、小渕恵三内閣が全額国費補助によって全国の市町村にて発行させたのが地域復興券です。

地域復興券の有効期限は半年間で、15歳以下の子供がいる世帯主、または65歳以上の高齢者に対して一人当たり2万円分が配布されました。この政策に関しては賛否両論あったものの、これをきっかけに地方自治体や商工会が地域通貨発行に至ります。

地域通貨の隆盛と衰退

地域通貨発行の経緯に関して説明してきましたが、地域通貨はそもそもどのような目的で発行されたのでしょうか。一言でいってしまうと、地域通貨発行の目的は地域の活性化です。地域通貨には日本円などの法定通貨と同じように硬貨や紙幣など物質的な通貨が使われる場合もありますが、日本円で購入できるものは何でも購入できるというわけではありません。では、地域通貨では何を購入できるのでしょうか。

地域通貨で一般的に購入できるものの代表例としては、「誰にでもできるサービス」を挙げることができます。具体的には、掃除をする、買い物を手伝う、子供の面倒を見る、など時間単位で行うことができるものです。こうした一見ボランティアで行うようなものに対価を発生させることにより、サービスの受け手側は気軽に頼むことができ、サービスを提供する側は活動への意義を見出すことができます。このように地域通貨は両者にとってメリットがあり、結果的に住民同士のコミュニケーションが密になって結束が高まり、地域活性化へとつながります。

そして地域通貨が発行してからそのブームは徐々に上昇し、2002年には全国で260件、2003年には382件、2004年には508件と日本全国各地で地域通貨の数は増えていきました。しかし、2005年を境にそのブームは下火へとなります。2006年末の614件以降、現在の2018年間までの10年以上600件台のままです。なぜ衰退したのか、そこにはさまざまな要因がありました。

やはり地域通貨は「限定の場所でしか使えない」「地域の中でも使える店と使えない店が分かれている」「病院や交通機関で使えない」「おもちゃのようで使いづらい」「偽札が出てきそう」といったように、主に使い勝手の悪さが指摘され、利用者の間ではあまり評判が良くありませんでした。また、発行量や運営ノウハウなど地域通貨を維持するにもコストがかかり、運営側にも専門的な知識が必要なのも衰退の要因の一つです。

2018年は地域仮想通貨ブーム到来!?

電子通貨的な使い方で店舗での支払いが可能な「さるほぼコイン」地域通貨発行の目的と隆盛、ブーム衰退までの背景を見てきました。地域通貨が発行された当初同様、現在もなお地方創生というのは日本において大きな問題です。地域通貨は住民同士の関係性を強固にするにはうってつけの仕組みですが、そこには課題が多く生じています。

先ほども説明したように、やはり通貨の運営にはコストが多く生じ、管理が難しいというのが現状です。しかし、2017年に仮想通貨がブームになったことから地域通貨と仮想通貨、それぞれの良い点を掛け合わせた「地域仮想通貨」という新たな通貨が注目を浴びています。

仮想通貨の特徴としては、やはり実態のない通貨、管理者がいない、といった点が挙げられます。このように、現物の貨幣が必要なくなればその分コストを削減することができ、さらにブロックチェーン上で管理をすることにより運営側の負担が劇的に減ります。仮想通貨の特徴を取り入れれば、地域通貨の課題を解決することができるとし、2018年は地域仮想通貨のブームが到来すると予想されています。

地域仮想通貨の先駆け「さるぼぼコイン」とは?

実際に地域仮想通貨の先駆けとして成功を収めている通貨があるので、紹介していきます。その通貨というのが飛騨地域限定で利用可能な「さるぼぼコイン」です。さるぼぼとは飛騨発祥の伝統的な人形で、猿の赤ちゃんといった意味があります。そしてそのさるぼぼを公式キャラクターとしている飛騨信用組合がさるぼぼコインの運営母体です。金融機関が電子通貨を発行したのは日本初であり、こうした理由からも注目を集めています。

さるぼぼコインは、主にSuicaやEdyなどのような電子通貨的な使い方をされるため、ビットコイン(BTC)のような一般的な仮想通貨とは仕組みが違ってきますが、ブロックチェーンシステムが採用されています。さるぼぼコインの使い道としては、主に店舗での支払いです。支払いの手順としては、専用アプリ(ビットコインでいうウォレット)をダウンロードし、法定通貨でコインをチャージしておけば、店舗に設置してある2次元コードで即座に購入が可能です。

仮想通貨の特徴としては管理者がいないことによる価格変動が挙げられます。この価格変動により2017年では莫大な利益を出した人々が数多くいますが、実用面では使いにくいという欠点がありました。さるぼぼコインは、こうした仮想通貨と違い飛騨信用組合が運営している中央集権型の通貨であり、価格も1コイン=1円で固定されているため、利用者は安心して支払いに使うことができます。

さるぼぼコインのメリット、デメリットは?

現在電子通貨は数多く存在していますが、他の通貨ではなくわざわざさるぼぼコインを使う必要性はあるのでしょうか?ここではさるぼぼコインを利用するメリットと現状でのデメリットを解説していきます。まずはメリットから見ていきましょう。さるぼぼコインには主に3つのメリットがあります。

まず一つ目は、やはり支払いが簡単だということです。さるぼぼコインは主に支払い手段として利用されているため、決済スピードの速さに力を入れています。わざわざ現金を出すのではなく、2次元コードを使ってキャッシュレスで会計できるのが大きな魅力です。ただ、決済スピードの速さに関しては他の電子通貨も同じです。そこでさるぼぼコインの特徴としては、チャージ時プレミアムポイントがつくことで他の通貨と差別化をはかっています。

二つ目のメリットとしては、外国人利用者が利用しやすいという点です。さるぼぼコインが普及している飛騨高山地域は、外個人観光客が多く訪れます。特に飛騨市は映画「君の名は。」の舞台になった地域であり、近年特に外国人観光客が増加しています。そしてさるぼぼコインはクレジットカードからもチャージが可能ですので、外国人の方がわざわざ日本円に換金する手間もなくなります。また、アプリが多言語対応という点も外国人利用者の増加を促しています。

そして3点目のメリットが、手数料の安さです。これは利用者ではなく決済導入店舗のメリットです。通常クレジットカード支払いに対応している店舗では、3~4%の手数料を負担しています。売り上げが大きくなればなるほど手数料も高くなってしまいます。しかし、さるぼぼコインではこの手数料を0.5%に抑えることができるため、導入店舗からしたら嬉しいメリットとなります。

今までさるぼぼコインのメリットを紹介してきましたが、チャージに手間がかかる、チャージしたコインに有効期限がある、対応店舗がまだまだ少ない、などの課題も多く存在しています。しかし、さるぼぼコインは2017年12月に発行されたばかりです。新規機能の追加や加盟店増加など、常に改善を繰り返していますので、今後のさるぼぼコインに期待しましょう。