2008年に誕生した仮想通貨は、2018年で10年目となりました。当初は、実験的な開発であり、実際に今のような様々な市場が形成されるとは、想定されていませんでした。しかし、今やビットコインやアルトコインを通貨として利用することができるようになり、国内でも大手企業を中心に決済手段として利用可能となっています。また、2017年4月に施行された改正資金決済法では、仮想通貨をデジタルな通貨として認めたことで、さらに市場が整備されています。

しかし、ビットコインやアルトコインの投資家も、実際仮想通貨を利用している人であっても、立場は違えどもビットコインやアルトコインの価値について疑問を感じている場合があります。なぜなら、ビットコインやアルトコインそのものは実体を持たない通貨で、その通貨の価値を示すものが分からないという点があるからです。

法定通貨は、国の信用を担保にした価値が基準となっているので、経済力などを判断基準として考える事ができます。しかし、ビットコインやアルトコインは非集権であり、中央銀行や国の管理下に置かれていないので、価値を保証するものを見つける事が難しいといえます。

そこで今回は、仮想通貨の価値とは何かという事や市場との関係性などについて解説していきます。

仮想通貨の価値とは

ビットコインやアルトコインの投資家であっても、そのコインの価値とは何かと聞かれても回答を出すことは難しいです。法定通貨のように決済手段や送金手段として用いる事はできますし、最近では企業の新サービスの基盤として活用されることなど価値に通じる事象は見つけられます。しかし、「その価値とは何かと」考えた時に、明確な答えを出すに値する事象となるかは、人によって異なります。

なぜ、ビットコインやアルトコインの価値について、2018年現在も議論が交わされているかというと、その1つに非中央管理制度が関係しています。

法定通貨は、各国の中央銀行が発行・管理し、市場の調整も行っています。また、通貨は国の信頼性や経済力が関係しているため、価値として考える事ができます。ただ、法定通貨に関しても追及すればするほど、価値について説が増えていくため仮想通貨同様に議論されることがあります。例えば、信用貨幣という考え方がありますが、これは使う人が価値のある通貨と考える事で利用者数が増え、結果的に価値が上がっていくというものです。

一方、ビットコインやアルトコインの場合は、中央銀行ではなくブロックチェーンを用いた分散型の管理方式です。さらに、システムを維持・管理しているのは、そのコインを利用する1人1人のユーザーなので根本的に法定通貨と仕組みが違います。

従って、美っとコインやアルトコインの価値を担保している「何か」は存在しないので、1つの見方としてビットコインなどを利用する人が増え、実需が増えることが価値発生・上昇の要因ともいえます。しかし、ビットコインやアルトコインそのものの価値については、解決しておらず利用している人を基準にしてしまうと単なる需給関係のみになってしまいます。しかし、前述で解説したように、法定通貨には信用貨幣という考え方があり、そちらの考え方に当てはめるとビットコインやアルトコインも同様に信用で成り立っているという理論になります。

他にも仮想通貨の価値についての考え方があり、それは信用貨幣とは違い、金などの資産と同様の価値として捉えるという考え方があります。ビットコインや多くのアルトコインは、はマイニングによって新たな通貨が発生しますが、この時のコストや希少性を価値として捉えるということです。金などは、電子回路や貴金属類に活用されていますが、古くから資産家などが資産の証として保有していました。

しかし、仮想通貨を金などのように希少性のあるモノとして位置づけると、今後一般に流通した場合経済圏が保てるのかという疑問もあります。ですので、こちらはビットコインやアルトコインを通貨として活用せず、別の用途で開発されている場合に当てはめる際に考えられます。

また、ブロックチェーン技術など技術面での価値を基準においた考え方もあります。これは、仮想通貨投資家や仮想通貨を使ったプロジェクトを進める方に多い考え方で、仮想通貨の価値を技術的価値に当てはめています。

その場合、ブロックチェーン技術は希少性があり、既存の技術よりも優れているという条件が必要ですが、2018年時点で考えてみると既存の技術より優れている側面もあります。しかし、仮想通貨を知らない・使っていない人たちを含む身近なシーンで、仮想通貨を使った新しい技術は実用化されていません。決済手段や送金手段としては活用されていますが、ブロックチェーン技術に焦点を当ててみると難しい部分があります。

また、現在様々な企業が仮想通貨のブロックチェーン技術を使ったプロジェクトを進めており、内容も希少性を打ち出したものではなく、誰もが利用できるシステムというテーマが多いです。従って、技術的に優位な側面がありますが、実用化が進むほど希少性という点で一般化される可能性があります。ただし、ブロックチェーン技術自体は、まだ成長余地のある分野なので同時に仮想通貨市場の価値も評価される場合も考えられます。この考え方で価値を分析すると、将来的にポジティブな材料があります。

2018年の仮想通貨市場

従来の海外送金サービスよりも低コストで早い送金が可能になることで仮想通貨の価値が上昇前述でも紹介したように、2018年の仮想通貨市場は様々な企業やチームが、ブロックチェーン技術やプロジェクトを立ち上げています。玉石混合ではあるので、安易にICOに手を出すのはハイリスクですが、リップルの開発チームが立ち上げた国際送金サービスは将来的に評価される可能性を秘めています。

リップルは、多くのコインの中でも特に送金処理速度がはやく、低コストで送金できるので多くの投資家がリップルを購入したり、実際にリップルを使って送金する人に利用されています。さらに、リップルの開発チームは、現在法人向けにリップルを使った海外送金サービスのシステム開発を続けています。これが実現すれば、従来の送金サービスよりも低コストで早い送金が実現できます。

また他にも様々なコインを使ったプロジェクトがあり、最近ではイーサリアムのスマートコントラクト機能を活用したゲームが開発されています。国内でもゲーム企業とブロックチェーン技術関係の企業が連携して、ゲーム内通貨をアルトコインに置き換える事で、新たな価値を生み出してゲームとしてリリースする予定があります。

このように、ブロックチェーン技術を使った様々なプロジェクトが進行しており、企業も注目していることが分かります。

つまり、2018年の仮想通貨市場の状況を考慮すると、価格は下がっているものの、ブロックチェーン技術とそれに伴うプロジェクトが進んたことに価値があると考える事もできます。

フィンテックと仮想通貨の将来性

仮想通貨の価値について、一般社会でも評価されるためにはフィンテック関連のプロジェクトが、更に広がり、それ以外の分野でも認識されるようになることが必要です。2018年の時点で、一般の方にとって仮想通貨とは、新しい分野で法定通貨と同様の価値として考えている割合は少ないです。また、フィンテック分野もエンジニアや、投資家にはしられているでしょうが一般には正しく認知されていない状況です。

従って、仮想通貨の価値が信用貨幣や希少性、ブロックチェーン技術と、どのような基準として定められていても、一般社会にフィンテック分野同様に認知されて「価値」についても認識される必要があります。

2018年は、仮想通貨も上昇と下落を行き来しているため、仮想通貨投資初心者は相場を不安視する場合もありますが、企業の参入など新たな大きい情報も入っている為、「価値」は明確に示されずとも成長しています。

また、今後長い時間を掛けて仮想通貨の「価値」について、共通認識が広まることがポイントとなります。