仮想通貨の取引で得られた所得は雑所得か事業所得に該当
2017年12月1日国税庁はビットコインなどの仮想通貨の売買や、仮想通貨間の交換などを行なうことで得られた所得についての計算方法を公開しました。それによりますと、まず売却した場合には仮想通貨を購入した時の円の価格と売却で得られた円の価格の差額分が所得となり、仮想通貨を利用して商品を購入した場合には円に交換した時の価格から購入して残った残額が所得となります。そしてその時の所得の扱いは共に雑所得になります。
また所持していた仮想通貨で他の仮想通貨を購入した場合ですが、所持していた仮想通貨と購入した仮想通貨を共に円換算を行ないその差額が雑所得となります。そのため所得税と住民税の支払いが発生することになり、他の雑所得と合わせて年間20万円以上の雑所得がある場合には確定申告を行なう必要があります。ただし個人で仮想通貨の売買などを行なっている場合は雑所得ですが、仮想通貨投資を生計にしている場合は、個人事業主として認められれば事業所得として認められる可能性もあります。
事業所得は仮想通貨の取引などで得られた全ての収益から必要経費などを差し引いた金額になり、例えばトレーディングルームを決めてその部屋の中で専用のパソコンや専用のスマホを使用して1日仮想通貨の取引を行なっている場合には、そのパソコンやスマホの購入費は必要経費として計上することが可能となるため、頻繁に取引を行なう場合には個人事業主として認められると節税対策になります。仮想通貨の証拠金取引は総合課税の対象になり、マイニングは得られた利益から必要経費を差し引いた金額が所得になります。
国税庁が示す購入単価の計算方法は移動平均法と総平均法
仮想通貨を売却したり所持している仮想通貨を他の仮想通貨に交換などを行なったりしたときの収益の計算を行なうには、購入単価を計算する必要があります。しかし頻繁に取引を行なう場合にはその計算が煩雑になることもありますが、国税庁が挙げている購入単価の計算方法には移動平均法と総平均法のどちらを選んでも良いということになっています。
移動平均法は購入を行なうたびに既に所持している仮想通貨の購入金額と新しく購入に費やした金額を合算して平均をとる方法になりますし、総平均法は前年の繰越分も合算した一年分の購入金額を基にして平均単価を算出する方法になります。どちらの計算方法を選択するかは取引のスタンスなどで変わっていきますが、例えば購入してから売却を行わずに長期間保有する場合などは移動平均法が楽でしょうし、長年に渡って毎日複数回頻繁に取引を行なう人は総平均法があっているといえます。
仮想通貨の分裂時など所得の計算に関する国税庁が示す3つの注意点
最後に仮想通貨を取り扱う場合に国税庁が注意しなければならない点を3点ほど示しています。まずビットコインは今年に入って2回分裂が行われてビットコインキャッシュやビットコインゴールドが誕生しました。そして今後も分裂がなされて新しい仮想通貨が生まれるという噂が幾つか存在していて、今後も新しい仮想通貨が誕生することが想定されますが、その場合でビットコインキャッシュのように誕生した新しい仮想通貨が配布されたときは、まだ所持しているだけなので価値は存在しておらずそのため所得になりません。しかし新しい仮想通貨の売却や、交換などを行なうと初めて価値が発生して所得となるため、注意が必要となります。
仮想通貨の取引所によっては証拠金取引を行なえる取引所がありますが、国税庁の見解では証拠金取引といっても商品先物などと同じ扱いになっていないため、株式投資やFXのように前年の負債を繰り越して今年の所得に合算する繰越控除を行なうことは出来ないことも注意する点になります。
そして国税庁の見解では購入単価の計算で発生する1円未満の端数は切り上げてもいいということになっているため、頻繁に取引を行っている場合は端数の切り上げによって所得に影響が出ることもあり得るため、注意が必要となります。