日本でも幾度かマスコミ等で紹介されたりしているので、ICOという言葉を聞いたことがある方もいるのではないでしょうか。後程後述するので、簡単にICOを説明しますと、ICO(initial Coin Offering)の略で、ある企業が新しく事業を起こすために必要な資金を、ICOという新しい方法で資金調達をすることができます。
ICOを日本で一躍有名にしたのが、COMSAというZaif仮想通貨取引所を運営している、テックビューロ社が発行したICOです。12月4日にZaifで売り出されるのを待つばかりですが、すでにトークンセールで109億円を売り上げたことで、有名になりました。一般企業では、東証二部上場企業であるプレミアムウォーターホールディングスはICOを検討したということで、大きく株価を上げました。おそらく来年2018年にはもっと、色々な企業がICOを採用し新しい資金調達方法にしていくのではないかと考えています。
今日は、ICOというものがどのようなものなのか、そして現在ICOは各国でどのような扱いをされているか、そしてこれから注目されるであろうICOを紹介していきます。
ICOとは
冒頭で説明したようにICOとは(initial Coin Offering)の略で、新しくトークンという会社の通貨を発行し、ICOでビットコインやイーサリアムなどと交換し取引所で売却することによって資金を得ることです。トークンというのを説明しますと、ビットコインやイーサリアムなどのブロックチェーン技術を利用して作られた通貨のことです。
現在企業が資金を得るのに、銀行やベンチャーキャピタルを利用することが大半でした。ベンチャーキャピタルとは、ベンチャー企業の株式を引き受けることによって、株式公開したときなどのときに、売却し利益を得る組織のことをいいます。この銀行やベンチャーキャピタルから融資を受けるということは、もちろんメリットがあります。しかし当然のことながら、デメリットもあります。
メリットは、
・資金調達がしやすくなる。
・事業提携先の紹介をしてもらえること。
・経営支援を受けることができる
以上があります。逆にデメリットとしては、
・出資者に従わないといけない。
・結果が付いてこない場合、資金を回収される。
・上場する場合などに費用が掛かってしまう。
などが考えられます。
ICOの仕組み
では次にICOでの資金供給とは、一体どのようなものなのかを説明していきます。
仮にあなたが新しい画期的な商品やサービスを考え付いたとしました。ですが、その商品やサービスを製品化するには、お金が足りません。今までなら、銀行やベンチャーキャピタルに資金を提供してもらいました。しかし今回はICOという新しい手段を採ることにします。
ICOを発行するにあたって最初にすることは、ホワイトペーパーと呼ばれる手引書のようなものを発行しないといけません。なぜならば、自分がどんなに画期的な商品やサービスを考えたとしても、宣伝をしないと発行したトークンをICOで買ってくれる人がいないからです。
ICOは基本、全世界に向けて宣伝をするので、ICOのホワイトペーパーは英語をベースとして書かれていることが多いです。このICOのホワイトペーパーの出来不出来で、ICOの売り上げが大きく変わってしまうのでかなり気合をいれて作らないといけません。
ICOは株式と違いどんなに新しくICOを発行してもICOで価値が落ちることはありません。逆に株式の場合、新しく株券を発行してしまうと1株あたりの収益が希薄化(価値が下落する)してしまい、株価を下げる大きな要因となってしまいます。最後にトークンの価格と投資期間を決めた後トークンの販売開始となります。
以上のように、ICOでの資金提供を考える場合、何もかも自分で行わないといけませんが、当事者が直接ICOで発行できるので、比較的安くICO設定できるなどのメリットもあります。
各国のICOに対する見通し
新しい資金調達方法として、注目をされているICOですが、日本ならびに周辺国の各国のICOへの現在までの対応を書いていきます。
日本
詳しい見解はまだ発表されていないようですが、どちらかといえば日本政府は、仮想通貨などに対しては寛大な考えをもっているようです。しかし今後の成り行きを見守っていく必要があるでしょう。
中国
ICOによる資金調達は、中国人民銀行によると「経済及び金融の秩序を乱す」として禁止しました。新規のICOも全面的に禁止になってしまいました。
韓国
現在、韓国の金融委員会は中国と同様にICOを完全に禁止としていますが、今後、改善していく方向に舵をとったようです。
アメリカ
アメリカ証券取引委員会は、各国よりもいち早くICOに対しては処罰の対象のとなることを明言しています。しかしまだ決定的な発言はなく、規制を設けることで認可していくようです。
ロシア
すでにロシアの国会ではICO合法化法案が提出され、国としてICOをサポートしていくようです。
各国ともに、ICOに対しては規制をかけているところがほとんどなのが分かります。ただ、これから、議論が活発化していけば、少しずつICOへの規制も弱くなっていくと考えています。
これから注目になってくるであろうICO
前述したようにホワイトペーパーのほとんどは英語で書かれていることが多いですが、それでも日本語で読めるものも中にはあります。その中で今後話題になるであろう、ICOをいくつか紹介していきます。
AMPLE!
「職業:コスプレを一般化する」を目標にAMPLE!はトークンとして販売されました。目標金額1億円だったにも関わらず、すでに2億円に達していることから、このトークンがいかに注目をされているのかが分かります。さらに、堀江貴文氏がアドバイザーとして就任していることも話題となりました。
MEDIBLOC
ブロックチェーン技術を基盤に患者、医療提供者、研究者から発生した医療情報を全て一カ所に保存、管理をし、全て共有をすることを可能とする医療情報システムです。三者で医療情報を共有することによって、新しい医療システムと医療分野における革新をもたらすことを目標としています。
すでに20億円を集めています。
Worldcore
イーサリアムが作られた際からworldcore は、一流の決済機関として認識されていました。2017末までの取引金額がEUR100億以上とされています。
すでに購入されたトークン数は、113,334,880で人気を博していることがわかります。
Aeron
ブロックチェーンを利用して、航空機事故を防ぐために必要な、航空機のメンテナンスやログデーターの改ざんなどの諸問題の解決を呼び掛けています。航空機事故の約8割が人的要因と技術的な問題とされているので、Aeronを使用することによって、劇的に航空機事故を減らすことができるとされています。
ICOはしっかりと検討した上で投資する
今後ICOは少しずつ、世間に認知され浸透していくと思われます。しかし中には詐欺やねずみ講に近いものも多く、投資家はそれらを見極めるための知識や知恵が必要です。前述したように、ホワイトペーパーは英語表記のものも多いため、英語が不得意な場合は、手を出さないというのも自己防衛の一つでしょう。仮に日本語で書かれていて、他のブログやホームページで良いように紹介されていたとしても、一旦疑いを持ち自分自身で調べてみて購入するか否かを考えてみることが重要です。
ICOとして発行されたトークンは、価値があると市場が判断をすれば、元が安い分、短期間で数倍はおろか数十倍も夢ではありません。しかしトークンは発行している企業に価値がないと分かってしまったら、一気に価値が無くなってしまい、ゼロとなる可能性すらあってしまいます。なので、ICOはビットコインやイーサリアムなどの仮想通貨以上に購入するときは考えないといけません。