「特定の場所で買い物をするとポイントが貯まる」「ポイントを貯めると買い物に使うことが出来る」というと、われわれ日本人にとって身近なのはTポイントや楽天ポイントなど、企業が発行する「ポイント」が挙げられます。仮想通貨にも、そのプラットフォーム上で通貨を利用すると、ポイントのような形でトークンが付与される仕組みを使って流通させようとする通貨が存在します。今回はそのような「ポイント」系の仮想通貨の代表例としてBitRewordsを紹介します。

BitRewords(ビットリワード)の概要

仮想通貨BitRewords(ビットリワード)の将来性BitRewords(ビットリワード)はTポイントや楽天ポイントと同じように、加盟店に対しての決済を行った際、ボーナスとしてトークンを受け取ることが出来る仕組みです。Tポイントの場合は、加盟店が加入料を支払う必要があるようですが、BitRewordsの仕組みへの加盟は完全無料となっています。

発行元は、ロシアのGIFTED.techという2012年に誕生した新興企業です。自身が買い物やサービスを利用することでトークンを得る、というのが基本的な流れにはなるようですが、知人をプラットフォームに招待することや、招待した知人が決済を行うことでも報酬が得られるようになっています。

このような仕組みを作ることで、プラットフォーム利用者を拡大していく準備も整っています。また、加盟店の側がトークンを保有、利用することに対するインセンティブも敷かれているようで、サービスを提供する側と受ける側、双方がBitRewordsを有効活用することでBitRewordsの価値を上げていくことを目指しています。

企業の発行する「ポイント」とどう違うのか

仕組みとしては「Tポイント」「楽天ポイント」などと近いような感じのBitRewords(ビットリワード)ですが、以下の2点において、それらの企業が発行するポイントと差別化を図っています。

① 発行上限枚数がある

企業が付与しているポイントは、多くの場合、現実のお金を使った分だけ付与されるため理論上は無限に発行することが出来ます。一方で、BitRewordsは仮想通貨であり、発行上限枚数も決まっております。上限が決まっているという限定性により、価値の上昇も期待することが出来ます。

② ブロックチェーン技術を用いて開発されている。

ブロックチェーン技術で開発されていることで、日本円の代わりとして使うことしかできない一般的なポイントと違い、他の仮想通貨などの資産との交換が比較的容易となっています。加えて、堅牢なセキュリティシステムを実装することにより、ハッキングやシステムエラーによる盗難や消失のリスクも抑えられています。

BitRewords(ビットリワード)の特長

BitRewords(ビットリワード)は、セキュリティも担保されていますが、その仕組み自体は複雑なものではなく、アイデアとしても既存の仕組みに改良したものであるため、他のプロジェクトからも似たような仕組みが出てくることは想像に難くありません。

例えば、競合プロジェクトとして挙げられるのはGatCoinです。こちらは「クーポン」などという言い方をしていますが、仕組みとしてはよく似ています。加えてGatCoinは,プレセールのみで目標金額を調達しICOが行われなかったほど、期待値の高いプロジェクトで、実際に既に取引所に上場しています。こういった競合に対してのBitRewordsの特長としては2点ほど挙げることが出来ます。

1点目は、開発元であるGIFTED.techは、設立当初からブロックチェーンと絡めてはいないものの、eコマースを5年間展開してきた実績があり、既にノウハウや既存のサービスからの信頼性があるという点です。もちろん、ICO自体が上手くいかない、という可能性はどのプロジェクトも孕んでいるものではありますが、少なくとも資金だけ集めて消えてしまう詐欺案件の可能性は極めて低いと言えるでしょう。

また、プロジェクトの前提となる(ブロックチェーン抜きの)プラットフォームの運営ノウハウがあるため、運用が始まってから些細なことでトラブルになる可能性も低く、新規参入者が他のプロジェクトと比較し、安心して参加でいるという点も挙げられます。

2点目としては、先述の通りですが、加盟店側が参加に対して費用を支払う必要がないという点です。この仕組みの中で胴元が採算をとるために、多くのプロジェクトが加盟店から参加料を取ることを前提としています。

それでも加盟店にメリットが大きいからこそ、期待値の高いICOも現れるのでしょうが、BitRewordsは加盟にあたり、参加費を取っていません。参加費を徴収しない仕組みを取り入れ、参加のハードルを下げ、プラットフォーム自体を拡大することによって、発行元が元を取れるような設計がされているのでしょう。

こういった特長があることから、他の競合プロジェクトへも優位性をもち、ICOを評価するICObenchやTrackICOなどといったレビューサイトからも高い評価を得ています。

BitRewords(ビットリワード)のロードマップ

身近なポイント系仮想通貨の代表「BitRewords」BitRewords(ビットリワード)のプレICOは2018年の1月12日~3月31日まで行われ、この期間の購入者にはボーナスが付与されました。その後4月1日~4月30日までICOが行われ、この時の購入レートはボーナスこそつかないものの、レートとしてはプレICOと同じ、1BIT=0.00003472ETH、最低購入金額は5000円未満でした。

資金調達のみが目的の詐欺ICOにありがちな特長として、ICOセール期間で金額が何倍にもなったり(上場してから価格を上げようという意図がない)、最低購入金額が高額だったり(持ち逃げする意図のため少額の集金ではパフォーマンスが悪い)といった特長を持っているケースが多いですが、このICOはそういった特長がなく、この点においては優良なICOの可能性が高いとみることが出来ます。

また、このICOはソフトキャップ(集めたい資金の最低ライン)が300万ドル、ハードキャップ(集めたい資金の上限ライン)が1500万ドルとなっていますが、ICO期間中に売れ残ったコインはバーン(消失)させることで、過剰供給を防ぐ仕組みが取られています。

2018年6月~7月に大手取引所に上場予定とありますが、7月6日現在、どこかの大手取引所に上場しているという情報は入ってきていません。公式ホームページを見ると、HitBTCの名前が出ておりますが「Available soon」となっており、現在のところHitBTCへの上場もしていないようです。

加盟店への報酬システムは既に出来上がっており、現在は利用者向けのシステムを構築している段階、ゆくゆくはAIとも絡めていく予定となっているようです。

既存の仕組み×ブロックチェーンでeコマースの利便性は加速するか

以上、BitRewords(ビットリワード)の概要を見てみました。特別目新しい仕組み、というよりは、ブロックチェーンを活用することで、既存の仕組みよりもプラットフォームを活用したり、拡散したりといったことに対するインセンティブを強くし、また一方で加盟店にもメリットを出すことによって、仕組み自体を拡大していこうという姿勢が伺えます。

ブロックチェーンを使って、今まで見たこともないような仕組みを構築するようなプロジェクトも、革新的で見ている分には面白いのですが、プロジェクトが成功する可能性や、勘繰るとそもそも何もしない可能性を考えると、既存の仕組みとブロックチェーンを組み合わせて改良する仕組みの方が、プロジェクトとしての信用性は高いと言えるでしょう。

加えて、その発行元が「既存の仕組み」の方の運営ノウハウを持っていれば尚更です。ブロックチェーンを使って世の中の仕組みを変えていくプロジェクトはこれからもたくさん出てくることが予測されますが、まずはこのような身近な仕組みを少しずつ改良していくプロジェクトに期待をかける方が現実的、かつ投資を行う場合もハイリスクハイリターンな投機的なものにもならないのではないかと思います。