日本は世界でも稀にみるギャンブル大国だといわれています。競馬や競輪などの公営ギャンブルだけではなく、パチンコやパチスロといった(正確にはギャンブルではない)ものがあります。その上先日IR法案が衆議院を通ったことで、数年後には日本の各地に、世界共通のギャンブルともいえるカジノができることになっています。仮想通貨は、昨年ビットコインなどの仮想通貨が大きく価格を上げ、今年に入って大きく下落してしまいました。そしてそのボラティリティの高さから、「仮想通貨はギャンブルだ」という人がいます。では株やFXはギャンブルになるのか? パチンコやパチスロと仮想通貨の違いは?仮想通貨はギャンブルなのか?など様々な疑問を解決していきます。

日本で許可されている公営ギャンブルと還元率と監督省庁

現在に日本で容認されている公営ギャンブルは、宝くじ、競輪、競艇、競馬、オートレース、サッカーくじとあります。それにはっきりとギャンブルとはされていませんが、ギャンブルらしきグレーなものとして、パチンコやパチスロがあります。
全てのギャンブルには胴元と客がいるのはお分かりかでしょう。胴元というのはギャンブルを主催している人、または団体のことをいいます。そして「賭けた金額のうち何%が手元に戻ってくるか」という割合を「還元率」といいます。ギャンブルにおいてこの還元率が高ければ高いほど、客が勝ち易いと思ってください。

日本の公営ギャンブルで最も還元率の悪いギャンブルが宝くじの45.7%です。次いでサッカーくじの49.6%となっています。これを宝くじに当てはめると、1000円の払い出しに対して450円ほどしか払い戻しがありません。残りの550円が胴元に入る利益となっています。ギャンブル的な印象の薄い宝くじやサッカーくじですが、還元率がべらぼうに悪いという客泣かせのギャンブルになっています。実際宝くじなどの、くじで大きく当たったという方は中々いません。ギャンブルは、どちらかというと胴元が儲かるためのシステムとなっているのです。

そして各公営ギャンブルは競馬だったら農林水産省、宝くじなら総務省といった具合に監督官庁があります。以下の図は公営ギャンブルとそれを監督している省庁、そして法律名をまとめたものです。日本では、ギャンブルを国が管理しているということになり、よく考えてみると、おかしいと感じる人も多いのではないでしょうか。

これらの公営ギャンブルの売り上げは福祉や、インフラなどに使われていますが具体的にどのように使用しているかというのは明らかにされていません。ギャンブルで得た多くのお金が、どこで、誰のために使われたか100%はっきりとわからないというのも、日本のギャンブルにおける問題点であると言えるでしょう。

公営ギャンブルとパチンコやパチスロの違い

ギャンブルとしてグレーと言われているパチンコやパチスロは日本のどこにでもあり、一時は30兆円産業ともいわれていました。冒頭でも書いたようにパチンコやパチスロは、公営ギャンブルのうちには入りません。日本は賭博法でギャンブル、つまり賭博そのものを禁じているので、パチンコやパチスロは犯罪なのではないか? と思っている方も多いでしょう。前の表でもあるように、それぞれ公営ギャンブルには、監督官庁がいて法律が制定されています。パチンコやパチスロはギャンブルとしてはグレーであり、ギャンブル、つまり賭博とはみなされない仕組みとなっています。

パチンコやパチスロの場合は、一応警察庁ということになるのでしょうか。これらはギャンブルとされていないので、パチンコやパチスロは法律による制定がなく、監督官庁もありません。パチンコやパチスロはギャンブルではなく遊戯として扱われているため、法律違反ではないとなっています。ではどうしてパチンコなどは、ギャンブルではなく遊戯として取り扱われているのでしょう。それは「3店方式」という方式をとっているので、刑法185,186条に当てはまらないとされているので、ギャンブルには当てはまらないという
3店方式というのは、特殊景品のやりとりをすることで、パチンコ店が直接客に現金を提供しないシステムのことをいいます。このシステムを採用していることが、パチンコ店が正式なギャンブルではなく、グレーゾーンといわれている理由です。もし、特殊景品がなくなれば、パチンコはグレーではなくなり、ギャンブルとなってしまうということになります。

仮想通貨とパチンコ、パチスロの違い

仮想通貨とパチンコ、パチスロの大きな違いは、パチンコやパチスロは遊戯、仮想通貨は投資だということでしょう。パチンコやパチスロは主に店に行って遊び、勝ったり負けたりします。極端にいってしまえば、個人の結果が全てです。この先パチンコやパチスロがどうなるか、という未来には全く関係ありません。しかし仮想通貨への投資は新しい技術への期待です。ビットコインのブロックチェーンやイーサリアムのスマートコントラクトも、将来への期待から価格が上がっていきました。現在の仮想通貨は、ボラティリティが非常に大きくなってしまっているところが、ある意味ギャンブルを連想とさせており、勘違いを起こしている要因の一つでしょう。

仮想通貨と株式の違い

まず仮想通貨と株式の違いを図にまとめました。

上の図を元に説明していきます。

・実態の有無 株式には株券や株主優待券というものがありますが、仮想通貨には、ネット上にしか存在していません。同時に秘密鍵やパスワードの個人情報を無くしたりしてしまうと、一生取り出せなくなってしまうというリスクがあります。

・最低投資額 表に書いた342円というのはビートホールディング・リミティッドという1株単位で株を購入できる企業です。仮想通貨のほうは1円以下いわゆる、草コインといわれているコインは非常に多くあります。代表的なものに、XPコインがあります。

・ストップ高とストップ安 株式をしたことがない人でもストップ高やストップ安といった言葉を聞いたことはないでしょうか。これは値幅制限といわれ、ある一定の価格まで上昇または下落すると売買停止措置になるというものです。逆に仮想通貨にはストップ安やストップ高のような措置がないので、1日に数千パーセント動くというのも珍しいことではありません。

・取引所のリスク 日本には東京証券取引所や大阪取引所などがありますが、ほぼ倒産リスクはないといってもよいでしょう。しかし仮想通貨取引所の場合は、日本でも有名になったハッキングによる取引所の倒産やサーバーが込み合った売買不可能になってしまうなどのリスクがあります。

・取引時間 株式は主に9時から15時までがほとんどで、17時~11時59分はナイトセッションと呼ばれているものでPTSと呼ばれる私設取引システムとなっており、いくつかの証券会社しか行っていません。逆に仮想通貨取引所は、ほとんどの取引所が24時間取引可能となっています。

仮想通貨とFXの違い

FXというのは、2つの国の通貨(日本円と米ドルなど)を交換し、差額で利益を出すという方法です。それでは株式のときと同じように図でまとめていきます。

・取引時間 FX市場は世界のマーケットが開いているときしか取引ができないので、土日は休みとなっています。株式のところでも説明しましたが、仮想通貨の取引は24時間毎日取引が可能です。

・先物取引 FXは証拠金取引(口座に入金したお金で取引を行う)しかできませんが、仮想通貨の場合は、先物取引(将来の売買の約束し、現在の価格と将来の価格の価格差で取引をする)できます。

・スワップポイント FXには他国のお金を所有しているだけで、1日あたりいくらか貰えるという仕組みがあります。銀行に預けて置くと得られる、利息だと思ってもらえると分かり易いです。仮想通貨も種類によっては、FXでいうスワップポイントのような、仮想通貨を持っているだけで、仮想通貨が貰えるというものもあります。ただ、このような仮想通貨の種類は非常に少ないです。