2017年の仮想通貨市場は、ビットコインを中心に長期上昇相場で推移したことで、仮想通貨の個人投資家の中には、短期間で大きな利益を出した方も存在しました。いわゆる、億り人と呼ばれる一夜にして仮想通貨で資産を築いた方達のことです。このような状況もあり、これまで資産運用を始めたことのない、会社員や主婦の方達が仮想通貨取引を始めるようになり、同年12月頃には暴騰・暴落という大相場となりました。
仮想通貨市場が盛り上がり、テレビなどでも取り上げられるようになったことから、仮想通貨投資家の中には2018年も仮想通貨が上昇するという見方をする事例もありました。しかし、実際には2018年1月に起きたコインチェック事件や、世界的に仮想通貨規制を巡る議論が活発化したことで、ビットコインを中心に3月頃まで下落しました。しかし、7月中旬頃のビットコイン相場は、再び強気な相場となり出来高も急増しています。そこで今回は、仮想通貨の規制や禁止を巡る議論となっている理由や、各国の対応について紹介していきます。
なぜ仮想通貨の規制や禁止論が出てくるのか
国によって対応は違いますが、多くは仮想通貨に関する取引や保有を規制もしくは禁止するべき、という意見について議論が交わされています。仮想通貨投資を最近始めた初心者の方にとっては、なぜ仮想通貨を禁止にしようとする動きがあるのか疑問となっているでしょう。仮想通貨の規制や禁止に関する話については、企業や国によって事情が違います。従って、それぞれの背景を1つの理由でまとめると、間違った分析で仮想通貨の禁止について考えてしまいます。また、仮想通貨の禁止に関する理由は、明確な答えが出ていなので、各自常に情報収集する必要があります。
まずは、国による仮想通貨規制や禁止に関する議論の理由です。2018年時点で各国は、仮想通化の規制や禁止・賛成といったようにそれぞれ違うスタンスで主張しています。従って、後述で各国の事情について解説するので、ここでは簡単に説明します。
国による仮想通貨規制や禁止の理由として考えられるのは、マネーロンダリングや不正な資金移動を防ぐこと、また法定通貨が仮想通貨に換金されて資金の流出=景気変動に関係があるとされているからです。海外では、前者のような不正取引に仮想通貨を用いる事例があり、そういった犯罪を防ぐ意味も含めて、区によっては仮想通貨禁止に動いている場合があります。そして後者の法定通貨との関係性ですが、こちらに関しては仮想通貨投資家や、一般の方にとってデメリットとなる事ばかりではないので、仮想通貨を禁止するという動きを見せている国の場合は、中央銀行や政府が投機的なモノとして考えている側面があります。
企業が仮想通貨を禁止する理由についてですが、大手IT企業やSNS関連を手掛ける企業は、3月に仮想通貨のネット広告を禁止しました。従って、2018年7月時点で仮想通貨に関する広告を出稿することは、できなくなったので、個人投資家がブログで仮想通貨について情報発信したり、SNSで仮想通貨について呟いたりと、広告以外での記事や情報がメインとなっています。
仮想通貨広告規制の理由とは
なぜ、IT系企業は仮想通貨の広告を禁止としているのかについては、様々な理由が考えられ仮想通貨投資家によって見解が異なります。1つは、仮想通貨を活用した詐欺グループなどが、仮想通貨の広告を出稿して集客しないようにするためと考えられています。つまり、仮想通貨投資家が仮想通貨に関して検索した時に、悪徳業者などによる仮想通貨の広告を見てアクセスしないようにする、投資家保護という観点で禁止にしたという見解です。
もう1つの見解は、企業側が仮想通貨を禁止することによって、仮想通貨の市場を制限させて企業側の権利を守るという考え方です。つまり、現在のインターネットや検索エンジンは、企業側を中心とした中央集権型プラットフォームで構成されています。中央集権型のシステムを活用することで、企業側にユーザーの情報が集まりやすくマーケティングしやすい特徴があります。
対して、仮想通貨のブロックチェーンは、非中央集権型システムで構成されています。さらに最近では、仮想通貨の非中央集権型システムを活用した検索エンジンや、SNSのリリース・普及が予想されています。従って、仮に仮想通貨のブロックチェーンを活用した、検索エンジンが普及する状況になると企業側の優位性を保つことが難しくなります。このような事態を防ぐために、SNSや検索エンジンに関する企業は、仮想通貨の広告を禁止するといった、仮想通貨に対する厳しい措置を行っている見解があるのです。
国内の仮想通貨の禁止や規制を巡る動き
日本国内の仮想通貨に対する対応や見解について、わかりやすく紹介していきます。仮想通貨と仮想通貨取引所に関しては、特に寛容的な対応といえます。仮想通貨投資家の中には、改正資金決済法による仮想通貨取引所に対する規制などで、規制が厳しいと考える場合もあるでしょう。しかし、日本の場合は仮想通貨を禁止するために、改正資金決済法を施行したのではなく健全な市場形成を目的としています。
したがって、仮想通貨取引所は、法律で定められた要件を満たさない状態で運営していると、運営停止措置や業務改善命令となります。また、セキュリティや資金面などで、安定した要件を満たせず不安定な経営となる可能性がある取引所は、開設することができないよう定められています。
また、仮想通貨のICOに関しても、一定の規制を設ける方針ですので悪徳業者によるICO公募や、ICO市場の悪用を防ぐことが可能となるでしょう。このように、一見すると厳しいように感じますが、どれも仮想通貨投資家を保護しつつ市場を健全化させるための規制ということを理解しましょう。
世界各国の仮想通貨の禁止や規制を巡る動き
続いて世界各国の仮想通貨の禁止や賛成を巡る動きについて、いくつか紹介していきます。まず基軸通貨ドルを発行するアメリカは禁止など厳しい動きのイメージがありますが、実際には仮想通貨取引そのものは認めているため、方向性としては日本と似ています。ただ、ICOや金融商品として新サービスを展開する動きについては、規制など厳しい措置を検討しています。スタンスとしては、仮想通貨そのものは将来性があり認めている反面、投資家保護の観点からリスクのある新サービスやICOについては規制の立ち位置です。
続いて中国は、仮想通貨規制を超えて禁止を行う、代表的な国の1つです。2018年時点で、中国国内において仮想通貨取引・仮想通貨取引所の運営・ICO公募について全面禁止です。また、インターネットから国外の取引所へのアクセス遮断措置も検討しており、文字通り仮想通貨禁止のスタンスです。
他にはロシアも仮想通貨に関して声明を発表しています。その内容は、アメリカと中国の間といえ、以前は仮想通貨に関して禁止の方向性でしたが、プーチン大統領の意見などによって徐々に仮想通貨禁止から、一部制限を設けながら売買可能となるよう準備しています。
したがって、近い将来ロシアも仮想通貨売買ができる国の1つとして、仮想通貨市場の枠組みに参加することが予想されます。他にもヨーロッパや中東、南アジアといった様々な地域・国によって、仮想通貨に対する規制・禁止・賛成など措置が違います。しかし、全体で見てみると2018年7月時点で、仮想通貨を一部制限した状態で売買を許可する流れに変わりつつあります。
仮想通貨市場自体は成長している
仮想通貨の禁止や規制について不安視する、仮想通貨投資家もいますが2018年7月時点で日本国内では取引やICOなどが許可されているので、過度な心配は不要といえます。また、仮想通貨に対する対応は、世界的にも禁止など厳しい意見から、一部制限をかけるなど市場を残す方向で検討されています。
また、多くの企業にとって、仮想通貨を使った新システムの開発は新たな収益モデルとなる可能性があり、国としても仮想通貨禁止は損となる可能性があります。したがって、仮想通貨投資家は、世界情勢をチェックすることもしつつ、冷静に取引することが大切でしょう。