日本は、比較的仮想通貨に寛容的な国であり、国内の仮想通貨取引所も一定の要件を満たせば運営が可能ですし、実店舗で決済手段として導入されています。また、それだけでなく海外の仮想通貨取引所へ口座開設し、取引することも自由という世界的に見ると珍しいといえます。アメリカでは、特にICO案件や投資ファンド設立については厳しい姿勢をとっており、ヨーロッパなども一定の規制を設ける動きが続いています。
従って、これから仮想通貨投資をする方や、最近仮想通貨投資を始めた方は仮想通貨に関する環境が整っている事に気付く必要があります。そして、仮想通貨投資に関して比較的自由な取引ができるということは、国内の仮想通貨取引所で取り扱っている時価総額10以内の仮想通貨から、海外の仮想通貨取引所で取り扱っているマイナー仮想通貨まで、選択肢が広いことを表しています。そこで今回は、仮想通貨投資に必要な要素である、仮想通貨の価値を判断する材料の調べ方や、最近注目されている格付け会社の事業内容や、どのような格付けをしているか紹介していきます。
仮想通貨投資に必要な要素とは
仮想通貨の格付けについて説明する前に、仮想通貨投資に必要な要素について紹介していきます。仮想通貨投資初心者の中には、格付けについて知れば投資に役立つと考えがちですが、1つの要素だけに集中しても取引テクニックの上達につながりにくいでしょう。
仮想通貨投資に必要な要素、1つ目はなぜ仮想通貨投資を始めるかということです。一見すると、意味のない要素に感じますが、投資において目的・戦略を明確にすることは、分析や格付けといった各ツールを使う上で取捨選択しやすくなります。
また、目的意識や戦略が定まっていなければ、どのような仮想通貨投資をしていくかブレが生じる可能性もあり、取引に一貫性がないと損失リスクが増大します。従って、なぜ仮想通貨投資を始めるのか・始めたのか1度答えが出るまで考えることがおすすめです。
たとえば、仮想通貨投資で毎月数万円の利益を出して、お小遣いとして使いたい方と、10年・20年先の将来を見据えて資産構築の一環として仮想通貨投資を始めた方では、目標が違いますし仮想通貨市場に参入して、どのようなアプローチでどの金額まで利益を得られるよう取引するか全く戦略・戦術が変わります。
また、ちょっとした趣味感覚で仮想通貨投資を始めるのであれば、海外の仮想通貨取引所で比較的ハイリスクなマイナーアルトコインで取引を始めても、趣味の範囲で抑えられる損失であれば問題ありません。しかし、資産構築という将来を見据えた目標を立てたのであれば、毎月どの程度の利益率が必要で、1回の許容損失額がどこまでか・長期投資に向いている仮想通貨はどれか、といったシビアな戦略と戦術を組む必要があります。何となく仮想通貨を選んで、取引していては目標の利益を達成することは非常に難しいです。
仮想通貨投資に必要な戦略的要素
2つ目は、戦略が決まった後の要素で、どのようなスタンスで仮想通貨投資をするのかという点です。初心者でも分かりやすい方法としては、時間軸を考えて戦略を練る事です。1日の中で仮想通貨投資の取引を完了させるのであれば、短期的に値動きの幅がある仮想通貨を選ばなければ利益確定チャンスすら来ません。
また、反対に長期的に仮想通貨を保有するのであれば、大きな価値が見受けられ、なおかつ時事情報で価格変動が起きにくい仮想通貨を選ぶ必要があります。このように、取引のスパンで考えるだけでも、様々な仮想通貨の選び方が出てきます。
3つ目の大切な要素は、仮想通貨の選び方です。今回のテーマでもある格付けとも関係があるポイントです。仮想通貨は、市場が形成されてから年月が浅く、株式市場などのような長い歴史のある市場と比較して、価格変動が大きく変動要因についても様々な仮説が立てられている状態です。従って、仮想通貨を選ぶための基準や判断材料があることで、歴史が浅く変動の大きい市場でも利益を得るために大切といえます。
仮想通貨の価値や信頼性といった部分を判断する方法は、仮想通貨投資家独自の方法が編み出されており、明確な基準がありません。従って、これまでの仮想通貨市場は、それぞれの基準に基づいて通貨の信頼性を判断していた側面もあったでしょう。
しかし、近年仮想通貨業界にも、民間の格付け会社が設立され、ビットコインやイーサリアムなどを様々な指標から格付けしています。これにより、仮想通貨投資初心者のみならず、中には中級者以上も参考にして仮想通貨を選ぶ事例があります。
仮想通貨の価値と格付け
仮想通貨投資に必要な要素を説明してきましたが、続いては仮想通貨の価値と格付けの基本について説明します。仮想通貨に限らず、株式投資などでも格付け会社が存在し、企業の格付けなどを行っていました。企業の格付けを行うことで、その企業の事業運営が健全かどうか判断される材料となり、株価にも影響していきます。
同様に仮想通貨にも価値が存在しますが、その価値がどのような基準かは定められていません。そこで、仮想通貨の格付け会社は、主に技術・活用法・過去の相場や取引実績などを総合的に判断して、5つ程のランクで分けていきます。ランクについては、格付け会社によってAからEまで使用する所や、独自の採点方式で算出された数値をそのままランクにする場合もあります。
ただし、気を付ける点もあり、仮想通貨の格付け会社は明確な基準を公開していないため、各仮想通貨の何を基にして格付けをしているか投資家は判断できない側面もあります。従って、仮想通貨投資に格付けの評価を参考にする際は、100%参考にするのはリスク要因となるので、他の分析方法と組み合わせることがおすすめです。
仮想通貨の格付け会社とは
次は、仮想通貨の格付け会社について、概要と代表的な企業を紹介していきます。概要については、前述でも簡単に触れましたが、企業ごとの特徴を含めて詳しく説明します。仮想通貨の格付け会社としても有名な所といえば、Weiss Ratings社です。1971年にアメリカで設立され、主に投資関連の評価を事業としています。また、世界初の仮想通貨格付けを発表したことでも注目を集めました。
Weiss Ratings社が仮想通貨の格付けを行う目的は、歴史の浅い仮想通貨市場は基準となる要素が不足し、尚且つ不確定要素も多い状態を改善する為に仮想通貨の評価を行っています。また、仮想通貨投資家の判断材料として用いられるような、評価基準としての目的もあります。Weiss Ratings社が仮想通貨を格付けする詳細な方法は公開されていませんが、仮想通貨の技術や活用方法・過去の相場などを、総合的に判断して格付けするという情報までは出ています。
また、格付けランクはAからDマイナスの、9種類に分けられています。Aが最も評価が高く、Dマイナスが売却した方が良いという評価となっており、2018年7月時点でA評価の仮想通貨はありません。また、上から2番目の格付けランクであるBには、仮想通貨EOSとイーサリアムが入っており、ビットコインはCプラスと中程度の評価を受けています。
仮想通貨の格付け評価と精度
仮想通貨の格付けの公平性についてですが、仮想通貨投資家の間でも意見が様々となっており、その要因の1つが格付けの基準となる指標が明確でない点があります。株式投資における企業への格付けは、PERといった明確な指標を用いる方法があります。
しかし、仮想通貨の場合は、世界大手の評価会社Weiss Ratingsの格付けでも総合的な判断という、明確な基準が打ち出されていません。従って、仮想通貨投資家は正確な評価として、見ることが難しい部分もあるでしょう。ただ、仮想通貨の格付けに関しても、最近始まったばかりのサービスなので、今後改善と発展を繰り返して、精度の高い格付けへと近づく可能性があります。