仮想通貨を入手する方法としては主に、

1.取引所や特定の誰かから購入する
2.サービスの対価として受け取る(決済やアフィリエイト報酬)
3.マイニングの報酬として受け取る

などといった手法が考えられます。

仮想通貨を購入すれば自分の手元に残すことができるのは、外貨を購入するのと同じ感覚です。何かの対価として入手するというのも、仮想通貨を「価値の交換手段」として使っていることを意味します。

マイニングは既存のものと違い、仮想通貨特有の概念です。マイニングを通じて、その仮想通貨のコミュニティの発展に寄与したことで得られる報酬です。

一見、お金を支払っていなくても、2や3のような方法で入手した仮想通貨は、他者に対して何らかの価値を提供したことで得られているものです。しかし、世の中にはそういた直接の価値を相手に提供することなく、本当に仮想通貨を無料配布してもらえるケースがあります。

無料配布の方法は大きく分けて、

1.仮想通貨自体を無料配布でもらい続けることができる
2.主に上場前の仮想通貨を無料配布で受け取ることができる

の2つに分類されます。それぞれを簡単に見ていきます。

毎日無料配布される仮想通貨SwiftDemand

無料配布される仮想通貨にはどれだけの市場価値があるのか厳密には仮想通貨とは言えない面もあるのですが、SwiftDemandと呼ばれる「仮想通貨」が存在します。SwiftDemandの最も特徴的な点は、ログインし、「受け取る」ボタンを押すだけで、それ以外本当に何もしなくてもSwiftDemandを毎日、無料配布で受け取ることができる、という点です。

「Swift」が単位として使われ、無料配布されるのは1日に100Swiftです。毎日ログインしなくても、700Swiftまではまとめて受け取ることができるのですが、それ以上は放置しておくと増えなくなってしまいます。

また、アフィリエイトのような仕組みもあり、紹介URLから友人が登録すると、毎日無料配布されるのとは別に100Swiftを受け取ることができます。

「ベーシックインカム」を目指す仮想通貨SwiftDemand

毎日無料配布で受け取ることのできるSwiftDemandですが、SwiftDemand単体で現金や他の仮想通貨に交換できるものではありません。サイト内部で、他者が展開しているサービスを購入することができたり、極めて限定的ではあるものの、タイや大阪にはSwiftDemandで「支払い」を行ったり、飲み物やおつまみを提供したりする飲食店が存在します。

とはいえ、現状は取引所に上場しているような正式な仮想通貨と比べると、利用できるシーンが非常に限定されており、お金の「価値交換手段」としての機能を果たすことは出来ません。厳しい言い方をすると、価値を持っているとは言い難いかもしれません。

そんなSwiftDemandが目指しているのは、今世界でも一部の国が取り組もうとしている「ベーシックインカム」の世界です。ベーシックインカムとは国民に対し、生活に必要最低限のお金を政府が支給する仕組みのことです。毎日配布されるSwiftDemandが、生活に最低限必要なくらいの価値を賄うことで、人々の最低限の生活を保障することを目指しているのではないかと思われます。

実際のところ、毎日ログインするだけで無料配布されるデータにどのように価値がつくのか、といった点に説得力のある説明をつけることは難しく、SwiftDemandがベーシックインカム、もしくはその一部になる、という道のりも遠く感じます。

しかし、視点を変えてみると現在100万円に再度届こうかというビットコインも、かつてはゲームの報酬程度に考えられていたものであり、無料配布に近い価値でした。関わっていた人々にも数年先、これほどまでに価値を持つものだとは思われていなかったのではないでしょうか。無料配布されるSwiftDemandが本当に価値を持つかどうかはまだわからないですが、無料配布され続けるだけであれば本当にノーリスクですし、これが本当に価値を持った際は、全てが収入となりますのでSwiftDemandの趣旨に賛同する方や、価値を持つことに賭けてみたいという方は登録し、無料配布されているうちに、受け取るだけ受け取っておいてもよいかもしれません。

現在SwiftDemandは「SFT」という単位でイーサリアムをベースとしたICOを行いました。実際に上場してみないと、どのくらいの価値を持つかは分かりませんが、無料でもらえるデータに価値が付くという一見荒唐無稽な夢が、本当に実現するまで少し前進しているかもしれません。

仮想通貨の無料配布「エアドロップ」

一方で、価値を持つ(かもしれない)ことが前提の仮想通貨が無料で配布されることがあります。直近ではwowbitやAXEといった仮想通貨が上場前、もしくはICO段階で無料配布されました。主にはICO前、もしくはICO段階の仮想通貨ですが、サイトに登録するだけで、もしくはメールアドレスや名前を登録するだけで、仮想通貨が無料配布される「エアドロップ」です。エアドロップとは「空中投下」や「空から降ってくる」という意味で、まさに仮想通貨が手元に降ってくるイメージで使われいる言葉です。

何らかの方法で宣伝する必要があり、そのような総合的なイベントがエアドロップになります。エアドロップを利用するためにはメールアドレスのほか、仮想通貨のイーサリアムアドレス、ツイッターアカウント、テレグラムアカウントなどが必要です。特にイーサリアムアドレスは重要で、取引所などではなくウォレットを導入してアドレスを作成する必要があります。イベントによってもらえる条件が異なりますが、これらを用意しておけば無料配布で受け取るための条件をほぼ満たしています。

このエアドロップと言う手法は、無料配布なので損する人が存在せず、詐欺という言葉も存在しえないという、投資家にとって理想的なシステムです。また発行元にとっては無料配布によってプロジェクトトークン保有者を増やすことができ、あらかじめ、その仮想通貨の評価を計ることが出来るメリットがあります。今後このエアドロップによる仮想通貨の無料配布がスタンダードになっていくものと思われます。無料で配布される分その発行量は少ないですが、取引所に上場されれば、高値が付く可能性もあります。

金額はICOによってまちまちですが、ICOでの購入レートを基準に数百円~数千円といった単位での無料配布がほとんどです。先述のSwiftDemandの場合は価値を持つかわからない、というよりも少なくとも現段階ではつくのが難しいのではないかといったところです。手に入れられるコインは、今の時点で価値がそれほど高くないものかもしれませんが、将来的に価値が付けば100倍以上にもなる可能性があります。

しかし、ICOを行っているプロジェクトでは、もちろんプロジェクトが成功するという前提での話にはなりますが、発行する仮想通貨に価値が付く、そして上がっていくことを目指して資金を集めているわけで、ここで「無料配布」を行うのにはどういった目的があるのでしょうか?その目的によっては、無料配布を行って言うコインを避けるべきなのでしょうか?

一方で注意しなければならないのが悪意のあるプロジェクトも存在することです。このため、優良または少なくとも悪意のないプロジェクトであるか確認することが被害を受けないためには重要で、無料配布で貰えるコインに関しては、無条件に貰うのではなく信頼できるところのものであるか確かめる必要があります。

 

仮想通貨を無料配布する目的

具体的に、仮想通貨を無料配布する目的について、いくつか考察していきたいと思います。実際にどの仮想通貨がどんな目的で作られているかについては、個別に考察していく必要がありますので、照らし合わせながら考えてみてください。

広告効果

仮想通貨が無料で配布されるとなると、まず注目が集まりますので、その注目を利用した広告効果がまず期待できます。「とりあえず貰いに来た」人の中には、実際に無料配布される仮想通貨がどんなものなのか、細かく調べる人が一定数出てくることが期待できますので、それが有望な内容であれば、ICOの本来の目的でもある、資金集めに直接寄与することにもなりえます。

普及させること自体の価値

仮想通貨が価値を持つためには、広く流通し、使われていく必要があります。その前段階として、無料で配布することで、資金を集めることは出来ませんが、将来的なホルダーやユーザーの数を増やしておくためには有効な手段であると言えます。無償で配布された仮想通貨は、少なくない人が「負けはないのだから」と上場早々にあまり抵抗なく売却することが想定されるため、無料配布された仮想通貨は、早々に(そしておそらくは比較的安い価格で)市場に出回ることが期待されます。

個人情報の取得

あまり考えたくはないことですが、可能性の一つとして考えておいた方がいい視点についても言及します。そもそも上場させる気のない、もしくは上場しても価格を上げる気のないような資金集め目的のICOで無料配布を行った場合、期待しているのは上記のような経済効果ではなく、無料配布を受け取るために必要とされる個人情報の入手かもしれません。

「無料でもらえるのだからこのくらいは当然」という感覚で個人情報を記載してしまう人も少なくないとは思われますが、情報化社会において、個人情報は非常に重要なものとなってきますので、その取り扱いには個々人が十分に気を付けなければなりません。

 

新規発行の仮想通貨を流通させるために無料配布を行う

仮想通貨とは言うものの、元は正規の手続きを使わなければ複製することができない暗号キーのことであり、その暗号キーに金銭的な価値が付与されることで、はじめて通貨として使うことが可能になります。

現在では、ビットコインの成功以降さまざまなコインが登場していますが、新規発行するさいには無料配布されるのが一般的です。ビットコインも最初は、金銭的な価値はなく、どちらかといえば技術的な検証を行うために登場したものです。その目的としては安価に送金や決済をするためのシステムであり、暗号キーに送金データを付与することで取引所を通じてお金を預けたり引き出したりするようにしたものでした。それが利用者が雪だるま式に膨れ上がり、大量の現実通貨がビットコインという暗号キーに流入したことにより、現在のような世界規模のような膨大な価値を得るようになりました。

このため仮想通貨を新規発行した場合にはまずは流通させることが必要であり、このさいに無料配布されることあります。たいていの場合には発行した直後のことが多く、技術的な検証を行うために行われるものが一般的です。このような時点では、まったく価値のない状態と言えますが、上手く流通して現実通貨が流入するようになれば価値が高まります。しかし、無料配布されたものの上手く流通しなかったり、価値が見い出せなかったりした場合、それにプロジェクトそのものが中止または停止になった場合には、価値が上がることはありません。このため将来的に大きく成長するかわからないようなものは種コインとも呼ばれます。

 

仮想通貨詐欺にも使われる無料配布の罠

仮想通貨そのものは正しい知識を持っていれば、ほとんどトラブルに巻き込まれることはありませんが、知識が未熟な人をターゲットに詐欺行為を働くグループも存在します。その手口のひとつが無料配布の罠です。

この場合には、SNSなどにおいて無料配布するのでアドレスを教えてほしいというものです。アドレスを教えるとその人に対してどの程度の資産があるかブロックチェーンで調べ、大量のコインを保有していると分かれば、SNSのアカウントやメールアドレスを乗っ取るなどしてログインを試み、上手く行けばコインを引き出してしまうというものです。

このため無料で配布するというのは、相手の資産状況を確認するためのもので、実際に怪しまれないようにわずかなコインを得られる可能性がありますが、見ず知らずの人にアドレスを教えることは気をつける必要があります。

またSNS以外にも仮想通貨を手に入れたい人に対して、アドバイスをすると持ちかけてさまざまな事務手続き費用を請求するような業者も存在します。業者の中には事務手続きを行っている風に見せかけるようなところもありますし、ちゃんと取引所を開設して手に入れることも可能ですが、メールアドレスやパスワードなどが業者に漏れていることも考えられ、気づいたらすべての資産が引き出されているといった罠もあります。

いずれにしても仮想通貨の無料配布やその仕組みなどを十分に理解していない場合には、騙されるリスクが存在します。特にネット上にしか存在しないものであるため、これらを十分に管理できるだけの知識を有している必要があります。

 

仮想通貨の無料配布に価値があるかの判断

仮想通貨市場で売買されるまで無料配布通貨の価値は分からないそもそも無料で配布され続ける、仮想通貨(のようなもの)と、キャンペーンのような感覚で、プロジェクトの初期に配布されるもの仮想通貨は確かに存在します。一見、無料配布でノーリスクなので手当たり次第やればいいのではないか、とも考えられますが、行うにしてもある程度の判断軸は持った方がいい、と考えます。

無料で配布されても価値を持たなければ、もしくは価値が下がり続けていけば、手に入れるメリットはありませんし、無料といってもその登録に割いた時間が無駄になります。もちろん、自分が有望だと思ったものが最終的には無価値になってしまうのは仕方がないですが、片っ端から手を出すのは賢い行動とは言い難いです。

仮想通貨を手に入れる方法として無料配布は現在では多くみられるものです。しかし、無料で配布されるものに価値があるのかといえば、それはケースバイケースになります。基本的に仮想通貨の価値は、現実通貨の流入量で決定されるものです。現実通貨の流入は、そのコインに将来性や意味があるということを示しているバロメーターになります。

そもそも送金目的だけであれば、ビットコインも現在のような状態にはなりません。ビットコインが現在のようになったのは、投資として購入するグループが存在したことが大きな要因です。

 

一方でブロックチェーン技術は、金銭的なものではなく契約書といった面でも使われる可能性があります。このような実用的な目的があれば将来的に価値があるものに発展する可能性があります。無料配布されるものでも、そのような実用面があれば将来性がありますが、それ以外は意味があるのか疑問符が付きます。

特に中途半端なプロジェクトや明確な目的がない場合には発展は見込めません。それにプロジェクトに関わるグループが少ない場合も注意が必要です。明確な管理者が存在しないとはいえ、それらを運用していくためには中核となるグループが必要で、開発参加者が少ない場合にはプロジェクトが堅調に推移していても途中で中止される可能性もあります。

加えて、中には個人情報収集目的のものが紛れている可能性があります。そういった点を踏まえながらも、プロジェクトの信頼性や、相手の意図を考えながら選定を行うことは無料であっても変わらない視点です。このためお金を出して手に入れるにしても、無料で配布されるにしてもそのコインの将来性を考えて選ぶことが重要です。また悪意あるプロジェクトのコインであれば、個人情報を盗み出されるといったリスクがあるので注意が必要です。