仮想通貨の魅力はボラティリティが高く投機目的で保有すれば少ない元手でも大きな利益を獲得できるところではないでしょうか。もちろん、実用性があり私たちの生活でこれまで悩み事だった部分を解決してくれる技術があってこその仮想通貨です。
しかしながら現状は投機目的の要素が強いのは否めません。投機目的となれば希望する仮想通貨を取引所から購入します。世界には数多くの取引所があり気に入った取引所があれば登録して取引開始となるのですが海外の取引所ならば日本円が入金できない、国内の取引所であれば口座開設まで時間がかかるなどの不便さがあります。
そこで重宝されるであろうプラットフォームが今回紹介するWaves(ウェーブス)です。ウォレットに分散型の取引所を兼ね備えているので取引の際に取引所を介さずスムーズなやりとりが可能になります。さらに個人でも独自トークンの発行が可能になっています。全てが完成し、うまく稼働していけば単に仮想通貨としてだけではなくプラットフォームとしての価値も高まります。今回はその魅力的なWavesいついて解説していきます。
仮想通貨Waves(ウェーブス)の基本情報
Waves(ウェーブス)の取引が開始されたのは2016年4月のことです。「Nxt(ネクスト)」という仮想通貨が分裂して誕生した背景があり、ネクストはビットコインから派生した歴史もあるのでWavesもビットコインからの派生となります。通貨単位は「WAVES」で発行上限は1億枚です。2018年6月中旬現在の価格は1WAVES=約380円、時価総額ランキングでは40位くらいに位置しています。ICOを利用した過去もありますがトラブル発生価格を下げた経験もあります。
仮想通貨Waves(ウェーブス)の特徴
Wavesには様々な特徴があり、大きく言うと2つの特徴になります。まずはブロック承認システムでLPoS(Leased Proof of Stake)の方法を採用していることです。PoS(Proof of Stake)は聞いたことがあると思いますが、LPoS はPoSの仕組みにプラスαした承認システムです。PoSは保有している通貨量が多いユーザーがブロック承認の権限が得やすくなる仕組みです。その権限はフルノードと言ってこれまでの取引を記録したブロックを持っている参加者に与えられるので一般的な保有者に承認の権限が与えられることはありません。
しかし、LPoS(Leased Proof of Stake)の承認システムならばフルノードにWavesを貸し出す(Lease)ことで、フルノードがブロック生成に成功した時に利息をもらう仕組みになっています。ですから、一般的な保有者でもブロック生成(マイニング)による報酬が得やすくなっているのです。
もう一つの特徴はWavesのプラットフォーム上で独自トークンの発行ができることです。独自トークンの発行と聞けば何かの開発を行う企業や資金調達をする者とイメージするかもしれませんが、Wavesのプラットフォームでは個人でも独自トークンの発行が可能になっています。
トークン名、発行送料、最小単位、追加発行の可否を設定するだけですので企業や団体以外でも個人商店がポイントカードの代わりに発行することさえできます。実際にWavesのプラットフォームを用いたICOの実例もあり、オンラインゲームのプラットフォームである「Mobile Go」は58億円ほどの資金調達に成功しています。
仮想通貨Waves(ウェーブス)のメリット・デメリット
ここからはWavesのメリットとデメリットを順に解説していこうと思います。メリットは2つ、デメリットは3つあります。
Wavesの大きなメリットは特徴と重複するかもしれませんがウォレットに分散型取引所の機能があることです。仮想通貨で「分散型」と言うのはある意味キーワードにもなっていますが、ユーザー同士で管理や運営をしていくことです。通常の仮想通貨取引所は運営元が存在します。例えば、国内の取引所でビットフライヤーであれば株式会社ビットフライヤーが運営していますし、ザイフはテックビューロ株式会社が運営しています。そのような管理者がいることで使いやすくなっている部分もありますが、利用するには管理者への手数料が発生します。
さらに、預けた資産を保管する時に重要な秘密鍵の保管も運営元が管理します。それ自体問題はなさそうですがコインチェック事件のような事態が起こると資産を守れなくなります。その点、分散型取引所はユーザー自ら秘密鍵を保管できますし、管理者が複数いますのでハッキングリスクも回避できるメリットが生まれるのです。
もう一つのメリットはゲートウェイによって法定通貨の入金も可能になることです。ゲートウェイというのはウォレットに100ドル入れたとすれば同価値の仮想通貨が発行され取引が自由にできる仕組みです。今の所、法定通貨ではドル、ユーロ、仮想通貨ではビットコイン、イーサリアム、ジーキャッシュが対応可能です。今後の発展次第では日本円やその他の仮想通貨も自由に取引できる期待感もあります。
ここまでのWavesの特徴やメリットを考えると非常に将来有望なプラットフォームであり仮想通貨にも思えます。しかしながら、解消していかなければならないデメリットもあります。一つ目は、Wavesの魅力的な機能は今後も増えていくはずですが開発段階のものが多くなっています。これからスマートコントラクトの実装や匿名での取引ができる機能なども追加されていくようですが開発中で止まっているものが多くなっています。ですからWavesに期待を寄せる場合はそれらの進捗はチェックしていきたいところです。
二つ目はLPoS以外でもWavesを貸し出しても利益は受け取れますが、その利息が少ないのも残念な部分です。プラットフォームで独自トークンの発行も容易にできることもあり、いろんなトークンが乱立したことで貸し出しても満足な利息を得る可能性は低くなっています。最後のデメリットは国内の取引所では購入できないことです。
海外の取引所でも主だったところは「Bittrex(ビットトレックス)」くらいしかありません。よって国内の取引所でビットコインを購入しビットトレックスに送金してからの購入になるので少々手間になります。国内の取引所から送金する場合ならビットコインの送金手数料が無料のGMOコインがいいでしょう。
仮想通貨Waves(ウェーブス)の今後・将来性
特徴やメリットが多くありましたがこれからWavesがどうなっていくのかを最後に考えたいと思います。Wavesは法定通貨を否定するような立場ではなく仮想通貨も法定通貨も取引ができるようなプラットフォームに仕上げているので国家による規制の対象になるとは考えにくいです。
国家ではありませんが取引所が自主的に規制した例でいうとコインチェックは以前まで取り扱っていた匿名性の高い仮想通貨の取扱い廃止を行いました。マネーロンダリングなど犯罪に使われやすい銘柄を取り扱うことはリスクがあると判断したのです。取引所でも国家でも取引に規制がかかれば流通量も減りますので価値の低下、強いては存続の危機に陥ります。匿名性の機能搭載がどのようになるのかは気になりますが、今のWavesは規制の対象になる内容は無いと考えられます。
それから、独自トークンの発行が簡単で導入費用もほとんどかからない特徴を生かしていけば新たな経済研の創出にもつながるでしょう。発行したトークンは法定通貨や他の仮想通貨への換金も可能ですからポイントカードの代替わりにして、ユーザーは得たトークンを希望する通貨に変えて実用性を出すことも可能です。他の仮想通貨に交換して投資を行うことも、法定通貨に変えて資産を増やすこともできるのでユーザーの楽しみは増えるでしょう。
懸念材料とすれば似たような機能を持つライバルが偉大すぎて知名度にかけることでしょうか。プラットフォーム上でトークンを発行できる機能を持つ代表格にイーサリアムがあります。イーサリアムだけではなくネムも同様の特徴があります。
Wavesはそれら2つの存在にはどうしても劣ってしまいます。日本だけでみてもイーサリアムもネムも国内の取引所で扱っているので、その点も影響があると思います。Wavesがこれからどのように利用者を増やしていくのかは課題として残されています。