仮想通貨は幾多にも存在しますが独自のプラットフォームやネットワークを構築しその中で使われる仮想通貨もあれば、既存のブロックチェーン技術を使って発行するトークンという形式もあります。両者共にメリットや注意点がある訳ですが今回、解説していく「フィスココイン」は既存のブロックチェーン技術を用いたトークンとして発行されています。独自トークンを発行し自社(株式会社フィスコ)が提供するサービスで使えるようになっているのがフィスココイン(FSCC)です。

自社のサービス内で使えるトークンの発行は独自の経済圏を形成しやすいことからトークンエコノミーとも称される場合があります。トークンエコノミーの形成を目指す企業は少なくはありません。その一つにフィスココインがあります。では、ここからフィスココインについて解説していくことにします。

フィスココイン(FSCC)とはどのような仮想通貨なのか

まずはフィスココイン(FSCC)の基本情報を含め、どのような仮想通貨のか大枠で解説して行きます。フィスココインは英語表記では「Fisco Coin」と書き表します。通貨名称は「FSCC」で2016年に公開されています。発行上限は5000万枚ですからビットコインの発行上限の2.5倍ほどになっています。取扱取引所はザイフ(Zaif)、それから発行元のフィスコのグループ企業であるフィスコ仮想通貨取引所の2箇所です。

フィスココインは株式会社フィスコが発行するトークンで、元々は株主優待として発行された経緯があります。平成28年12月の中間、期末の株主優待として1株あたり1FSCCが配分されています。フィスココインは株式会社フィスコの株主配当のほか、グループが提供しているサービスに対して代金支払いの目的でも利用が可能です。発行枚数は5000万枚と多めに設定されている印象ですが2017年夏にロックアップされ今後の発行量は増えない方向です。

フィスココインはカウンターパーティー(Counterparty)を利用しています。カウンターパーティーを利用はビットコインのブロックチェーンを使い独自のトークンを発行する流れになります。一から独自のブロックチェーンを構築する必要もなく、ビットコインのブロックチェーンということで安全性も高く安定感もあります。

株式会社フィスコとフィスコ仮想通貨取引所

ここでフィスココイン(FSCC)を発行している株式会社フィスコについても触れておきたいと思います。株式会社フィスコは1995年に創業し金融情報配信サービスを行っている会社です。株式市場や外貨市場、商品先物市場など様々な金融情報を取得し分析します。そこで得た情報を投資家などに提供しています。

グループ企業にはフィスココインと同様、独自トークンのカイカコインを発行する株式会社カイカ、さらにネクスコインを発行する株式会社ネクスがあります。2016年にはフィスコ仮想通貨取引所を設立するなどグループ全体で仮想通貨業界に積極的な参入を果たしています。

フィスコ仮想通貨取引所は株式会社フィスコ仮想通貨取引所が昨年から運営しています。フィスココイン取引所では取引所と販売所も設置され、販売所ではビットコイン、モナコイン、ビットコインキャッシュの仮想通貨3銘柄にフィスココイン、カイカコイン、ネクスコインの3つのトークンの取引が可能です。取扱銘柄は少ないですがグループ内企業の独自トークンを取り扱っていますからトークンエコノミーの形成には不可欠な取引所であることは間違いありません。なお、販売所ではビットコインとモナコインのみの販売になっています。

フィスコ仮想通貨取引所の大きな特徴に取引手数料が低めであることがあげられます。maker手数料が無料であり、taker手数料でもトークンは0.1%、ビットコインキャッシュのみ少し高めの0.3%になっています。トークンの手数料は低めですからフィスココインの取引は頻繁に行ってもそれほど損はしないと考えられます。トークンをグループ企業内から提供されているサービスに使えること、取引所での取引ができることは仮想通貨の実用性において非常に大事なポイントです。その2つをクリアしているフィスココインに注目が集まっているのも頷けます。

仮想通貨フィスココイン(FSCC)のメリット・デメリット

カウンターパーティーを利用した独自トークンであるフィスココインカウンターパーティーを利用した独自トークンであるフィスココインには魅力的なメリットがあります。逆に今後、クリアしてほしいデメリットもあります。それぞれをみていくことにします。

フィスココインのメリットをみていくと価格の暴落が起こりにくい点があります。5000万枚の発行上限はビットコインと比べると多く感じますが他の銘柄との比較では少ないと言えます。さらに、発行元でもあるフィスコが一定量保有、発行もロックがかかっていますので現状のままであれば今後の価値の下落は起こりにくいと考えられています。ただでさえボラティリティ(価格の変動)がある仮想通貨において価格が安定することは決済にも使いやすくなりユーザーにとってのメリットにもなります。

また、フィスココインの根底にある考えはトークンエコノミーです。法定通貨に頼らない経済圏を形成すれば国内外問わず、社会的な情勢にもあまり左右されにくくなります。それから、フィスココインのようにカウンターパーティーを利用し発行されるトークンは今後も増えていくと考えられますからフィスココインの注目度が急に低下する可能性は考えにくいです。

逆にデメリットもいくつかあります。まずは取り扱っている取引所が2箇所しかないことです。現状、フィスココインの流通量が多いのはザイフとなっています。ザイフは国内でも規模の大きい取引所でもありますし、多くのトークンを扱っている特徴もあります。取引するにはザイフが適していますが今後の流動性を考えるともう少し取り扱う取引所は欲しいところです。

もう少し考えられるデメリットがあります。フィスココインはフィスコが発行したトークンであり、必然的にトークンの価格はフィスコグループの信頼、動向に影響を受けやすくなります。フィスコグループの業績が低下すればフィスココインの価格が下落する可能性もあります。金融情報を提供する企業でもあり、取引所はザイフを運営するテックビューロが開発を担当していますから破綻は考えにくいのですが、もし破綻でもすればトークンの価値は無くなります。

さらに、フィスココインの多くは発行元のフィスコや株主が保有していて、保有量においてもフィスコの影響を受けることになります。仮に、フィスコが保有しているコインを一気に売りに出せばフィスココインの価格も一気に下落することさえあります。

仮想通貨フィスココイン(FSCC)の将来性

独自トークンによる経済圏を形成すべく発行されているフィスココイン。上場企業としては初めて外部向けに発行したトークンとして注目されています。現状はフィスコグループが提供するサービスでのみ使われていますが、今後の発展には未知数の部分もあり期待感が高まります。まだまだ実験段階のようですが上場企業が発行するトークンとあって安心感があります。

価値が薄れていくのを防ぐために発行量も少なくし、追加発行もロックしていますが発行量が増えていかなければ流通量も少なくなり結果として価値が上昇しない可能性もあります。まだまだ伸びしろがあるトークンですので発行量や取り扱い取引所の増加には注目していきたいところです。