2017年、仮想通貨バブルが世界中で起こりました。日本では仮想通貨の投資で1億円以上の利益を出した「億り人」と呼ばれる投資家も登場しました。国税庁の発表で331人の億り人がいると判明しました。2017年の所得税の確定申告をした人で雑所得が1億円を超えるのは549人。そのうち仮想通貨の利益で申告をしたのが331人ですから仮想通貨で億り人になった人の割合がいかに多いか分かります。仮想通貨業界内では331人の億り人は少ないのではないかとの声もあり、含み益でキープしている投資家を含めると実質的な億り人は331人を優に超える可能性もあります。

億り人になるのは多くの投資家が夢でも目標にもなりますが、気をつけて欲しいのは税金の問題です。日本は仮想通貨に関しては交換業者(取引所)を登録制にしたり、登録が認可されるまで厳しい審査があったりと法整備は進んでいます。その中で仮想通貨に特化した税制はなく、税率の高さは投資家にとって悩ましいところです。

後のテーマで詳しく解説しますが億り人になると現状の税制では55%は税金として支払わなければなりません。そこで投資家達はあの手この手で節税を考えていることでしょう。そこで究極的な節税は海外への移住ではないかと考えられています。中でもマレーシアへの移住と言われています。今回はなぜマレーシアへの移住が節税になるのか日本の税制や節税方法と比較しながら解説していきます。

日本の仮想通貨に関する税制

国内の仮想通貨の利益は雑所得として申告しなければなりません。普段はサラリーマンをしている方でも年間の雑所得が20万円を超えた場合、主婦や学生など被扶養者でも33万円以上になれば確定申告が必要です。ここで言う利益は利益確定をした場合になります。利益確定とみなされるのは仮想通貨を日本円に換金した時、仮想通貨同士のトレードで差益が生じた時、仮想通貨を使って商品やサービスを購入した時になります。よって、仮想通貨を日本円で購入し、その後、購入した銘柄が暴騰してもそのままにしておくだけならば課税対象にはなりません。

利益確定を行なったら1年間で出た利益に対して累進課税が適用されます。税率は以下をご覧ください。()内は控除額になります。

195万円以下…5%(0円)
195万円を超え330万円以下…10%(97,500円)
330万円を超え695万円以下…20%(427,500円)
695万円を超え900万円以下…23%(636,000円)
900万円を超え1800万円以下…33%(1,536,000円)
1800万円を超え4000万円以下…40%(2,796,000円)
4000万円超え…45%(4,796,000円)
※上記の税率に住民税が一律10%加算

これらを参考にすると億り人は控除額があっても半分以上の利益を税金として支払うことになります。せっかく仮想通貨で得た利益でもそれだけ税金として持って行かれれば少しでも節税することを考えるのは不思議なことではありません。むしろ、大事な資産を増やしたわけですから節税を考えるべきなのです。

日本での節税方法

日本の仮想通貨に関係する利益への課税は非常に重いものになっています。しかし、節税方法は様々あります。一番簡単な方法は購入してからいくら含み益が生じてもホールドし続けることです。現状は利益を出せば出すほど税率は高くなりますので今後の税率の緩和など税制の改善に期待するスタンスならば最適な方法です。長期ホールドでは待ちきれない場合、決済のタイミングを調整しながら利益確定する方法もあります。

仮想通貨以外の雑所得も含めてですが20万円以下は課税対象になりません。ですから毎年、20万円を下回る金額で利益を確定させていく方法が一つ。もう一つは含み益でマイナスになっている通貨を利益確定して利益総額を圧縮する方法です。課税対象になるのはプラスになったものだけを集計するのではありません。マイナスのものも合計しての利益確定もできますので下がり相場で含み損が増えていきそうな時に有効です。

少々手間がかかる方法なりますが個人事業主として登録し仮想通貨の取引に必要な費用を経費として計上して確定申告をする方法があります。取引所に支払う取引手数料や入出金手数料、仮想通貨取引の勉強のために購入した書籍やセミナー費用など。それらを経費計上し控除してもらえば課税対象額も減っていきます。

個人事業主の場合、白色申告と青色申告がありますが基礎控除の部分で有利な青色申告をする方がいいでしょう。税務署への開業届に青色申告申請書を提出すれば良いだけですのでそれほど面倒ではありません。

そして、最近話題になっているふるさと納税での節税もあります。好みの地方自治体に寄付をして、その地域の特産物をもらうわけですが確定申告で申請すれば控除されます。税理士などの専門家に言わせると税金を安くすることはできても寄付をしているので節税にはならないと言うと場合もあります。ですが魅力を感じる返礼品があり寄付をして税金が減るなら問題はないでしょう。ここまで紹介したのが節税方法の大きなところです。

マレーシアの仮想通貨に関する税制

日本では最大55%の税率がかけられますが、諸外国に目を向けるとかなり低い税率になっている国もあります。その一つがマレーシアです。マレーシアでは仮想通貨の利益に対しての課税は定められておらず、日本の消費税に当たるGSTが6%かかるだけです。ただ、これも過去の話になってしまい、2018年6月1日からは政権交代の公約でGTSは0%になります。

現状で判断するとマレーシアでは仮想通貨の取引などで得た利益には税金がかからなくなっています。日本ならば節税対策を取っても場合によってはうまく控除されずに多くの税金を支払うことやそもそも節税対策に費やす労力も問題になります。日本国民からすればマレーシアの仮想通貨に対する税制度は非常に魅力的です。

究極の節税方法はマレーシアに移住なのか

日本とマレーシアの仮想通貨に関する税制と節税方法を比較仮想通貨で得た利益を手間なく、できるだけ多く手元に残すにはマレーシアは非常に魅力的です。GTSが0%である他にもマレーシアはいわゆるタックスヘブン(租税回避)です。海外資本の流入を目的に低い税率にしている国の一つがマレーシアとなっています。パナマ文書により世界の多くの企業や政治家、富裕層が節税をしていることが分かったのは記憶に新しいところです。あらかじめ断っておくとタックスヘブンは違法ではありません。

マレーシアの場合は自国以外で稼いだお金に関しても税金を支払う必要がなく投資で得た利益、配当も課税対象になりません。マレーシアに住んでいるなら日本の仮想通貨取引所で利益を得ても税金を払わなくて良いのです。と言うことは、マレーシアに移住し日本やそのほかの国の取引所で仮想通貨の取引を行い利益が出たとしても難しいことを考える必要がなくそのまま手元に残るわけです。

現状、含み益が莫大なものになっていてもマレーシアに移り住めば大幅な節税になります。株式、有価証券の評価額が1億円以上、国外転出をする10年以内に住んでいた期間が5年を超える場合は出国税がかかりますが今の所仮想通貨には適用されていません。よって、含み益が1億円以上である潜在的な億り人でも資産を守って移住が可能です。

仮想通貨で得た利益を最大限に守るために移住するのは勇気がいることで究極的な節税方法かもしれません。ですが、マレーシアは何年もの間、日本人が住みたい国No1になっています。タックスヘブンなど税制が魅力的なだけではなく、日本人の働き口が多くあったり日本食がありふれている、物価が安い、気候が安定している…あげればまだまだ魅力は出てきます。特に億り人ともなればそれなりの資産を持ち出しての移住になるでしょうからマレーシアで生活基盤を築くのも難しくはないでしょう。仮想通貨で多くの利益を出せるようになったらタックスヘブンで海外への移住も悪くない選択肢です。