仮想通貨取引所は世界中にたくさんあります。歴史のある取引所から最近開設された取引所まで実に多くの取引所が存在しています。取引所は当然、仮想通貨の取引を仲介する役目として存在するわけですが取引所自身が独自トークンを発行し、顧客に利用してもらっている取引所も存在します。世界でも大手の取引所であるHuobi(フオビ)も独自トークンを発行しています。
独自トークンとは既存のブロックチェーンを活用して発行される仮想通貨のことでネットワークやプラトフォームを一から築かずに発行できる通貨です。使用事例を見てみると資金調達のために多くのプロジェクトが利用するICOでも独自トークンを発行して資金を集めたりしています。取引所が独自トークンを発行するメリットも色々とあり、人気のトークンは仮想通貨の時価総額ランキングでも上位に食い込むほどの規模を誇っています。仮想通貨の取引を行う上で取引所が発行する独自トークンは大きな役割があります。その中で今回はHuobi(フオビ)が発行する独自トークン「HT(フオビトークン)」について解説していきます。
仮想通貨HT(フオビトークン)の概要
まずはHT(以下、フオビトークン)の基本情報を紹介します。フオビトークンの通貨名称はHT。取引開始は2018年1月と発行から日が浅いわけですが時価総額ランキングでは60位台と人気の高さが伺えます。現在価格は日本円で420円ほど、発行上限は5億枚となっています。既述の通り、フオビトークンは取引所のフオビが発行し、取引で利用したり保有していることで優遇を受けることができます。
仮想通貨取引所・Huobi(フオビ)について
今度はフオビトークンの発行元である仮想通貨取引所Huobi(以下、フオビ)について解説します。フオビは2013年に解説された取引所で香港の拠点を構えています。もともと北京に拠点を構えていましたが中国政府の規制強化によって香港に拠点を移します。取引所の規模は大きく取引高では世界トップ3に入るほどです。取り扱い銘柄数の多さや取引高を考えると希望した取引が成立しやすい取引所と言えます。取引方法は現物取引と信用取引があり、仮想通貨の取り扱い数では100種類に到達しています。日本国内の取引所の仮想通貨取り扱い数をみると非常に魅力的です。
取引所でフオビトークンが使える以外の特徴には「分裂した通貨への対応が速い」、「信用取引でレバレッジをかけた取引」があります。ビットコインからはいくつも分裂して新たな仮想通貨が生まれていますがビットコインキャッシュ、スーパービットコインにもフオビは然りと対応していました。また、レバレッジ取引ではビットコイン建でイーサリアムやリップルなど11種類が可能になっています。
一方で取引所としてのデメリットをあげるならば、「手数料が割高」、「サポートは中国語のみ」であることです。海外の取引所は手数料の安さが魅力的であるイメージですがフオビではビットコインもアルトコインも0.2%と割高です。海外の取引所でみていくとBinance(バイナンス)はビットコインもアルトコインも0.1%ですからフオビの半分の手数料となっています。また、日本人を含めた諸外国から取引をする投資家にとって少々不便なのはサポートが中国語であることでしょう。問い合わせにも一苦労が予想されます。
仮想通貨HT(フオビトークン)の特徴・メリット
フオビトークンは取引所が発行している独自トークンですから取引に活用したりするとメリットがあります。まずは保有高に応じて手数料の割引があります。以下のようにランクが分けられています。「ランク」、「必要になるフオビトークンの量」、「割引率の順」に記載しています。
VIP1…120HT、10%
VIP2…600HT、20%
VIP3…1200HT、30%
VIP4…6000HT、40%
VIP5…12000HT、50%
上記を参考にしてもらうと最大で手数料が半分になることが分かります。バイナンスなどでも独自トークンを使った取引で割引はありますが保有率によって割引率を変えてはいません。特に多く保有する顧客にとっては嬉しいメリットになります。
顧客にとってフオビトークンを使った取引で手数料割引を受けられるのは最大のメリットとも言えますが、フオビトークンを使った仮想通貨の人気投票は興味深い取り組みです。フオビのサブブランドとして「HADAX」と言う取引所があり、HADAXに上場している銘柄は条件を満たすとフオビにも上場が可能になります。
フオビへの上場について条件などについてフオビトークン保有者は投票に参加できる権利があります。気になる銘柄について投票すればフオビでも取り扱われる可能性があり、ますます希望する取引がしやすくなります。
また、フオビトークンは四半期ごとにフオビが発生した利益の20%で買い戻しを行なっています。自分たちが発行したフオビトークンを自分で買い直すイメージです。買い戻すことで市場に出回ったフオビトークンの流通量を減り価格の上昇が起こります。
価格の上昇によってフオビトークンの価値を一定に保つ狙いがあるのです。さらに買い戻しは長期的にみると価格の上昇しやすい側面も持ち合わせています。独自トークンを発行しているバイナンスも同様に買い戻しを行なっていますが、バイナンスの場合、買い戻しを行なってトークン焼却(バーン)されます。フオビトークンは顧客保護のための資金として利用されるので安心感があります。
HT(フオビトークン)の懸念材料と将来性
取引面や長期的な価格上昇の傾向を考えると将来性は十分にあります。とは言ってもフオビトークンには懸念材料もあります。まずは良くも悪くも取引所、フオビの影響を受けることです。取引所が発行している独自トークンですので致し方ない特徴ですがフオビに何か不具合が生じて取引所として機能しなかったりすれば自ずとフオビトークンも価格が下落していくでしょう。
ただ、フオビがこれまでなんらかのハッキング被害にあったなどのニュースは聞こえてきません。口座開設の際も海外の取引所では珍しい本人確認も実施されるなどセキュリティ水準は高いと言えます。取引量の多さを考えてもすぐに閉鎖することは考えにくいので、今後もデメリットとなるニュースが出てこないか見守りましょう。
取引所の状態に左右されると言うことはフオビに将来性が見込めればフオビトークンの価値も上昇していきます。ロードマップなどを参考にするといい材料がいくつかあります。まずはフオビトークンに対応するウォレットの開発です。保管がしやすくなればユーザーも多く保有しても良い安心感が生まれますので取引量の増加が見込まれます。
顧客獲得の拡大では、すでにフオビは韓国への進出も果たしています。韓国では仮想通貨に対して規制を強めてはいますが根強い仮想通貨人気がありますので取引量の増加は必至です。世界的にみて取引量が多い日本への進出もポイントになりますが今の所、予定されていた取引サイトなどの開設には至っていません。
日本進出には金融庁の許可(ライセンス)が必要でそのハードルを超えるのが難しいとみられていますが、その厳しい中でも日本進出が果たせたらフオビの発展からフオビトークンの取引量増加にもつながるでしょう。話題性を考えるとフオビのアフィリエイトプログラムが開始されたのも軽視できません。フオビを紹介して口座開設に至れば紹介者の取引手数料の30%を報酬として受け取れます。
世界中のインフルエンサーを中心にフオビをアピールすることで顧客獲得につながりやすくなっています。このような様々な取り組みがフオビにいい効果をもたらし、強いてはフオビトークンの価値上昇につながります。取引所の独自トークンはその取引所の評価で大きく左右されます。トークンだけではなく取引所についての情報も収集しておきましょう。