仮想通貨の登場から投機目的で取引を楽しむ方が世界中に多くいます。仮想通貨の取引はモノの売り買いのように「売りたい人」と「買いたい人」がいることで成立します。例えば「ビットコインを10万円で売りたい人と」と「ビットコインを10万円で買いたい人」が入れば取引は成立するわけです。しかしながら、その売買のタイミングが難しいのです。売りたいけど買い手がいない。もしくは買いたいけど売り手がいない。投資家にとって、いわゆる流動性のリスクは仮想通貨の取引でも悩ましいところす。
その流動性リスクを解消するために誕生したのがバンコールという仮想通貨です。仮想通貨ユーザー、投資家にとって大きなメリットとなるため当初から注目されICOによる資金調達も大成功したことで話題になりました。そこで今回はバンコールの仕組みや特徴、将来性などを解説していきます。
仮想通貨バンコール(bancor)の概要
バンコールは独自のブロックチェーンを持つ仮想通貨ではなく、イーサリアムをベースにしたERC20トークンです。ICOを行ったのが2017年6月12日で資金調達額はおよそ167億円となっています。167億円の資金調達をわずか3時間で達成しICO史上でもトップ10に入る調達額となっています。通貨名は「BNT」、発行枚数は7938万枚となります。2018年7月上旬現在の価格は約340円で時価総額ランキング68位に位置しています。
バンコール(bancor)という名称になっていますが聞き覚えのある方はいないでしょうか。由来になったのは1940年から1942年にケインズとシューマッハーが提案した超国家的通貨です。結局、採用されませんでしたが第二次大戦後の世界経済を安定させるために考案されました。
仮想通貨バンコール(bancor)の特徴・仕組み
冒頭で売買がうまく成立しない流動性リスクに触れました。売買がうまくいかない状態は「流動性の低さ」が原因です。では、なぜ流動性が低くなるのかというと「取引者が少ない」、「基軸通貨に交換できない」と言う2つの原因があります。
まず、取引者が少なければ希望する売買は成立しにくいです。これは容易に想像がつくでしょう。取引所はいわば仮想通貨の取引をマッチングさせる場所ですから、そもそも取引所にユーザーが少なければ取引は上手くいきません。
また、基軸通貨に交換できないのも大きな問題です。仮想通貨界で言えばビットコインが基軸通貨となりますがビットコインと交換できないとなると保有する価値はほとんどないでしょう。ざっくりとしたイメージですが仮想通貨Aというものを持っていても取引に使えなかったり、決済などで使えなければ使用用途もなく価値はありません。実用性のあるものに変えて価値は出てきます。これら2つが流動性の低さの原因になります。
そこでバンコールは独自の仕組み「バンコールプロトコル」で問題を解決しようとしたわけです。バンコールプロトコルとは通貨の取引を担保し価格を自動的に決める仕組みです。バンコールプロトコルでは準備金を用意することで取引できる状態を担保し、準備金とバンコールの流通量によって価格を自動計算する仕組みを採用しています。
価格の自動計算(価格の決定)が行われれば取引者が少なくても取引が成立します。準備金はリザーブトークンと呼ばれバンコールの場合はイーサリア上で発行したトークンです。バンコールとイーサリアム上のトークンは兌換が保証され、もっと言えばイーサリアムは国内の取引所であれば日本円に変換することも可能です。
よって、基軸通貨に交換できる問題も解決できます。決められた価格での取引が自動的に成立すると買値と売値の差であるスプレッドも発生しなくなるため取引が一層加速されるでしょう。また、バンコールプロトコル上では取引が保証されるため流動性はほぼ確保できますからマイナーなコインでも取引所に上場しやすくなると考えられます。
仮想通貨バンコール(bancor)の懸念材料と将来性
流動性の少ないコインでも上手く取引できるようになるバンコールですがいくつかの懸念材料があります。一つ目はリーザーブトークンにはイーサリアム上でつられるトークンのEERC20しか使えないことです。イーサリアムはメジャーな仮想通貨ですので汎用性を求めなくても良いと考える方もいるかもしれません。しかし、いろんなプラットフォームに使えないのは世界的な普及を考えると残念な点です。
二つ目は無意味なトークンが乱立しないかも心配されます。バンコールプロトコルでは誰もが簡単にトークンを発行できます。敷居が低くなるといろんなトークンが乱立し収拾がつかなくなる可能性もあります。そうなればバンコールの目的が達成されず成長できないことも考えられます。最後は価格を自動計算する数式が難しいことです。なぜその価格になるのかが分からず、バンコールは難しいものと判断されればユーザー獲得は難しくなってきます。現状はこの3点が懸念材料となっています。
バンコールの目指すべきところは「誰もが自由にプロジェクトに適した通貨を簡単につくれるプラットフォーム」です。到達地点に向かうにはバンコールがどれだけ普及するかが問題です。マイナーなコインでも流動性を保った取引ができるようになるのは魅力的ですが、海外の大手取引所ではマイナーなコインもどんどん上場させています。
バンコールがそこに太刀打ちできるかがポイントでしょう。ロードマップには具体的な流れは書かれてありませんが、頻繁に開発がなされています。懸念材料に対してどのような解決やアップデートをしていくかもには期待したいです。ただ、ICOでも多額の資金を集めていますし、なによりプロジェクトが投資家の悩みを解決することですから将来性には期待が持てます。独自のプラットフォームを確立できるか見守りましょう。
バンコールの取り扱い取引所とウォレット
最後にバンコールを取り扱っている取引所と保管可能なウォレットの一部を紹介します。取引所は「ビットトレックス(bittrex)」、「ヒットビーティーシー(hitbtc)」、「リクイ(liqui)」がおすすめです。ビットトレックスは世界最大規模の取引所で取引量が多く、様々な銘柄の取引が楽しめます。
ヒットビーティーシーは本人確認を済ませなくても通貨の入金や出金が無制限となっています。ICOトークンの先物取引など他の取引所には無い特徴があります。
リクイは大手取引所が取り扱わないようなマイナーなコインの取り扱いもあり穴場的な取引所です。また登録が非常に簡単ですぐに口座開設が可能です。しかし、その分、セキュリティー面に不安を感じます。取引に必要な分だけを小まめに入金、余分な資産はウォレットに移すなど最低限の対策は行いましょう。
ウォレットではバンコール専用のウォレットがリリースされています。デスクトップウォレット、モバイルウォレットがダウンロードできます。モバイルウォレットのアプリは使いやすくリアルタイムチャートのチェックなど機能も優れています。その他、バンコールはイーサリアム上でつくられたトークンですからイーサリアム対応のウォレットで保管が可能です。イーサリアムのウォレットで一番メジャーなのは「My Ether Wallet」でしょう。
日本語にも対応し、インターネットに接続しないで秘密鍵を保存できるコールドウォレットです。初心者にもおすすめしたい定番のウォレットです。その他、「METAMASK」はChromeアプリでもスムーズに使うことができて便利です。スマホでウォレットを管理したい場合は「HB Wallet」がおすすめです。My Ether WalletとMETAMASKはスマホアプリに対応していません。手軽に保管したい時は重宝するウォレットです。