仮想通貨の1つとして登場し、上場まで検討されていたクローバーコインですが、2018年時点でまだ仮想通貨として上場していません。一時期は上場することを明言していたものの、その後の対応などの影響により上場されず、未だにクローバーコインは仮想通貨取引所では手に入らないのです。

このような問題が起きてしまった背景には、クローバーコインの利用者を集めるための手法に問題が隠されていました。

クローバーコインはユーザーの勧誘に問題があった

仮想通貨ビジネスに参入した48ホールディングスは、自社で仮想通貨を生み出し、実際に購入してもらおうと考えました。そこで作り出したのがクローバーコインでした。将来は紙の通貨が失われるという危機感を持たせて、仮想通貨を購入してもらいたいと考えて生み出した商品です。

このクローバーコインですが、ウォレットとして作られた仮想通貨です。アプリなどを利用してチャージを行い、クローバーコインをウォレットカード等で利用するシステムです。国際送金のできる方法もいち早く作り出し、多くの場面で利用できる仮想通貨として支持を広げていました。実際にアプリに登録したユーザーは30万人を超えていました。

ところが、クローバーコインの問題は勧誘の方法にありました。高齢者をだますような勧誘を繰り返したことが問題視され、消費者センターにクレームが次々と入る事態となりました。この事態に48ホールディングスは全く対応せず、放置を続けていましたが、結局消費者センター等からの注意喚起が強まったことを受けて、対応せざるを得なくなりました。

結果的に、日本から登場した仮想通貨は、日本国内で問題となる行為を続けていたことが要因となり、結果的に成功しないまま消えそうな状況を迎えています。ただ、クローバーコインが行っていたこと自体は間違ってはおらず、将来的に仮想通貨での決済を目指せる社会を作ろうとしていたことは間違っていないのです。

クローバーコインは結局返金対応を取ることに

消費者センター等の注意喚起が強まっただけでなく、最終的に消費者庁から行政処分を受けることになった48ホールディングスは、クローバーコインを購入しているユーザーに対して返金を行うことにしました。返金の方法については、現金と仮想通貨のリップルによる方法を提案し、この2つから選んで返金を受け付ける形式としました。

48ホールディングスは、コインチェック内にリップルを大量に保有していたことで、現金だけでなくリップルでの返金も可能でした。将来的に高くなる仮想通貨を保有していれば、現金以上に価値が上がる可能性もあったので、リップルでの返金を受けるユーザーもいました。ただ、高齢の方など、仮想通貨がわからない方には現金での対応を行っていました。

行政処分を受けた際に、銀行口座の凍結なども併せて行われたことで、最終的に返金を行うしか手段が残されていなかったとも言えます。これによって、クローバーコインを購入しようと思っても振込先が残されていなかったため、48ホールディングスは最後の手段として返金対応を行うしかなかったのです。

ただ、コインチェックに残されていたリップルも、ウォレットが凍結されてしまったことで支払いができなくなり、最終的には現金による返金しか受けられなくなりました。コインチェックについては、仮想通貨流出の問題も発生したために、ウォレットの凍結をせざるを得ない状況であったことも事実で、その影響を受けてしまったのです。

クローバーコインは海外での上場を目指していた

クローバーコインは、決して詐欺という概念で登場したものではありません。ユーザーに対して購入してもらえるように、仮想通貨取引所への上場を目指していました。日本国内での上場ではなく、まずは香港で上場することを考えていました。

2018年の2月ごろに、香港の仮想通貨取引所で上場させることを明言し、実際に手続きを開始したことも発表していました。また、行政処分を受けたにもかかわらず、まだ協力を行ってくれる代理店などには、クローバーコインを配布することも発表していました。こうしてクローバーコインは、再生への道筋も作りつつ、本格的に仮想通貨として運用できる状況を作ろうと考えていたのです。

実際に香港のバウヒニアという仮想通貨取引所で、上場を開始する取り組みが行われていました。どのタイミングでの上場が行われるのか、日本だけでなく世界の仮想通貨ユーザーが期待していましたが、2月末ごろになって3月に延期するという発表が行われたのです。

これによって、上場までに多くの時間が必要であるとわかったと同時に、クローバーコインの信頼性という部分が揺らぐことになりました。48ホールディングスが提示した理由は、取引システムなどの都合が原因だと示していました。仮想通貨の取引ができると考えていたユーザーは、結局待たされることになってしまったのです。

クローバーコインの上場が事実上廃止に

仮想通貨ビジネスに登場したクローバーコインと規制までの流れ3月に上場されると発表されていましたが、北海道財務局からバウヒニアに対してある申請が入ります。これは、クローバーコインを運営している48ホールディングスが、仮想通貨取扱者の登録をしていないため、違法扱いとなるので上場を取りやめてほしいとのことでした。

日本では、仮想通貨取扱業者という形で、登録を行ってから仮想通貨の上場を行っています。しかし、48ホールディングスはその登録を行っていないので、結果的に違法扱いとなり処罰される可能性があります。仮想通貨取引所もその影響を受けると考えられたため、北海道財務局は真っ先にバウヒニアに対して連絡を入れたのです。

バウヒニアは申請内容を受けて、上場の停止を行いました。これによって、クローバーコインはさらに上場が延期されることになりましたが、3月末になって対応を協議中であると告げた後、全く詳細が出なくなったのです。つまりクローバーコインは、上場するプランが白紙状態であり、ほぼ上場できない状況であることが判明しました。

一部のクローバーコインファンには信じられない情報であり、失望感は隠せませんでした。しかし、ルールを守らないで仮想通貨を上場していくこと自体が違法である以上、仕方ない側面もありました。

クローバーコインは今後上場されるのか

クローバーコイン自体は、イーサリアムを利用して作られた仮想通貨でもあり、スマートコントラクトなどの技術を持ち合わせています。この技術を上手に使っていけば、イーサリアムと同様の機能が使えると期待されていますが、ロジック面などの情報が不透明で、情報が公開されない限りは上場が難しいのです。

また、48ホールディングスに対して、様々な行政処分が科せられているのも事実であり、今後行政処分が更に発展するようになれば、クローバーコインが仮想通貨取引所に上場する計画は確実に失われます。現在は瀬戸際に近い状態であり、どのような状況なのかの発表が待たれます。

クローバーコインに関しては、仮想通貨で行われた詐欺の一環として処理されている部分もあります。ただ、持っているポテンシャルはとてもいいものであり、健全に利用できると判断すれば上場が行われるかもしれません。上場のためには、48ホールディングスの信頼性だけでなく、クローバーコイン自体の情報公開がいち早く求められるでしょう。