仮想通貨取引を始めた理由は様々です。趣味で仮想通貨を始めた・副業として月3万円欲しいから仮想通貨投資を始めた・将来の資産構築の一環として仮想通貨投資を始めた、といったように目的や目標とする利益額や利益率も違います。しかし、仮想通貨を取り巻く環境は変化し始めており、2017年頃までは投機目的という意味合いが強かったですが、2018年から実需があるといった意見も目立っています。

その1つが、ベーシックインカムに仮想通貨を活用する、という社会的な意味を持った考え方です。日本の社会保障制度は、いくつかの制度がありますが代表的なものとして年金や国民皆保険、そして生活保護制度などです。しかし、既存の社会保障制度は、働くことが難しい状況といった何かしらの問題が生じた際に給付される制度です。

対して、ベーシックインカムは違います。そこで今回は、ベーシックインカムの意味や仕組み、日本が抱える社会保障の問題や仮想通貨への応用など、仮想通貨とベーシックインカムについて解説していきます。

日本が抱える社会保障の問題

日本は先進国の1つであり、経済力が世界3位の経済大国でもあります。しかし、そんな日本では深刻な問題を多数抱えている状態で、その問題が表面化し始めています。1つ目は、少子高齢化社会に突入している点です。少子化という意味は、総人口に対する若年層の人口が減少傾向で、尚且つ出生率も2,0を下回った状態です。

他の先進国でも少子化という問題を抱えていますが、少子化率は日本が最も深刻です。そして、高齢化社会という点も同時進行で日本では進んでおり、若年層が負担する社会保障関係の金額が増大しています。また、少子高齢化社会が進んでいくと、年金制度を維持することが難しいです。

年金制度は、現役世代が年金を負担し、そのお金が同じ時代を生きる年金受給者へ回ります。ここで、問題点に気付いた仮想通貨投資家の方もいるかもしれませんが、この制度は現役世代=若年層が増加傾向で尚且つ高齢者よりも人口の割合が上回っていなければ制度を維持できません。

つまり、高齢者1人に対して現役世代が3人の人口比であれば、現役世代が負担する年金の額も3分の1に分散されるため少なくなります。また、負担を分散することができるだけでなく、現役世代の数が多い程、年金受給者が受け取る金額も増える傾向となります。

しかし、高齢者3人に対して現役世代が1人の人口比であれば、どうなるでしょうか。社会保障制度をあまり知らない方でも、その問題点に気付くでしょう。前者では現役世代が負担する額が3分の1でしたが、後者の場合は年金受給者3人分の金額を納めなくてはいけません。2018年の日本では、後者の事例に当てはまっているだけでなく、年々現役世代が減少・年金受給者が増加という傾向ですので、更に負担が大きくなっていくこととなります。

したがって、年金制度は維持できないと考え、老後の資産構築を個人で考えている事例があります。つまり、戦後から続く日本の将来設計が厳しい状況となっているため、年金に頼らない生活ができるよう準備していることです。後述でも紹介する個人の資産構築でも詳しく紹介しますが、これがベーシックインカムや仮想通貨と関係があります。

また、少子高齢化社会は他にも問題が波及しており、それが生活保護や国民皆保険制度などです。生活保護は、働く意思はあるが何らかの事情で働くことができない方へ向けた、生活に最低限必要な金額を給付する制度です。財源は、国民の税金から賄われています。ということは、現役世代が減れば総人口が減少するので、徐々に税収が減っていき、生活保護の制度維持も厳しい状態となります。

国民皆保険制度は、医療機関で診察や薬を貰う際の医療費負担を3割負担にすることで、誰もが医療を受けられるようにした制度です。こちらも国民の税金が賄われているため、前述の流れ同様に人口減少と共に税収が減り、既存の制度維持が難しい状況といえます。

このように少子高齢化問題を発端とした、社会保障制度の問題は多数存在しており、それらの問題を解決するための様々な方法が模索されています。そして、その1つがベーシックインカムということです。

最近では個人で資産を構築する考え方も

ベーシックインカムとして活用されるよう開発された仮想通貨の将来性社会保障制度の問題も深刻ですが、日本では労働に関する問題も深刻です。戦後から続く日本の労働の仕組みは終身雇用です。終身雇用とは、1つの企業に新卒で入社し、安定した雇用制度の下、定年まで勤めることです。そして定年を迎えたら、退職金を頂きつつ年金も受給しながら第二の人生を歩むといったパターンが、これまの日本で当たり前とされてきた社会の仕組みです。

しかし日本の場合バブル経済崩壊後、不景気及び低成長時代に突入したことで企業の業績が悪化もしくは内部留保を貯める状況が続いています。また、同時に人材コストを抑えるためにリストラや求人数を減らしていた企業が多かったのですが、少子化によって人材不足が深刻化したことで企業の基盤が揺らぐ事態が相次ぐことになっています。

さらに、技術立国とも称された日本でしたが、発展途上国の成長や中国や韓国の台頭、技術力を高めた国などが様々な製品を生産・輸出することによって、徐々に競争力を失い伸び悩む状況となっています。従って、人材を確保したとしても、企業の基盤が揺らいでいる状態なので、長時間労働で低賃金・終身雇用を維持することが難しくなっているとなると、新卒入社した若年層の労働者は会社を辞めるような動きへ繋がります。

したがって、経済や人口の問題、そして社会保障制度については新たな枠組みを早急に作らなければ厳しい状況です。そこで、最近では株や投資信託・仮想通貨を使って将来の資産構築を目指す事例も増えています。つまり、個人で老後の生活設計を考える必要性が出てきています。

ベーシックインカムとは

前述のような問題を抱えている状況が続いている一方で、新たな社会保障制度としてベーシックインカムが世界的に注目されています。ベーシックインカムの特徴は、何らかの事情で労働できないといった条件不要で、毎月生活に必要な資金を国民全員が受け取ることができる制度という点です。

ベーシックインカムを仮想通貨で受け取る

ベーシックインカムの意味は理解できたでしょうか。ベーシックインカムは国民の生活を保障する画期的な制度として、注目されている社会保障制度です。しかし、一方で、ベーシックインカムでお金を受け取った方の中には、「ベーシックインカムを生活費ではなく趣味に全て費やしてしまうのではないか」などと懸念事項が残されています。また、ベーシックインカムは生活保護と違い、全国民に毎月給付するので財源が必要となります。したがって、ベーシックインカムがはじまったとしても経済活動は必要不可欠ですし、国民皆保険制度や年金制度など既存の制度を一本化して、財源を集中させる必要もあります。

このようにベーシックインカムにも課題が残されていますが、最近発行された仮想通貨にはベーシックインカムを受け取る仕組みを実装したタイプが登場し、仮想通貨投資家の注目を集めています。ベーシックインカムの受け取りを実装した仮想通貨は、SwiftDemandという名称です。この仮想通貨は、運営など詳細について不明点も多いですが、同仮想通貨のシステムにログインするだけで、毎日100Swift配布されるという内容が特徴的です。仮に、SwiftDemandのシステムが普及し、価値も上昇すればベーシックインカムとして活用出来る可能性はあります。しかし、現状では、この仮想通貨をベーシックインカムとして機能させることは難しい状況です。

ただ、ベーシックインカムを仮想通貨で実現させるという考え方は、非現実的ではありません。仮想通貨は送金が速いので、ベーシックインカムの制度が実際に始まれば、仮想通貨が主に使われていく可能性は充分あります。仮想通貨は、そのコインに価値が生まれれば実際に運用できる可能性を秘めています。仮想通貨投資市場は、社会的に役立つプロジェクトや実需が伴ったタイプに資金流入する傾向があるので、ベーシックインカムとして活用されるよう開発された仮想通貨も将来性に期待できます。社会保障に興味関心がある方は、ベーシックインカムとの連携といった点に注目して探してみるのもいいですよ。