仮想通貨取引を始めた方の中には、仮想通貨のマイニング報酬について興味・関心があり取引をしている事例もあるでしょう。仮想通貨で得られる利益の種類は、投資による差益とマイニング報酬、エアドロップなどがあります。一般の方や、仮想通貨初心者の多くは、マイニング等ではなく、仮想通貨投資からその存在を知って取引を始めることが多いです。
エアドロップは、マイニング報酬とは違い開発チームが通貨を配布するシステムとなっています。そしてマイニングは、PoWやPoSといった方式によってマイニング報酬の流れなどが違いますが、基本的には仮想通貨のシステムに何かしらの貢献に対する報酬といったイメージです。
そして今回は、マイニングの採掘難易度である「Difficulty」の意味や特徴、マイニングに関連するハッシュレートの特徴などについて紹介していきます。主にマイナーに関係があるので、これからマイニングマシンを自作する方や、マイニング報酬を得ようと考えている方は「Difficulty」や「ハッシュレート」などの言葉を知っておくとよいでしょう。
仮想通貨投資家とDifficultyの関係
仮想通貨投資家とDifficultyの関係について、まず説明しますが、Difficultyは仮想通貨投資家やマイナーへの直接的な影響はありませんので、各仮想通貨のDifficultyの指標によって投資戦略を大幅に変える必要はないでしょう。では、仮想通貨投資家に必要な知識とは何か簡単に解説します。仮想通貨投資家は、投資をメインに行うので、仮想通貨の価格変動を読み取り、買いと売りの差益を狙うことが重要なポイントとなります。
そして、仮想通貨投資には、テクニカル分析やファンダメンタル分析・リスク管理や資金量といった要素を押さえることが大切です。資金量は、文字通り仮想通貨投資に投入できる資金を指します。仮想通貨投資においても、資金量が多いほど損失による次回以降の取引へ影響が少なく済みますし、信用取引のレバレッジを利用せずとも大きな利益を狙うことが可能です。
しかし、全ての仮想通貨投資家が、50万円や100万円といったまとまった余剰資金を、用意することは難しいです。ですので、前述で触れたレバレッジ取引によって利益幅を引き上げるか、現物取引で利益を積み重ねるかといった方法がメインとなります。
次に分析方法ですが、こちらはチャートを軸としたテクニカル分析や、外部要因から価格変動を予測するファンダメンタル分析の2つを基礎から覚える必要があります。特に、移動平均線やローソク足を覚えているだけでも、チャートのトレンド転換や相場の方向性を把握することは可能です。また、ファンダメンタル分析も理解していると、仮想通貨のプロジェクトが今後将来的にどれだけ役立つのかといった予測や、現時点で仮想通貨の価格を上昇させる材料が出そろっていないという判断ができるようになります。
次に仮想通貨投資家ではなく、マイナーについて解説します。マイナーとは、マイニングを主に行っているユーザーのことで、仮想通貨のマイニング報酬を目的としています。後述で紹介するDifficultyも、マイニング関する専門用語です。
マイニングには、PoWやPoSといった様々な方式が開発・採用されています。そして2018年の仮想通貨市場のマイニング方式で主流といえるのは、前述のPoWとPoS方式です。PoW方式は、ビットコインで採用された取引承認方式で有名といえます。名称は、プルーフオブワークと読み、トランザクションの処理能力に応じて、マイニング報酬が付与されます。
PoWの特徴は、ブロック生成に必要な計算処理を各マイナーが行い、最も早く処理を完了させたマイナーに仮想通貨の報酬が付与される点です。従って、マイニングマシンの能力を引き上げる必要があります。また、近年では、大規模なマイニング工場を建設し、高性能なマイニング機器をたくさん設置して、事業としてマイニングを行う事例もあり敷居が高いです。
PoS方式とは、プルーフオブステークと呼び、PoWと大きくシステムが違います。マイニング報酬を付与される点は共通していますが、端末の処理能力による競争だけではありません。各マイナーが保有している仮想通貨量と保有期間によって、計算処理の難易度が変化します。
つまり、仮想通貨の保有量多く、保有期間が長ければ長い程、システムから提示される計算処理の難易度が簡単になり、マイニングしやすい環境となります。つまり、マイニングマシンの優劣ではなく、通貨の保有と保有期間が報酬のポイントです。
仮想通貨のDifficultyとは
続いては、仮想通貨のDifficultyの意味や特徴について解説します。Difficultyは、日本語で採掘難易度と呼び、文字通りマイニング難易度に関する言葉です。マイニング時にはブロックを生成しますが、その際にnonceという32ビットの数値に関する計算が必要となります。
簡単に説明しますと、1から10のうちどの数値が設定されているか当てるシステムです。従って、設定された数値の幅が小さい程、難易度が低く逆に1~10000といったように幅が広くなるほど難易度が高くなります。これが、Difficultyの意味です。
Difficultyとハッシュレート
Difficultyの意味を知る為には、ハッシュレートについても理解しておく必要があります。Difficultyとハッシュレートとは、深い関係があるからです。日本語でハッシュレートは採掘速度と呼びます。マイニングマシンの計算力の単位で、1秒間にどれだけの計算が行われているか算出できます。1kH/sという数値の場合、1秒間に1000回ハッシュ値が計算されたという意味です。
ハッシュレート単体で何に活かすかといいますと。主にマイニングマシンを自作する際に、マシンの能力を計算・選定するために必要とされます。なぜなら、マシンのハッシュレートは、大きく変化しないため、算出された値が実際の計算処理速度として考える事ができるため、指標として用いられています。
Difficultyの変化の理由
まずDifficultyを調整する意味についてですが、例えばビットコインのブロック生成時間は、10分に1回と設定されています。しかし、マイニングマシンによってハッシュレートは違うので、場合によってはビットコインのブロック生成時間に遅延や短縮が起きる可能性があります。そこで、ビットコインでは、2週間に1回Difficultyを実行し、ブロック生成時間を調整しています。
これが、仮想通貨のシステムにとって、Difficultyが必要な理由です。また、ビットコインやイーサリアムなど、多くの仮想通貨で起きている現象で、Difficultyが上昇しています。これは、マイニングマシンの性能向上が主な要因で、マイニング掛かる時間が短縮されています。
つまり、2週間に一度のDifficultyの見直しで、より難易度が上がってしまうと、採掘にかかる電気代や手間がより多くかかってしまうことになります。
Difficultyの調整によって起こる影響
Difficultyの調整によって起こる影響は、冒頭でも紹介しましたが仮想通貨投資家やマイナーにとって間接的といえます。しかし、場合によってはDifficultyの調整が直接的な影響が及ぼされることもあるので、Difficultyの上がる・下がる時の状態を覚えておきましょう。
Difficultyが上がる時は、マイニングの計算難易度が上昇していることと同じなので、仮想通貨等投資家にとっては、トランザクションまで時間が掛かるという影響が起こります。そして、マイナーにとってはDifficultyが上がったことでマイニングに時間が掛かり、利益が減るリスクがあります。しかし、悪意のあるマイナーがトランザクションの不正を行うことは難しくなるので、セキュリティという面ではメリットもあるでしょう。ただし、Difficultyが高くなればなるほど、採掘しにくくなり、電気コストなどもアップしてしまいます。
対してDifficultyが下がる時は、マイニングの計算難易度が下がっているので、仮想通貨投資家にとってはトランザクションの時間が早く利便性向上に繋がります。また、マイナーは、Difficultyがひくくなるとマシンパワーを引き上げずとも報酬を受け取れるので、結果的に利益が増えます。しかし、同時に悪意を持ったマイナーによる、不正が起きやすくなるリスクもあるので、Difficultyが高すぎても低すぎても良くないといえます。