2018年7月31日から8月1日にかけて、仮想通貨の基軸通貨であるビットコインが約6万円の下落を記録しました。最近仮想通貨を始めた方にとって、仮想通貨市場は上昇と小幅な下落を繰り返している相場という認識となっているでしょう。

しかし、2018年8月の相場が、相場の基本的な形ではありません。2017年の仮想通貨市場は、ビットコインを始め様々な通貨が長期上昇相場となり、時には急騰を記録するなど全く違う方向性でした。

従って、仮想通貨や投資について初心者の方でも、利益を得やすい状況だったので億り人と呼ばれる一夜にして大金を掴んだ投資家まで出てきました。このように、仮想通貨市場は2017年と2018年を簡単に見比べても、大きく違っていることが分かります。そこで今回は、2017年に起きていた長期上昇相場、通称仮想通貨バブルの概要や起きた理由、バブルの意味や今後の仮想通貨市場の動きについて解説していきます。

バブル経済とは

2017年の仮想通貨市場を、巷では仮想通貨バブルなどと呼んでいる方も多いですが、まずバブルの意味について分かりやすく説明していきます。元々バブル景気やバブル経済と呼ばれる言葉の意味は、経済の状況を指しています。

実体経済に対して、資産価値や金融経済が大幅に乖離を起こし、暴騰・高騰相場を形成していることを意味しています。また、その後急激に膨らんだ資産価格は、泡が弾けるように急速に下落・縮小していくことから、泡のように膨らみ弾ける様子とかけてバブル経済などと呼ばれるようになりました。

従って、元は実体経済と金融経済の乖離に関する事象を指していましたが、今では単純に急激な上昇・下落相場をバブルと呼ぶこともあります。バブルと呼ばれる状況になった場合は、既に価格が上がりきっているか直前の場合が多いので、そこから買い注文を入れてしまうと天井相場で含み益が少なくなってしまいます。そして、そのままホールドしていると、バブル相場の特徴でもある短時間で急激に下落していく相場によって含み損が膨らむ場合があります。

バブル相場とも呼ばれる前述のような事象が起きた場合、仮想通貨初心者の方は安易に取引を始めず塔婆が落ち着くまで待つことが良いでしょう。また、バブル相場で利益を得たいと考えている方は、上昇要因となる情報を分析することや、上昇し始めの段階で相場予測をして注文することがポイントです。すでに上昇している場合は、バブル相場に限らず含み益が少なくリスクも大きいので、冷静に見守る必要があります。

また、バブル相場について警戒している仮想通貨投資初心者もいるかと思いますが、仮想通貨を含めて投資では永遠に上昇相場という状況はあり得ないといえます。つまり、バブル相場でなくとも、上昇相場で急に下落へ転じる可能性もありますから、ロスカット管理という点に軸足を置くことが大切になってきます。

バブル相場の始まりと終わりは、起きた後であれば後から明確な基準を見つけ出すことができますが、今上昇相場が形成され始めているとなると、状況は変わってきます。仮にある程度の分析ができて、天井も予測できていたとしても損失リスクは0%ではありません。そこで、重要になってくるのが、前述でも触れたロスカットの管理です。

ロスカットは、投資の基本であり仮想通貨投資でも、同様に大切な取引方法です。ロスカットとは、相場が下落(空売りの場合は上昇)した時に損切する事を指します。そして、ロスカット管理で重要なポイントが、どの程度の損失まで許容するのか・今投資している銘柄のチャートがどのラインまで下落したらロスカットするのか、明確な基準やルールを設けることです。

一時的な下落の場合にロスカットしてしまうと、その後のバブル相場で利益を得られませんし、反対に一時的な下落でロスカットするのを恐れてラインを下げ過ぎてしまうと大幅な損失を招く結果となります。従って、ロスカットルールを決める事は、資金の減少率を最低限にすることや利益を得る為に必要な概念なのです。こちらの概念は、株式投資で生まれたのですが、仮想通貨投資にも応用できるでしょう。

2017年の仮想通貨バブルとは

バブル相場の可能性は低いが堅調な推移に期待続いて解説するのは、バブル相場といっても仮想通貨バブルについてです。仮想通貨初心者や一般の方も仮想通貨を知るきっかけとなったのは、2017年ではないでしょうか。これまでも、SNSやブログなどで仮想通貨に関する情報発信をしている方達はいましたが、テレビで紹介される事例は少なく一般層に認知されにくい状況でした。

しかし、2017年に一変します。仮想通貨市場は、2017年初頭から上昇相場を形成し始め中・長期的に見ると右肩上がりの相場で推移していました。そして、テレビなどでも紹介され始め、一部では仮想通貨バブルが到来などといった紹介もあり、これまで仮想通貨という存在を知らなかった方にも知られるようになりました。

一方仮想通貨市場は、2017年上半期を過ぎても上昇を続けており、ビットコインの価格は28万円台と2017年1月から約2倍となっています。仮想通貨市場は、ボラティリティが大きい特徴がありますが、前述のような中期的な上昇相場の事例は少なく、この時点でバブル相場と分析することは初心者や中級者は難しいといえます。

そして、2017年下半期に入っても仮想通貨市場は、資金流入が増加傾向で多くの仮想通貨で上昇相場を記録していました。ビットコインの場合、下半期にバブル相場といえるポイントとして4回大幅な上昇が起こっており、これら4つに注目することが大切です。

1度目は8月に起きた大幅な上昇で、ビットコインの価格帯が30万円台から50万円台まで短期間で上昇しました。通常、20万円もの上昇幅を記録した場合、この事象だけでもバブル相場と判断できますが、その後下落せず2度目の上昇相場を迎えます。

2度目の上昇は、同年10月に起きた事象で50万円台から70万円台まで、急騰しました。こちらの事象も20万円の上昇幅を記録しており、仮想通貨初心者の方も思わずエントリーしようと考える相場といえました。そしてここから仮想通貨及びビットコイン相場は、急騰相場を連続で記録するようになります。

11月には1BTC=100万円を超える大台を突破、12月は一時230万円を超える価格を記録しました。この辺りから仮想通貨投資家や専門家の間でも、バブル相場への警戒感やビットコインの適正価格から乖離していると判断し、資金回収を行う事例もでてきました。しかし、一方で仮想通貨取引初心者の中には、更に値上がりすると予想して投資を行う事例もありましたが、結果はバブル相場が弾け、2018年1月~3月まで下落相場を形成しました。

2018年の仮想通貨市場

2018年の仮想通貨市場は、前年末のバブルが弾けた影響とコインチェック事件などにより、下落相場から始まりました。この影響は3月頃まで続き、一時は仮想通貨市場が長期下落相場になるという予測も出ていましたが、実際には4月頃からビットコインを中心に下げ止まり小幅な変動を繰り返しながら推移していました。

今後の仮想通貨市場はバブルとなるか

冒頭でも説明しましたが、基軸通貨ビットコインの価格が7月末頃に6万円を超える下落幅を記録しました。仮想通貨初心者の方は、下降トレンドを形成したことによって警戒感が高まるかと思いますが、仮想通貨市場においては珍しくありません。また、大手資産運用会社BlackRockが、仮想通貨市場へ参入する意欲を見せている事などポジティブな材料も直近で見受けられますので、バブル相場の可能性は低いですが、堅調な推移に期待できるでしょう。