ビットコインを最も多く買っているのは日本人

仮想通貨のリアルタイム情報提供サイトである「Coin Market Capitalization」によると、2018年6月10日現在で、世界には1,654種もの仮想通貨が発行されているものとされます。

中でも、2010年に実用化された仮想通貨の元祖であるビットコインが、最も多く買われていて、時価総額で1位となっています。ビットコインは投資家だけでなく一般における知名度も高く、しばしば仮想通貨の代名詞にもなっているほどです。

ビットコインFXまで含めると、ビットコインを最も購入しているのは日本人で、シェアは約4割だとされています。もともと、日本人は個人投資家が多く、社会人や主婦がFXにも盛んに投資していることで世界的にも知られています。今まで、一般的な通貨のFXに投資していた層が、ここ数年、ビットコインなどの仮想通貨にも投資金を入れているとみられています。

日本円の換算で約35.6兆円が仮想通貨全体に投じられていますが、そのうちビットコインは約13.7兆円の時価総額を占めています。シェアは約38.5%です。

仮想通貨の時価総額シェア1位~5位

2018年6月10日現在、時価総額1位~5位の仮想通貨は、次の通りです(*印は日本国内の仮想通貨取引所でも交換可能)。

<1位>*Bitcoin(ビットコイン) 単位:BTC  時価総額 ¥13,723,689,210,223
仮想通貨の元祖であり、その取引の正当性を裏づけている「ブロックチェーン」は、中央で管理する企業や人物などが不要で、しかも内容の改ざんが不可能とされているため、通貨以外の応用も模索されています。

<2位> *Ethereum(イーサリアム) 単位:ETH 時価総額 ¥6,317,959,027,011
ビットコインの技術に心酔したロシア人のヴィタリック・ブテリン氏が、弱冠19歳で考案した新型の仮想通貨。契約内容をブロックチェーンに載せて自動執行する「スマートコントラクト」が特徴的で、企業が資金調達するICOのトークンとしても広く利用されています。正確には、イーサリアムとは、スマートコントラクトを含めたブロックチェーンプラットフォーム全体の名称であり、その上でやりとりされる仮想通貨はETH(イーサ)です。

<3位> *Ripple(リップル) 単位:XRP 時価総額 ¥2,759,265,986,030
ビットコインよりも前に開発された仮想通貨であり、ブロックチェーンが用いられておらず、リップル社が中央集権的に管理している点が特徴の仮想通貨です。金融機関の間で国境を超えたスムーズな送金が可能になると期待されています。

<4位>*Bitcoin Cash(ビットコインキャッシュ) 単位:BCH 時価総額 ¥1,967,252,384,994
2017年8月に、ビットコインからハードフォーク(不可逆的な分岐)をして創られた、新型の仮想通貨ですが、ビットコインとは別物です。取引記録を保存する単位ブロックのサイズがビットコインの8倍あり、送金速度がビットコインより速く、送金手数料も安いのが特徴です。

<5位> EOS(イオス) 単位:EOS 時価総額 ¥1,306,585,486,440
もともとは、企業がソフトウェア開発を行うための資金調達目的で創られた仮想通貨ですが、いわばイーサリアムの上位互換となることを目指しています。イーサリアムと同様にスマートコントラクト機能を搭載し、しかも送金手数料がかからないという特徴があります。

仮想通貨の時価総額シェア6位~10位

ビットコイン・イーサリアム・リップルの市場シェアを脅かす次世代の仮想通貨つづいて、時価総額6位~10位の仮想通貨は、次の通りです(いずれも2018年6月10日現在。*印は日本国内の仮想通貨取引所でも交換可能)。

<6位>*Litecoin(ライトコイン) 略称:LTC 時価総額 ¥717,051,872,522
基本的な機能はビットコインと共通していますが、ビットコインよりも発行総量が多く、送金処理速度も短いことから、「ビットコインが仮想通貨界の金なら、ライトコインは銀」という位置づけだと言われています。ビットコインの知名度が圧倒的な日本では地味な存在感のライトコインですが、海外では利用者やファンが多いです。将来的に、ビットコインは資産運用目的の仮想通貨となり、普段使いにはライトコインが用いられるのではないか、との説もあります。

<7位>Stellar(ステラ) 単位:XLM 時価総額 ¥555,529,830,444
2014年に開発された、比較的歴史のある仮想通貨です。リップルの応用として開発されたと言われています。リップルは金融機関の間(BtoB)での安価かつ高速の送金に用いられる者と期待されていますが、ステラは個人間(CtoC)の安価で高速の送金を実現させる目的で普及させることを目指しています。

<8位>Cardano(カルダノ) 単位:ADA 時価総額 ¥546,856,655,284
オンラインでの「カジノ」を実現させるためのプラットフォームがカルダノで、そのカルダノ上でやりとりされる仮想通貨がADA(エイダコイン)です。しかし、カジノ以外の用途で応用される可能性が高く、将来的な潜在能力の高いブロックチェーンプラットフォームです。

<9位>IOTA(アイオータ) 単位:MIOTA 時価総額 ¥465,502,490,948
IoT(Internet of Things:物のインターネット)の本格的な実用化を、仮想通貨で支援しようとするプロジェクトです。IOTAは、セキュリティ水準が高く、送金手数料がゼロになる可能性があるため、物と物の間で、自動的かつ頻繁に決済が行われる可能性があるのです。たとえば、家庭の洗剤がなくなったら、洗濯機が自動的に、洗剤を運搬する自動運転車に発注し、必要な量を運んできてもらうこともできるようになるでしょう。

<10位>TRON(トロン) 単位:TRX 時価総額 ¥394,351,545,949
シンガポールで開発され、特にクリエイターを支援し、エンターテインメント事業に用いられることを目的にした仮想通貨です。面白い記事や動画などの作品に対し、読者や視聴者がTRXを贈ることによって、クリエイターの支援に繋がります。中国の大手通販プラットフォームのアリババと提携しているため、将来性もあります。

2017年、ビットコインのシェア(ドミナンス)が急降下

2017年の初めには、ビットコインの時価総額シェアは85%を超えていました。しかし、同年の春頃、ビットコイン以外の仮想通貨(アルトコイン)が軒並み値上がりしたことから、鼻の利く投資家の間で仮想通貨への投資がにわかに注目されるようになったのです。

ビットコインは高騰や暴落を繰り返しながら、1年かけて、1BTC=200万円を超える高値を付けました。その過程で大きく時価総額を集めたわけですが、アルトコインは短期間で数十倍にも値上がりする銘柄が続出したもので、ビットコインを上回る規模の膨大な資金が投入されました。
それで、ビットコインが仮想通貨全体に占めるシェアが、一気に下がっていったのです。

これからの仮想通貨市場シェア

時価総額シェア1位のビットコインですが、その人気は決して盤石とは言えません。利用者が多くなるほど処理速度が遅くなる「スケーラビリティ問題」によって、送金がいつまで経っても終わらず、送金手数料が引き上がる懸念が拭い切れていないからです。これは、国際的な経済価値のやりとりを、誰でも低価格で行えるようにする仮想通貨の理想に反します。ビットコインを決済手段として本格的に実用化させるため、送金詰まりなどを解消させる本格的なバージョンアップを実行しなければ、今後もシェアが低下していくと考えられます。

イーサリアムも、その高い性能やポテンシャルの割に、実社会への貢献、ないし大企業との連携のニュースに乏しく、送金詰まりも徐々に増えてきているため、国際的な注目度の低下とともに時価総額シェアが下がってきています。

しかし、イーサリアムには、スケーラビリティ問題(送金詰まり)を解消させる「セレニティ(Serenity)」という最終バージョンアップが今後に控えている(2018年6月現在)ので、セレニティを終えれば通貨としての実用性が高まり、シェアも盛り返していくものと予想されています。

しかし、今後はさらに画期的な新型仮想通貨が開発されていくことは間違いありません。今後は利便性の高い新型の仮想通貨を軸にしながら、ビットコインやイーサリアムといった、社会的信頼に裏づけられた「古参」の仮想通貨が、どれほどの存在感を示し続けるかが注目されます。