マイニングとは、新規発行の仮想通貨を手に入れられる方法
マイニングとは、仮想通貨が取引されたデータ(トランザクション)について、改ざんや二重支払いなどの異変がないことを確認し、仮想通貨の取引帳簿にあたるブロックチェーンに追記する作業のことをいいます。
仮想通貨のマイニングは、コンピュータ端末のプログラムで自動的に作業させるものです。特にビットコインなどのマイニングは、端末の超高速な処理速度が必要となります。そのぶん、電気も大量に消費します。
なぜなら、世界中での比較で最も処理が早かったマイニング端末の所有者(マイナー)に謝礼が支払われるルールになっているからです。このルールのことを、プルーフ・オブ・ワーク(Ploof of work)といいます。直訳すると「仕事量による証明」です。
それだけの投資と労力をかけられるマイナーにのみ、トランザクションの承認やブロックチェーンへの追記をする権利を認めることで、関係のない第三者による不正な操作を極力防ごうとしているのです。
ビットコインは、中央に管理主体がいないため、マイニングをしてくれるコンピュータがなければ、成立しないのです。マイナーの存在はビットコインの生命線といえます。
マイニングを行うと、謝礼として、システムが自動的に新規発行した仮想通貨(マイニング報酬)を受け取ることができます。
たとえば、ビットコインでは、10分おきにマイニング作業が完結され、2017年から2020年頃までの間は、12.5BTCが自動的にマイニング報酬として支給されます。1BTCが80万円だと仮定すると、約1,000万円に相当します。
トランザクション承認やブロックチェーン追記の労力と引き換えに、新規発行の仮想通貨を手に入れる様子が、まるで金鉱石を掘っている様子にも似ているので、金の採掘になぞらえて、「マイニング」と呼ばれているわけです。
さらに、その10分の間にビットコインの送金者が支払った送金手数料もマイナーが受け取ります。送金手数料を多く出している取引のトランザクションを優先して処理することも可能です。ただし、送金手数料が相対的に安いトランザクションのマイニングが後回しにされることにより、ビットコインの送金詰まりが起き、結果として送金手数料がオークションのごとく高騰しているのです。
送金手数料が上がれば、仮想通貨の魅力は失われます。やがてビットコイン相場が下落し、マイニング報酬の12.5BTCの価値も下がるため、マイナーは結果として損をします。マイナーとしては目先の欲をかかずに、送金手数料が安くてもトランザクションを処理するようにしなければ、仮想通貨の未来は暗いといえます。
個人でビットコインのマイニングをする方法
報酬として、12.5BTCももらえるビットコインマイニングは、個人にとって一攫千金のチャンスといえます。もし個人でマイニングを成し遂げ、しばらく繰り返せば、あっという間にマイニングで大金持ちになれるでしょう。しかし、ビットコインマイニングは世界中で、熾烈な競争が繰り広げられています。ASICと呼ばれるマイニング専用コンピュータを何百台、何千台もフル回転させ、消費する電気代も先行投資して、ようやく成功するかどうかです。つまり、マイニングを完全にひとつの事業として、ビジネスと割り切って行われているのです。よって、個人所有のPCで太刀打ちするのは、まず不可能です。
個人でASICを購入することもできますが、マイニング以外に使えない専用機に数十万円の投資をするのは、かなりのリスクを伴います。電気も大量に消費しますので、慎重に計算しなければ、赤字を垂れ流すおそれがあるからです。マイニングを気楽な副業として考えていると、早晩、大ケガをしてしまうでしょう。
個人が単独でマイニングに参加することを「ソロマイニング」といいますが、特にビットコインのソロマイニングは採算が合わない可能性が高いので、避けたほうが賢明です。個人がビットコインをマイニングする方法として、他に2つの道があります。
ひとつは、プールマイニングです。「マイニングプール」と呼ばれるマイニングチームの一員として参加して、マイニング報酬の分け前を受け取る方法です。もうひとつは、クラウドマイニングです。マイニングを大規模に事業として行っている企業に投資をして応援し、株主の配当のような形で成功の恩恵にあずかる方法です。
プールマイニングの長所と欠点
プールマイニングは、複数のコンピュータをインターネットで繋ぐことでコミュニティを形成し、非力な端末を大量に束ねて処理速度を結集させることで、いわば「チームプレイ」でマイニングにチャレンジする方法です。プールマイニングでは、個人の一般的なPCでも参加可能のため、ソロマイニングのような特別な初期投資が要りません。それでいてマイニング報酬を受け取ることに現実味がある点が長所といえます。ただし、そのPCは他の用途に使わず、マイニング専用機とすべきです。なぜなら、マイニングの成功報酬は、コミュニティ全体で、マイナーの頭数に応じて平等に分けられるのではないからです。成功したマイニング作業のうち、その人のPCが関わった割合、つまり「貢献度」によって、分け前が決定されるのです。
つまり、できるだけ処理速度が速く、できればGPUなどの高速チップを搭載している機種をマイニングに提供したほうが、受け取れるマイニング報酬が増える可能性があります。あまり古すぎるPCでは、商品電力との兼ね合いで赤字になるリスクもあるのです。
そのように、マイニングを事業として捉えて、報酬と経費のバランスを考慮しながらマイニングを実行しなければなりません。電力会社との契約を見直すなど、慎重に事を進めなければならない点が、いわばマイニングの欠点といえるでしょう。
クラウドマイニングの長所と欠点
クラウドマイニングは、いわば「投資」であり、マイニング専用業者にすべての運命を託す、間接的なマイニング方法です。よって、自分のPCをマイニングのために使う必要がありませんし、特別な電力消費も不要です。投資金以外で、負担しなければならない初期費用がない点はメリットといえます。投資したマイニング事業者が実際に受け取った報酬のうち、その一部を出資割合に応じて受け取ることができます。
ただし、クラウドマイニングには、詐欺の事例も報告されています。多額の出資金を集めておきながら、実際にはマイニングをまったく実行しておらず、サイトが突然閉鎖されて、行方をくらますという手口です。ある程度の運営実績があるクラウドマイニングサイトであれば、信用に値するでしょうが、新規に立ち上げられたクラウドマイニングや、不自然に高い報酬を謳って出資を募るようなサイトには要注意です。
また、出資をしたマイニング企業が、突然倒産して、出資金がまったく返還されない危険性も決してゼロではありません。その点は、株式投資や仮想通貨投資と同じく、まったくの自己責任ですので、ご注意ください。
個人マイニングは、ビットコインにこだわらないほうがいい
ビットコイン以外にも、マイニングの対象となっている仮想通貨はたくさんあります。
MinerGate(マイナーゲート)と呼ばれるサービスは、複数の仮想通貨のマイニングに対応しており、いわば「マルチプールマイニング」といえます。個人が使用しているPCの性能に応じて、どの仮想通貨をどの割合でマイニングすれば最も効率的なのかを自動的に計算し、推薦してくれます。割に合わないマイニングをさせられるリスクを分散できるため、初心者には嬉しいサービスです。
2018年6月現在では、ビットコインの他、ビットコインゴールド(Bitcoin Gold)、イーサリアム(Ethereum)、イーサリアムクラシック(Ethereum Classic)、ライトコイン(Litecoin)、ジーキャッシュ(Zcash)、モネロ(Monero)、モネロオリジナル(Monero Original)など、14種の仮想通貨のマイニングに対応しています。日本の仮想通貨取引所では取り扱いがない通貨も、マイニングで入手できるのは魅力的です。