積立投資(つみたてとうし)は、毎月定期的に一定額を、特定の商品に対して継続的に投資することをいいます。投資の中でも、短期間に大きな利益を狙おうとせず、コツコツと資金を積み上げていく、長期投資手法のひとつです。
特に最近では、仮想通貨の積立投資が注目されています。仮想通貨といえば、ボラティリティ(値動き)の激しい相場に乗っかって、短期間で大儲けする一攫千金のイメージがあります。では、そのような仮想通貨市場で今、積立投資の手法が広まり始めているのはなぜでしょうか。

仮想通貨相場の乱高下に振り回されたくない人へ

2014年のマウントゴックス事件(ビットコイン消失事件・当時の代表が業務上横領罪で検挙)によって、仮想通貨への社会的信頼は失墜してしまいましたが、2017年の大相場で、改めてビットコインをはじめとする仮想通貨が世間で注目されました。

2017年の春ごろにはビットコインが急伸しましたが、そのほかの仮想通貨の値上がり率も高く、リップルやNEMなどの当時単価が1円にも満たなかったアルトコインが、その実力を認められて数十倍にも高騰しています。
その後しばらく、仮想通貨は全体的に横ばい状態が続きましたが、同年7月から8月にかけて、ビットコインが1BTC=30万円から50万円超へ躍進。そのほかのアルトコインも右肩上がりで伸びました。8月1日には、最初に生まれた仮想通貨であるビットコインから、ハードフォークによってより実用性の高い「ビットコインキャッシュ」が誕生しました。その後しばらくは、ビットコインに入っていた資本が大量にビットコインキャッシュへ流れ込み、お互いに逆相関を描く形で少しずつ伸びていったのです。

9月、中国で仮想通貨の取り扱いが禁止になり、ビットコインが暴落しました。その後、11月に予定されていたブロック容量の拡大による送金速度改善の試み(セグウィット2X)が中止となり、またしても仮想通貨市場全体が暴落しました。その後、年末にかけて60万円台から200万円以上に躍進する大相場を演じたのです。ビットコインだけではなく、他のアルトコインも年末には引きずられて急伸し、仮想通貨市場全体が非常に活気に包まれました。

しかし、2018年の年明けからビットコインが失速、1月下旬に発生した、国内の仮想通貨取引所からの「NEM大量流出事件」で、仮想通貨相場全体への信頼が再び失われてしまいました。
ビットコイン価格も60万円台まで落ち込み、他のアルトコインも下落し、仮想通貨市場全体として、しばらくは浮上の兆しが見えていません。

それにしても、このようなボラティリティの大きい仮想通貨相場の乱高下に、いちいち振り回されていては、精神が持ちません。株式相場や為替相場と違って、仮想通貨相場は24時間365日、週末も休むことがありませんので、日常生活を送っていても、相場のことが心配になって、気が気でない人が増えています。
そこで、ボラティリティの激しい仮想通貨相場こそ、常にチャートに貼りついて動きを観察していなくても、コツコツと投資をできる「積立投資」に優位性があるのです。

積立投資の基本、「ドル・コスト平均法」とは?

積立投資は、仮想通貨の相場の値動きに振り回されず、淡々と定期的に一定額を投資する、非常にシンプルなルールに沿うことが重要となります。たとえ、100万円の投資資金があっても、100万円を一度に、ひとつの銘柄に投資するのでなく、タイミングを分けて、たとえば5万円ずつを毎月1日に投資することを20回繰り返すのです。そのほうが、たとえ同じ銘柄に投資し続けても、リスクの分散になることがあります。このような積立投資法を「ドル・コスト平均法」と呼びます。

ドル・コスト平均法は、相場が高騰すればもちろん儲かりますが、相場が暴落しても、そのぶん、同じ額でたくさんの通貨を購入できるようになるメリットがあります。
つまり、高騰と暴落、どちらに転んでも得をする方法なので、基本的に仮想通貨の相場が乱高下しても怖くないのです。
予知能力者でもない限り、相場の未来を正確に読み解くことはできません。どのような手法を使っても、あくまで確率論ですし、予想が外れて逆行すれば、損切りをして仕切り直すことが前提です。
しかし、ドル・コスト平均法による積立投資であれば、投資家の裁量判断によってトレードするのでなく、機械的な「定額購入」なので、同じ条件なら誰が実行しても同じ結果を再現できます。よって、相場を読むのになれていない初心者でも、大失敗をしない確実な投資ができるのです。
ドル・コスト平均法の最大のメリットは、「しなくていい余計な売り買いをする余地がない」という点にあります。相場の値動きに一喜一憂したり、動揺してルールを守らずに自分の判断を入れたりせず、機械的な売り買いに徹することができる人は、この手法に向いているといえます。

「ドル・コスト平均法」の弱点

ドルコスト平均法で定額購入をし、損額を少なくする積立投資法ただ、ドル・コスト平均法にもデメリットがあります。ドル・コスト平均法は、相場の動きに応じて臨機応変に枚数を減らしたり、下落相場に乗じて売りで利益を出したりすることができません。たしかに、右肩上がりの相場ならば一括購入よりも得をしますが、右肩下がりで沈んでいく相場では、ただ総資産が減っていくのを見届けるばかりで、どうすることもできないのです。

また、投資に対する意識や仮想通貨そのものに対する関心が育ちにくいのも、ドル・コスト平均法のデメリットかもしれません。たとえ、下降相場で枚数を増やし、上昇相場に乗って利益を出すことに成功したとしても、それはドル・コスト平均法という手法のおかげです。自分が相場に関わっているという当事者意識が生まれにくいので、うまくいかなかったときに自分で考えて改善する対策もできず、「手法が悪い」と諦めるだけになってしまいます。
そして、相場を勉強していなければ、積み立ててきた仮想通貨をタイミングよく処分する、肝心の「売り時」を読み解くことができません。積立投資の途中で一時的に含み益が出ても、それは現実の利益ではありませんので、投資を完結させるためには利益を確定させる「売り」が必須なのです。積立作業は機械的でも、売るタイミングだけは自分の判断で行わなければなりません。
せっかく長い期間をかけて積み立てた仮想通貨にもかかわらず、売り時を誤ったために損失を出せば、何にもなりません。

あくまで、ドル・コスト平均法を仮想通貨投資の入門編として、投資の基礎を学び、相場に慣れるまでの通過点と位置づけるなら、意義があるといえるでしょう。

国内で、積立投資をしやすい仮想通貨取引所とは?

大手の取引所の中でも、Zaif(ザイフ)には、「コイン積立」という仮想通貨積立投資の支援サービスがあります。毎月、一定額を自動的に引き落とし、指定した銘柄の仮想通貨を、毎日均等に買い付けるのです。つまり、ドル・コスト平均法の積立投資をZaifのシステムが自動的に代行するようになります。
自分で積立作業を行うと、どうしても買い忘れが起きたり、相場の急変によって動揺し、余計な売り買いを行ったりしがちです。これを自動化するのが、Zaifの「コイン積立」サービスです。
地方銀行や信用金庫も含めて、国内にある大半の金融機関の口座を、自動引き落としの対象として設定することができます。しかも、NTTデータの「ネット口振受付GWサービス」を利用し、銀行印不要で完全オンラインによる申込みが可能となっています。

また、ZaifではNEMやビットコインキャッシュなどのメジャーな銘柄から、こだわりのICOトークンまで、取り扱っている仮想通貨の種類が国内最多級ですが、コイン積立の対象にすることができるのは、その中でも「ビットコイン」「イーサリアム」「NEM」「モナコイン」の4種類です。
あなたが最も将来性があると考える仮想通貨を、毎月着実に積み立ててみませんか。短期的には上下動が激しくとも、長い目で見れば右肩上がりとなっていく相場では、ドル・コスト平均法による積立投資が最も実力を発揮します。数年後にはきっと、大きな実りをもたらしてくれるでしょう。