仮想通貨取引を始めた理由の1つとして、副業や将来の資産構築といったことを目的としている方もいるでしょう。そして、その中でも本業での収入が少なく、生活費と貯金を合わせると投資に回す資金が少なく、少額投資で取引を行わざるを得ないケースも出てきます。ビットコインやアルトコインへ投資する場合は、株式投資と違い5000円からでも取引が可能なので、資金に余裕がなくても投資を継続することはできます。

しかし、副業や資産構築といった目的がある場合、最初のうちは1万円といった少額資金で初めても問題ありませんが数万円以上の利益を常に達成させるのは難しいといえます。そこで仮想通貨FXを活用して、大きな利益を狙う方法があります。また、中にはアービトラージを用いることを考えている方も存在します。仮想通貨FXを軸にした取引であ、少額での投資方法という不利な側面をカバーすることも可能と言えます。ビットコインやアルトコインに投資する場合は、このように現物取引だけではなく、FXやアービトラージ取引など、色々な取引方法があるのです。

そこで今回は、副業や資産構築を目指しているが、「少額資金で利益を確保する方法がないためビットコインやアルトコインのFXを検討している」という方に向けて、その特徴とアービトラージによる取引戦略について解説していきます。

仮想通貨FXでは両建て取引が可能

仮想通貨FXの特徴は、差金決済方式です。差金決済方式とは、取引の結果が決まった段階で資金の移動が行われ、取引中には自己資金の増減は発生しない仕組みとなっています。そして差金決済方式を実現させるための仕組みが、証拠金取引です。

仮想通貨FXでは、自己資金を証拠金つまり担保金として取引所へ預け入れ、その金額に応じた法定通貨や対象となるコインを借りるという仕組みになっています。取引所の資金を使って取引をしているので、差金決済方式を採用できるのです。

そして、証拠金取引と関係あるのがレバレッジ取引です。レバレッジ取引とは、例えば10万円を証拠金として預け入れ、レバレッジ2倍を選択すると20万円分の取引ができる取引方法となっており、証拠金に倍率を掛けて、その金額まで取引ができるので、資金が少ない人に適した方法といえます。利用する取引所によって、レバレッジの設定が違いますが、国内の取引所の場合は上限が15倍となっています。

しかし、海外の取引所では、レバレッジ200倍という設定も存在しており一般的に海外の取引所の方が、レバレッジが大きい傾向です。少ない資金で、より大きな利益狙いたい場合は、海外の取引所の利用も検討すると良いでしょう。

レバレッジのメリット

レバレッジのメリットは、少額資金で大きな資金を動かせるという取引方法です。冒頭で説明したように、副業や資産構築を目的としているが、資金の確保が難しい方でも元本以上の利益を狙う事も可能なため、注目を集めています。

対してデメリットは、レバレッジを掛けた金額の損失も発生するリスクがあるため、取引のタイミングによっては証拠金を大幅に減らす可能性があります。ただし、国内の取引所ではロスカット制度が、組み込まれている為、証拠金が何%以下になると強制決済となります。

しかし、注意点もあり、ロスカットによる決済が確実に実行される訳ではなく、あくまで注文方法は一般的な取引方法と同じなので、約定のタイミングによっては設定よりも損失率が増える可能性もあることを覚えておきましょう。損失を最小限にするのは、取引方法だけではなく、投資家自身の力量によっても左右されます。

仮想通貨FXでは、このようにレバレッジを使って元本の範囲を超える利益を狙うことが可能な方法のため、投資家の多くが利用しています。そして、レバレッジ以外の取引方法もあります。それは、両建てを使ったアービトラージです。

両建てとは、仮想通貨FXでも可能な取引方法の1つで、買いポジションと売りポジションを同時にエントリーします。利益の狙い方についてですが、仮に上昇相場へと向かった場合買いポジションはそのまま保有しておき、売りポジションを損切します。売りポジションは価格が下落しないと、利益がでないので損失を抑えます。買いポジションは、価格が上昇するほど含み益が増えるので、上昇相場が天井となる直前まで保有・売却します。

仮想通貨FXでは、通常どちらかのポジションにエントリーし、取引を進めていくことになりますが、両建ての場合はどちらのトレンドに動いても対応できるような方法をとっており、両方のポジションにエントリーします。従って、上昇相場と下降相場どちらにも対応しやすい取引方法ということができます。

ただし、仮想通貨FXで両建てのポジションをたてる方法を用いたとしても、必ず利益を出すことができるわけではありません。損切のタイミングが早すぎて、トレンドの方向を見誤ると逆に損失が大きくなりますし、2つのポジションを保有することになるので証拠金も2倍掛かります。従って、少額投資による取引方法を検討している方にとっては、仮想通貨FXで両建てを活用した取引は資金面や技術的な側面で難しいといえます。

アービトラージを用いた取引手法

仮想通貨FXで取引戦略を考える際に、アービトラージ取引という方法も知っておくとよいでしょう。アービトラージ取引とは、日本語で裁定取引と呼ばれており仮想通貨FXの場合、複数の取引所でポジションをエントリーする取引を指します。

仮想通貨FXや信用取引、現物取引では、取引所が同一でも市場が別々に形成されています。更に、例えば仮想通貨FXという同じ取引方法でも、各取引所で市場が別々に形成されているため市場参加者が違いますし、仮想通貨の価格も違います。アービトラージ取引は、この取引所ごとに仮想通貨の価格が違うということを利用して行う方法となっています。

仮想通貨FXでアービトラージを行うときには、取引方法を理解することはもちろんですが、まず仮想通貨取引所がアービトラージ取引を許可しているか確認することが大切です。アービトラージ取引は、その仕組み上取引所にとって利益となりにくい傾向にあるため、アービトラージ取引を認めていない場合があります。

また、仮想通貨FXの場合、通貨を実際に受け渡ししていない差金決済方式なので、正確にはアービトラージ取引ではなく両建てに近い方法となります。なぜなら、アービトラージ取引の基本は、ある取引所で実際に通貨を購入し、その通貨を別の取引所で売却する方法だからです。アービトラージ取引は、現物の売買を行って利益を出す方法のひとつですので、仮想通貨FXの場合は、厳密にはアービトラージ取引と言えないかもしれません。

このように、アービトラージ取引は取引所間の価格差を利用して利益を出す方法です。取引所の価格差があっても、大きな差ではないので、アービトラージ取引で大きな利益を狙うことは難しくなっています。アービトラージ取引は一攫千金を狙うというよりも、堅実に利益を積み重ねていきたい人に向いています。仮想通貨投資の中ではアービトラージ取引は、比較的リスクが低い方法と言えますね。

アービトラージによる取引方法にはいくつか種類がある

仮想通貨FXではレバレッジによる利益とリスクのバランスを慎重に判断する仮想通貨FXでは、通貨の受け渡しを伴うアービトラージ取引はできませんが、取引所間の価格差を利用した両建てに近い方法によるアービトラージ取引はできます。そのアービトラージの方法をビットコインと日本円の通貨ペアで説明します。

まずA・B2つの仮想通貨取引所で、取引すると仮定します。仮想通貨FXの市場も取引所によって異なる為、価格差が発生しています。ですので、今回の場合AとBでビットコインの価格が安い取引所から、買いポジションをエントリーします。そして、仮にA取引所のビットコインが安くなっていた場合、Aで買いポジション、B取引所で同じ通貨量の売りポジションをエントリーします。アービトラージ取引で利益を出す為には、開いている価格差が収束するまで待ち、収束したらそれぞれの取引を完了させます。

これで、アービトラージ取引としての差益を得ることができます。仮想通貨FXの場合は、こちらの方法となるでしょう。また、他にもアービトラージ取引は存在します。例えば仮想通貨の現物取引の場合は送金ができるため、価格が安い取引所で購入し、価格が高い取引所へ売却する方法もあります。このように、仮想通貨FXや現物取引など金融商品によって、アービトラージ取引のアプローチが変わります。アービトラージ取引の方法は一つではないということを覚えておきましょう。

仮想通貨FXでアービトラージを行う際に気を付ける事

仮想通貨FXの取引戦略として、取引所間の送金を伴わないアービトラージ取引で進めることを検討している場合は、いくつかの注意点を覚えておく必要があります。1つは、アービトラージ取引は2つの取引所で取引を行っているため、証拠金も2倍必要という点です。

アービトラージ取引のための証拠金が2倍必要となると、少額資金から始めようとする方にとっては大きな負担となります。そこで、レバレッジ取引を活用する場合もありますが、今度は損失が発生した際のリスクが大きくなります。レバレッジ取引では、損失も倍率を掛けた金額となるため少額資金で倍率が大きいほど、証拠金を維持するのが難しい側面が出てきます。

他にも気を付ける点があり、仮想通貨FXで取引を行ったからといって、必ず同じタイミングで約定される訳ではありません。先に注文を入れたユーザーの方が、約定されるので買いポジションと売りポジションが狙ったタイミングでエントリーできないリスクも覚えておきましょう。これがアービトラージ取引のリスクのひとつとも五ことができます。

仮想通貨FXでは、レバレッジを掛けてアービトラージ取引ができますが、リスクとの兼ね合いも考えて慎重に検討することが大切です。