仮想通貨取引を始めた初心者の方は、現物取引から始めることが多いですが、買い注文のみの取引戦略で組むことしかできません。しかし、仮想通貨FXの場合は、取引所から資金を借りて取引をするため売り注文から取引を開始することができます。

つまり空売り注文が可能となります。資産運用の経験がある方なら、空売りの意味が分かると思いますが、投資初心者の場合は、その仕組みなど疑問に感じるでしょう。

そこで今回は、ビットコインやアルトコインの取引の初心者の中でも資産運用の経験が少ない方へ向けて、仮想通貨FXの大きな魅力でもあり特徴でもある空売りを中心に説明していきます。空売りを知ることで、取引戦略に関して幅を広げる事ができるので、様々な取引方法を模索している方は今回の記事を参考に仮想通貨FXや空売りについて検討してみるのも良いでしょう。

仮想通貨FXの特徴

まずは仮想通貨FXの特徴から分かりやすく説明していきます。FXの特徴の1つ目は今回のテーマでもある空売り注文ができることです。空売りの仕組みですが、ビットコインと日本円を例に説明します。まず、1BTC=100円のレートで推移していたとします。そしで、仮想通貨FXを活用して2BTCを売り注文に出すと、200円を買い戻すことになります。そして、2BTCは売却されます。

その後、ある程度相場が変動し、1BTC=80円まで下落したと仮定します。現物取引など買い注文から入った場合は、この時点で含み損が増加しますが空売りでは含み益です。前述で2BTC売り注文を入れて200円買い戻したので、ここで買い注文を入れたとします。FXの空売りの場合は、買い注文と逆になるので2BTC分の日本円を売って2BTC買い戻します。これで、1セットの取引は完了となります。

ポイントは買い注文の時で、20円の価格差が生じていたということは、1BTCの価値と所有していた日本円にも差が発生しています。つまり、日本円を売る際は200円を戻すのではなく、その時点のレートに換算してビットコインと交換します。従って、160円と2BTCを交換する取引となるので、40円が手元に残り利益確定となります。

FXの2つ目の特徴は、自己資金で取引しておらず差金決済方式という点です。仮想通貨FXの空売りを有効活用する上で、押さえておくべき仕組みです。

まず、仮想通貨の初心者の多くは、現物取引を選びます。そして、取引所へ自己資金を入金して、自己資金で取引します。従って、買い注文により購入したコインは、自身の資産なので決済や送金に用いることができますし、他のコインとの取引にも活用できます。

仮想通貨FXの場合は自己資金を取引所へ入金しますが、証拠金という扱いとなり、取引する際は取引所の資金を借りて行います。また、取引所へ借りる資金額の基準は、証拠金を基に算出するので1万円入金した場合、レバレッジを掛けなければ1万円もしくは1万円分のコインをつかって取引します。

FXはこのような仕組みなので、仮想通貨FXで買い注文や売り注文を入れて一時的に手にした仮想通貨は、自己資金ではないため他の取引や決済・送金へ用いる事はできません。

また、差金決済方式とは、取引を行っている途中の資金の増減や取引は実際に行われず、最終的な取引結果に応じて自己資金が増減する方式です。

FXの3つ目の特徴はレバレッジです。レバレッジは、取引所から資金を借りる際に自己資金の数倍で取引出来る制度です。取引所によって倍率の設定や上限は違いますが、国内の取引所の場合は2・5・10・15倍、もしくは2・4・5・10・15・25倍までの設定がほとんどです。

また、海外の取引所は、レバレッジの上限が100や200倍といった桁違いの設定となっているので、ハイレバレッジで大きな利益を狙っている方は、海外の仮想通貨FXを利用しています。しかし、200倍ともなると、1万円の損失が200万円となるので、投資初心者は安易な利用は慎重に考えた方がいいでしょう。

4つ目の特徴は、ロスカットと追証です。為替取引の仕組みを応用しており、損切に関するシステムも同様の方法を用いています。仮想通貨FXサービスを展開している取引所は、証拠金維持率といって、証拠金の何パーセントまで損失が及んだら強制的に決済する仕組みを取り入れています。これがロスカットシステムです。そして、追証とは追加証拠金のことで、証拠金維持率を超える金額まで入金することを指します。

以上が、仮想通貨FXの基本的な特徴です。空売りで利益を出す為には、上記の特徴をよく理解した上で取引を行う必要があります。

仮想通貨FXで空売りをする相場とは

仮想通貨FXと空売りの基本的な仕組みは、理解できたでしょう。次は、仮想通貨FXの空売りに適している相場について説明していきます。空売りは、売りから入って買いで完了する取引です。従って、買い注文と逆に下落相場で利益を出すことができる取引手法です。

すなわち、仮想通貨の下降トレンドや天井付近、N型チャートの真ん中などチャートが下降するタイミングでエントリーすることがポイントです。また、仮想通貨初心者の中には裁量取引、感覚でエントリーする方もいますが空売りの場合は特にハイリスクなので控えましょう。

下落相場は、上昇相場と比較して相場の動きが早く、激しい傾向があります。従って、上昇相場のように徐々に上昇していく場面が少ないので、気付いたら上昇トレンドに転換して大損となる可能性があります。そのため、仮想通貨FXの空売りを簡単だと勘違いせず、下落相場が表れるタイミングを狙いましょう。

仮想通貨FXで空売りをする際は分析が大切

下落相場が表れるタイミングを狙うことが利益を生み出す近道仮想通貨FXの空売りで下落相場を見極めるために必要なことですが、テクニカル分析やファンダメンタル分析を用いて、根拠を持って客観的な取引が必要となります。ファンダメンタル分析で捉える情報としては、価格を下落させる材料を探しましょう。

具体的には、世界経済が不調となっている情報といった仮想通貨業界以外の経済に関する情報、仮想通貨へのハッキングなどシステム関係で仮想通貨投資家に被害が及ぶ事象などが当てはまります。また、他には仮想通貨のプロジェクトが当初の目標を達成していないことや、仮想通貨の価値について市場の期待以上の結果が出ていない時が考えられます。

このように仮想通貨や経済、技術的なトラブルに関する情報をいちはやく収集することが大切です。

そしてテクニカル分析の場合ですが、こちらは仮想通貨初心者に難しい内容が多いので今回は移動平均線など手軽に活用出来る指標で例を挙げます。まずデッドクロスサインが出ている時です。デッドクロスとは、短期移動平均線が長期移動平均線を下回っているチャートのことで、こちらの形が出ると下落相場へ転換する兆しと判断する材料の1つとなります。

他には、移動平均線のサポートラインを下抜けるタイミングで、エントリーする方法です。これは主に株式投資の空売りで用いられている方法ですが、仮想通貨FXでも応用できるチャートパターンです。サポートラインとは、価格の下値を支えている移動平均線のことです。

また、レンジ相場でサポートラインを下抜ける時も、エントリーポイントといえます。レンジ相場は買い・売り圧力が拮抗しているもしくは、圧力が少ない状態です。このような時に下抜けるということは、売り圧力が上回っていると判断できるので、下降トレンドを形成すると考えてエントリーするやり方があります。

仮想通貨FXの空売りに応用できるチャートパターンは、他にもまだあるので空売りに興味がある仮想通貨投資家は調べてみるといいでしょう。

仮想通貨FXの空売りで必要な準備

最後に、仮想通貨FXの空売りで最低限準備しておくことで、リスク回避に繋がるポイントを紹介します。それは資金管理です。レバレッジを掛けられるということと、下落相場の価格変動のスピードが速いことで高まるリスクを考えた場合、現物取引の時よりも更にシビアな資金管理能力が必要となります。

1回の取引に投入する資金の上限を決める事から、レバレッジ取引をした際の損切ラインと許容損失額など主にリスクに関わる資金管理について準備しておくことが大切です。