ビットコイン取引を始めた方の中には、取引手法のひとつである「ビットコインFX」を選んだ方もいるのではないでしょうか。多くの初心者は現物取引から始めますが、ビットコインFXも魅力的な金融商品であり取引手法の1つですので興味・関心が湧くこともあります。

しかし、資産運用の経験が少なかったり、ビットコイン取引について経験が浅かったりしますと、ビットコインFXと言う手法を行うことによって、逆に損失が増える結果になる場合も多いです。その原因として考えられるのは、ビットコインFXの仕組みや本質を理解していないことや、取引手法・分析手法について知らないままビットコインFXの取引をしているといった事が考えられます。

そこで今回は、ビットコインFXの取引手法や分析手法を中心に、損失を抑えるために必要な手法や基礎知識を説明していきます。ビットコインFXと聞くと、ビットコイン取引と同じようなイメージを抱きますが、ビットコインFXと現物取引とは大きく違う手法となっていますので、基本の仕組みからしっかりと理解することが必要になってきますよ。

また、今回の記事を参考に、更に分析手法について学んでみるのもいいでしょう。

ビットコインFXとは証拠金取引

まずビットコイン初心者の方で、各金融商品の仕組みと特徴について知らないまま何となく取引しているケースもあるのではないでしょうか。特にビットコインの現物取引は、口座開設から入金・取引まで簡単に進められるので特に専門的な知識がなくともできます。

ただし、それはあくまで入金から取引までの手続きの話で、利益を得られるようになるための手法とは違います。その為にも、ビットコインFXの仕組みや手法を理解することが大切です。

ビットコインFXの「FX」とは証拠金取引を表しており、元々は外国為替取引のFXとして用いられています。従って、人によっては外国為替取引を意味するFXを、ビットコインFXと掛け合わせていることに違和感を得ると思いますが、この場合は「ビットコインの証拠金取引」と考えるといいでしょう。

ビットコインFXの証拠金取引は、仮想通貨取引所から自己資金=証拠金と同額あるいはレバレッジを掛けた金額を借りてビットコイン取引を行う手法です。従って、ビットコインFXにおける証拠金とは自己資金のことで、担保金といえる役割を果たしています。

また、取引を行う際は仮想通貨取引所から、日本円あるいはビットコインを借りるため、取引中に保有したポジション分の通貨を他の仮想通貨取引や決済・送金に用いる事はできません。ビットコインFXでは仮想通貨取引所から借りたお金でビットコイン取引を行っているので、自己資金として扱わないというルールがあるのです。

そして、ビットコインFXの手法では差金決済方式も導入しており、例えば買い注文から取引を入れた際、買い約定が成立し1BTCを購入したとします。しかし、この時点で自己資金は、取引に応じて資金の増減や移動は行われていません。では、どのタイミングで増減するかといいますと、売り注文が約定して利益・損失が確定した段階で、自己資金の増減が発生します。

つまり、ビットコインFXでは売買を1セットとして、1セットの取引が完了して結果が確定するまでは自己資金に変動がない決済方式となっています。ちなみに、取引所から資金を借りている為、ビットコインを使って売り注文から入ることもできますが、この場合も差金決済方式で自己資金に変動が発生します。

ビットコインFXのレバレッジとロスカット

ビットコインFXの仕組みを知る為には、レバレッジとロスカットの仕組みや手法の知識も欠かせません。レバレッジは、自己資金の数倍・数10倍にした資金量で取引できる仕組みで、うまく利用すれば大きな利益を得ることができる手法となっています。もしもビットコインFXでレバレッジ5倍設定であれば、証拠金の5倍で取引します。

レバレッジを5倍掛けでビットコインFX取引を行った場合は、買い注文・空売りどちらのパターンでも5倍掛けた金額で算出されます。従って、ビットコインFXでレバレッジ5倍の場合は、100円の利益・損失は、500円の利益・損失となって自己資金が増減しますので、収支バランスの試算は現物取引上に重要なポイントとなります。

レバレッジを掛けて大きな損失が発生しますと、場合によっては自己資金が5割以下に減少する可能性もあります。そうした大幅な損失は、取引所にとってもユーザー減少や貸し出した資金の回収率が下がるのでデメリットとなります。レバレッジを掛けるとメリットも大きいですが、リスクも大きい手法と言うこともできます。

そのため、少なくとも国内の仮想通貨取引所では、ロスカットシステムを導入しています。ビットコインFXにおけるロスカットとは、入金時の証拠金を100%として何パーセントの損失が発生したら、強制的に損切をするかという設定です。ロスカットラインの事を証拠維持率といいますが、証拠金維持率の設定は取引所によって違いがあります。

また、取引所によっては、追加証拠金制度も同時に実装していることがあります。通称追証制度とも呼ばれていますが、ロスカット後に追加で証拠金を入金しなければ取引再開ができないシステムです。つまり、証拠金維持率を常に満たした状態でビットコインFXをするように、定められているということです。

ユーザー側としては、追証制度があった方がストッパーの役割となるので、追証が実装されているビットコインFXの取引所を選ぶのがおすすめでしょう。しかし、追証制度によって取引が一時停止になることについて、わずらわしさを感じるのであれば追証無しの取引所を探すのもありです。

ビットコインFXを分析手法から考える

様々な手法から考えられる利益の生み出し方続いてビットコインFXの取引で、利益をなかなか出せない初心者の方が覚えるべき分析手法の基礎を説明していきます。ビットコインFXは、ビットコイン現物取引よりもチャートや相場理論、その分析手法について深く知る必要があります。なぜかといいますと、レバレッジを効かせた取引や、空売りができるといった事から投機的な意味合いも強いため、テクニカル分析手法を活用したほうがいいからです。

テクニカル分析手法には、オシレーター系指標とトレンド系指標、そして2つの性質が含まれている指標と、どれにも当てはまらない指標の4種類存在します。そして、それぞれの手法を組み合わせてビットコインFXのチャートを分析していくのが基本です。

オシレーター系はビットコインFXの場合、ビットコインが投資家に買われ過ぎ・売られ過ぎを数値化・グラフ化した指標です。買われ過ぎと売られ過ぎを知ることで、どのような分析手法として活用できるかといいますと、相場の買い圧力や売り圧力とトレンド転換のポイントを探ることができます。例えば、RSIという指標はオシレーター系の代表的な指標で、よく分析手法として用いられており、0から100を縦軸、横軸が時間軸というグラフを形成しています。

そして、100に近い程買われ過ぎというサインなので、買い圧力が近いうちに弱まり下落トレンドへ転換すると分析できます。0に近い場合は売られ過ぎのサインなので、売り圧力が近いうちに弱まって上昇トレンドへ転換すると分析できます。

オシレーター系を使った分析手法の戦略は、逆張り投資と相性が良いです。逆張り投資とはトレンドが転化する直前あるいは直後を狙ってポジションを保有し、反転したトレンドで利益を狙う手法です。そして、オシレーター系はトレンド転換がいつ起こるかという分析に活用できるので、ビットコインFX取引を始めた方は逆張り手法で試してみるといいでしょう。

トレンド系指標とは、現在のトレンドが上昇か下降か、レンジ相場かを示すものです。移動平均線が代表的で、主に順張り投資に用いられる分析手法といえます。順張り投資とは、トレンドに沿って取引を行うことを表しており、上昇トレンドと判断できたら買い注文を入れ、下降トレンドと判断出来たら売り注文を入れるシンプルな手法です。

従って、トレンド転換時にはエントリーしないという手法が一般的で、リスクを抑えやすいメリットがあります。ビットコインFXの方で、分析手法にあまり詳しくなかったり、実際の経験が浅い方は順張り投資とトレンド系指標を活用した取引手法がおすすめです。

ビットコインFXを理論から手法を考える

ビットコインFXの取引手法を考える上で、チャート理論から組み立てる方法もあります。チャート理論とは、過去の著名投資家達が残した理論で、トレンドやチャートの法則についてまとめられた内容となっています。

例えば、グランビルの法則は投資業界で有名な法則の1つです。移動平均線を基に構築された理論で、チャートと移動平均線を用いると売買ポイントに関して4つの法則が導かれます。例えば、上昇トレンドで一時的にサポートラインをタッチすると、その後上昇チャートを記録しやすいといった法則をまとめています。このような知識を身につけると、分析手法がより高度になり、高い精度で分析できるようになるでしょう。

理論と分析手法のどちらから、ビットコインFXの取引手法を考えるかは投資家次第といえます。どちらの手法が最も正しいかということはありません。ビットコインFX取引を行うユーザー自身がクセや性格も整理した上で、自分に合った取引手法を作ることが大切です。