仮想通貨FXは、現物取引よりも一般的に難しいといえる取引方法です。ビットコインなどの現物取引は買い注文から入り、レバレッジ制度もないので価格変動の予測はしやすいといえるでしょう。しかし、仮想通貨FXの取引の場合は、レバレッジによって何倍もの金額で取引ができる点や、空売り注文が可能なため売り圧力が強まる場面も出やすいです。
従って、仮想通貨FXの取引は投機的な相場となりやすい側面もあり、感覚による取引で利益を出し続けることは難しく、システムトレードやテクニカル分析を活用した方法が求められます。しかし、そのようなテクニカル分析を行わず、これまで感覚による取引で投資を行ってきた人が多いという事実があります。そのような人達にとっては、テクニカル分析といった方法で取引戦略を組み立てる事に苦手意識もあるのです。
そこで今回は、感覚による取引でビットコインなどの現物取引を進めてきた方に向けて、仮想通貨FXをテクニカル分析やシステムトレードの考え方で取引するための覚え方やポイントについて解説していきます。
仮想通貨FXは現物取引とは相場環境が違う
冒頭で簡単に解説していた感覚による取引とは、ビットコインやアルトコインの価格変動を感覚で捉えて指標や計算を使わずに取引を進める方法のことを指します。感覚による取引は、一般的にゲーム感覚で取引しているとも表現される取引方法で、投資で継続的に目標利益を達成させるためには不向きといえます。
例外もあり中には、感覚によるとる取引で利益を上げている人もいるでしょう。しかし、あくまで感覚的な取引によって利益を継続的に利益を出せる人は例外的な話なので、これから仮想通貨FXの取引で利益を出そうと考えている方はシステムトレードやテクニカル分析を使って取引を行うことがリスク回避にも繋がります。
次に仮想通貨FXが、なぜ現物取引よりも価格変動が大きくなるかについて解説します。1つ目の理由は、現物の市場と、仮想通貨FXの市場が完全に分離しているからです。しかし、ビットコイン売買が初心者の方や、株式投資などを経験したことのある方ですと、ビットコインやアルトコイン市場は株式市場と同じく1つの市場で複数の取引が行われていると考える可能性があります。
株式市場では、同一の市場で取引されていますが、仮想通貨市場の場合は例えば現物取引と仮想通貨FXの取引では市場が別々になっています。従って、現物取引の市場で1BTC=100万円となっていても、仮想通貨FX市場では1BTC150万円といった現象が起きます。また、それだけでなく現物取引の市場と仮想通貨FXの取引がおこなわれる市場の間を行き来して利益を出すこともできないため、市場の関連性が薄くなっています。
ちなみにですが、市場が異なるのは現物取引と仮想通貨FXの取引という区分だけでなく、それぞれの取引所で市場が形成されているので、取引所によっても価格に違いが発生します。ですので、仮想通貨FXの取引と現物取引を同一の市場で考えないようにしましょう。
2つ目は、市場の方向性が違う点が挙げられます。一般的に、ビットコインやアルトコインの現物取引を行うユーザーは初心者も多いため、それらが下落し始めると市場全体が資金回収の動きへと加速しやすい傾向となっています。これは、売り圧力に対してFXのようなレバレッジ制度や、空売りを活用した対処法がないため資金回収へ動くことが優先させることも考えられます。対して、仮想通貨FXの取引の場合は、レバレッジで自己資金の何倍もの取引が可能となるため、売り圧力に対して強気な市場となる場合があり、結果的にFXの方が価格変動が大きい傾向となることが考えられます。
3つ目は、レバレッジによる取引が可能となっていることで、FXの場合、より価格変動が大きくなる可能性も考えられます。仮想通貨FXでは、レバレッジと呼ばれる自己資金の何倍もの金額で、取引が可能となっています。従って、これまで少額資金で取引せざるを得なかった投資家も、仮想通貨FXでレバレッジを使って大きな利益を狙うことができるようになりました。
このように、大きな金額で取引ができる環境があると、投資家の多くは、仮想通貨FXでレバレッジを活用して強気な取引を仕掛けるケースも出てきます。強気な取引が多いと、価格変動も大きくなり上昇相場では現物取引の相場よりも仮想通貨FXにおける価格が更に上昇し、下落相場では現物取引よりも仮想通貨FXの方が急落となりやすいです。仮想通貨FXをこれから始める方は、現物取引とFXは違う環境で取引していることを意識する必要があります。
また、仮想通貨FXでの価格変動が大きいという点についても、押さえておくべきポイントといえます。仮想通貨FXの価格変動が大きいという事は、感覚による取引で損失を発生させた場合、大きな損失額となる可能性があります。ですので、リスク回避をしながら利益を伸ばす方法として、システムトレードやテクニカル分析が大切といえます。
テクニカル分析はチャートから価格やトレンドを予測する
仮想通貨FXを感覚ではなく、計算などを用いて分析する場合は、テクニカル分析を行い、システムトレードを用いるのがいいでしょう。システムトレードとは、「下落しているけれど上がるだろう」、「もっと利益を伸ばしたい」といった感情を排除して、機械的に分析・取引を行う方法です。
具体的には、FXの取引に関するルールを定めて、そのルールに従って取引を進めていきます。この時のポイントは、心理的要因はルールに含めずテクニカル分析や論理的思考でルールを定めていきます。また、システムトレードではリスク管理もシビアに設定します。
システムトレードでは、損失を最小・利益を最大化させるという目的もあるので、リスク管理で損失を抑え、テクニカル分析などで利益を最大化させるといった考え方もあります。従って、仮想通貨FXでシステムトレードを活用しようと考えるのであれば、利益を最大化させるためにテクニカル分析について知っておくことは必要といえます。
次にテクニカル分析とは、チャートや相場のみの情報を基に分析を行う手法です。従って、テクニカル分析には時事情報や各コインのプロジェクト状況、企業などの仮想通貨事業参入といった外部要因は分析に含めません。あくまで、テクニカル分析はチャートからの情報で分析を行います。
トレンド系指標で仮想通貨FXの戦略を立てる
仮想通貨FXの相場をテクニカル分析で読み解くためには、トレンド系指標の意味も知っておく必要があります。テクニカル分析には、トレンド系指標とオシレーター系指標の主に2種類存在し、トレンド系指標は相場の方向性を示すタイプとなっています。
例えば、仮想通貨FXで、ビットコインと日本円の通貨ペアで取引しているとします。テクニカル分析の中のトレンド系指標では、ビットコインの相場が上昇相場・レンジ相場・下落相場・方向感がない、といった主に4つの方向性をグラフなどで表します。
仮想通貨FXにも応用できるテクニカル分析のトレンド系指標の1つは、移動平均線が代表的です。仮想通貨FXにおける移動平均は、テクニカル分析の際は基本的に短期・中期・長期移動平均線を組み合わせて使用します。そして、テクニカル分析においてトレンドを表す大きなサインの1つが、ゴールデンクロスとデッドクロスです。テクニカル分析におけるゴールデンクロスとは、短期移動平均線が中期・長期移動平均線を上抜けるグラフを指します。このグラフが形成されたときは、テクニカル分析的には主に上昇トレンドの兆候を示しています。
対してテクニカル分析におけるデッドクロスは、中期・長期移動平均線が短期移動平均線を上抜けるグラフを指します。テクニカル分析を行ってこのグラフが形成された時は、これから下降トレンドとなることを表しています。ただし、テクニカル分析も、トレンド系指標も100%予測が当たる訳ではありませんので、通常は2つ以上の指標を使い、サインが合致する時にエントリーするのが基本です。
オシレーター系指標仮想通貨FXの戦略を立てる
仮想通貨FXで、テクニカル分析を行い、相場の逆張り投資をしてみたいという方もいるでしょう。逆張り投資は仮想通貨FXでも活用することができます。例えばビットコインと日本円の通貨ペアで仮定します。ビットコインのチャートが下落を続けていて、ある価格帯で底値となり上昇相場となった時に買いポジションを保有する手法です。
また、仮想通貨FXの場合はトレンド転換後の価格変動も比較的大きいため、テクニカル分析を行い、仮想通貨FXでレバレッジを掛けて逆張り投資を行う戦略も考える事ができます。そして、テクニカル分析のオシレーター系指標は、逆張り投資の分析・予測との相性が良いです。オシレーター系指標は、相場の買われ過ぎと売られ過ぎを数値化させたもので、買われ過ぎのサインが出たら近いうちに下落トレンドとなることが分析できます。
仮想通貨FXにも活用できるテクニカル分析の指標のひとつがRSIです。RSIはグラフ形式で表示し、横軸が時間・縦軸の上方向が買われ過ぎ、下方向が売られ過ぎを示します。従って、仮想通貨FXのチャートをRSIで分析すると、トレンド転換のポイントを分析することが可能となります。
最後に、仮想通貨FXとテクニカル分析との相性ですが、投資家などの評判も含めて考えると、テクニカル分析を行うときに全ての指標が応用できるかは不明点も多いですが、移動平均線や一目均衡表、MACDやRSIといったメジャーな指標との相性がおおむね良好といえます。