終身雇用制度の変化や少子高齢化社会の突入によって、これまでのような安定した生活や老後の資産構築というのが難しい社会となってきました。そこで、近年では政府も副業や資産運用を推進する姿勢をとっており、個人で資産を築く方向性へと変わりつつあります。そして、会社員や主婦、学生などが労働収入とは別に、資産を構築するために仮想通貨投資を選ぶケースもあります。
しかし、ビットコインやアルトコイン投資を始めるといっても、中には事前準備ができていないまま投資を始めたり、これまで資産運用の経験がない状態で投資を行ったりと、知識や経験不足という方もいるでしょう。また、そういった背景もあり、ビットコインやアルトコイン投資は簡単であるとか一獲千金を狙えるといったような、本来の姿とは大分違うイメージを持って投資を始める方もいます。
そこで今回は、資産運用の経験がない方やビットコインやアルトコインの知識が少なく事前準備が少なかった方、そして、一獲千金を狙っている方に向けて、仮想通貨投資の特徴や一獲千金が狙えるのかについて解説していきます。
仮想通貨投資とは
2018年時点でも、日本ではビットコインやアルトコインの売買が活発に行われており、各取引所で売買が行われています。仮想通貨投資とは、文字通りビットコインやアルトコインを使って投資を行うことを指しますが、その内容については様々な種類が存在します。
1つ目は、ビットコインやアルトコインの現物取引です。仮想通貨投資を始めた初心者の方が最初に始めるのが、主に現物取引で、自己資金で仮想通貨を売買する方法です。注文方法は成り行きと指値注文から選ぶことができ、買い注文からしか売買を始めることはできません。従って、空売りはできないので、現物取引を利用する際は注文方法についてよく理解しておきましょう。
2つ目は、ビットコインやアルトコインの信用取引です。投資の経験がある方であれば、信用取引と聞いてその内容が分かるでしょう。信用取引は、自己資金を取引所に入金し、証拠金すなわち担保金として預け入れます。そして実際に売買を行う際は、証拠金と同額あるいは倍率を掛けた金額を取引所から借りて行います。
ビットコインやアルトコインの信用取引の特徴は、証拠金という制度とレバレッジにあります。現物取引と大きく違う、2つの制度ですが今後資産を構築していきたい、一獲千金を狙いたいと考えている方は、各金融商品の違いについても覚えましょう。
信用取引では、自己資金で投資を行わず、あくまでも取引所から借りた資金で行います。従って、ビットコインと日本円の通貨ペアであれば、買い注文でビットコインを購入することができますし、売り注文でビットコインを売ることができます。つまり、取引所から借りる資金は、買い注文の資金に加え、売り注文に必要な仮想通貨も借りることができます。
また、レバレッジと呼ばれる証拠金から倍率を掛けた金額で投資ができるため、自己資金よりも大きな金額で売買することができます。例えば、証拠金が1000円でレバレッジが10倍とします。この時に仮想通貨投資を行うと、1万円から売買ができるので元々の資金では得ることができなかった利益も確保可能になります。
ただし、同時にリスクも高まっており、仮に損失が発生した場合レバレッジを掛けた金額で証拠金が減少します。ですので、証拠金に対して大きすぎる金額で売買を行うと、次の仮想通貨投資ができないほどの損失を被る可能性もあるので気を付けましょう。
3つ目は、仮想通貨FXです。FXという言葉は一般の方でも聞いたことがあるでしょう。FXとは為替取引のことで、信用取引と似ている部分があります。仮想通貨FXも証拠金取引を採用しており、取引所から資金を借りて行います。また、レバレッジ制度があるので、こちらでも資金の何倍もの額の取引が可能となっています。
信用取引との違いについてですが、差金決済方式を採用している点になります。仮想通貨FXでは、行った売買に応じて、証拠金が増減します。従って、買いポジションから売りポジション、売りポジションから買いポジションといったように、1回の売買が完了するまで資金の移動はありません。
表面上の取引はありますが、実際に口座から資金が移動するという事はありません。従って、仮想通貨FXの場合は、他の取引所への送金や決済に用いる事はできない点を覚えておきましょう。
仮想通貨投資のメリット
仮想通貨投資と聞くと、多くの初心者はビットコインをイメージするでしょう。日本円でビットコインを買って、値上がりしたらビットコインを売って日本円を得るというような流れです。しかし、ビットコイン以外にも色々な通貨があることを覚えておくことが大切です。
国内の取引所では、ビットコインやイーサリアム、リップルやライトコイン、ビットコインキャッシュやモナコインなどが主な取り扱い通貨といえます。このように、国内の取引所の特徴は、メジャーなコインを取り扱っている点です。
なぜなら、日本の場合は取り締まりを強化しており、詐欺コインといった不適切な仮想通貨の疑いのあるものは、上場が難しい仕組みとなっています。ですので、裏を返せば海外と比較して、健全なコインのみを取り扱っているというメリットがあるといえます。
仮想通貨投資のデメリット
対してデメリットは、取り扱いコインの数が少ないという点です。安全性を求めるということは仮想通貨の間口を狭くする必要があり、世界で1500種類以上発行されているもののうち、わずかな通貨のみを取り扱うことになっています。
一方海外の取引所では、100種類以上のコインを取り扱っている所が多いのが大きな特徴です。また、口座開設についても身分証明といった項目が省略されていることが多く、口座開設がスピーディ且つ手軽に行うことができます。
ただし、デメリットもあります。1つは、口座開設が簡単であるがゆえにセキュリティ上の課題が残されている点です。仮想通貨投資は健全性や安全性も必要といえるので、口座開設など安全上省き過ぎてはいけない部分を省いている取引所もあり、そういった意味では海外の取引所のリスクは高いと言えます。
また、海外の取引所では多くのコインを取り扱っていますが、全ての通貨がビットコインやイーサリアムのように、出来高が多く安定した相場という訳ではありません。通称マイナーコインや草コインと呼ばれる仮想通貨が、多数を占めています。しかし、時価総額が低いコインが買われ始めると、想像もできないような高騰を見せることがあります。実際、2017年は1000倍近くになったコインもあり、草コイン、マイナーコインといって除外するのは、一獲千金を狙う人にとっては賢い方法とはいえません。一獲千金を狙いたい人ほど、マイナーなコインを調べ、「将来性があるが、その可能性にまだ皆が気づいていない」ような通貨を人よりも早く仕込む必要があります。一獲千金を狙うには、すでにある程度評価されているような、時価総額が高いものでは厳しいでしょう。まだ誰からも見向きもされていないような、低評価のコインの中から将来大化けするようなものを調べ、購入する方が、一獲千金を狙う場合には良い方法となります。
事実、時価総額で見てみると、出来高が多く各価格帯の層が厚い仮想通貨は、上位10位前後といえる金額です。従って、1500種類以上もある仮想通貨の内1%にも満たない通貨は、メジャーな仮想通貨ということです。ビットコインやアルトコインの売買をするのに、海外と日本の取引所どちらを選ぶか決める時は、初心者であればセキュリティ面や使いやすさを考慮して、国内の仮想通貨取引所を選ぶのがリスク回避に繋がります。
仮想通貨投資で一獲千金を狙うことはリスクも許容するということ
仮想通貨投資で一獲千金を狙おうと考えている方もいるでしょう。仮想通貨投資を始める事は簡単ですが、一獲千金つまり大きな利益を狙うためには、様々な戦略を立てて尚且つ経験が必要となってきます。一番やってはいけないことは、仮想通貨投資で一獲千金を狙おうと考えて、生活費や貯金から資金をねん出することです。一獲千金を狙えるということは、それだけリスクが大きいということを表しています。一獲千金を狙えるコインは、価値がゼロになる可能性があるコインということでもありますので、なくなっても良いと思えるお金で投資しなければなりません。欲が出てしまうのが人間ですが、リスクが高いということをしっかりと覚えておかねばなりません。
仮想通貨投資は、元本保証は勿論ありませんし必ず利益がでるものでもありません。損失が発生する時もありますし、元本が減ることもあります。ですので、まずは資金を貯める事が大切です。また、一獲千金を狙いたいと考えている場合は、仮想通貨投資に関する基礎知識から勉強することが必要です。
感覚で投資を行って利益が出るといった甘い世界ではないので、事前準備と経験が重要なポイントとなってきます。仮想通貨投資を始める初心者は、一獲千金を狙う気持ちを持ちつつも着実に1つ1つの取引を冷静に進めていく心構えが必要です。