アンチウイルスソフト「McAfee」を提供する、セキュリティソフト大手のマカフィーのCEOジョン・マカフィー氏が、6月に最新の仮想通貨ハードウォレットとして「Bitfi Wallet」を発表しました。マカフィー氏は従来から仮想通貨に対して関心を示しており、時折個人的に興味のある仮想通貨に対してTwitterを用いて言及してきました。マカフィー氏のツイートによりその仮想通貨が急騰することを界隈では「マカフィー砲」などとも呼んでおり、その影響力の高さはこれまでも幾度となく注目されてきました。

マカフィー氏は新しい仮想通貨である「McAfee Coin」の発行も発表しており、仮想通貨業界の発展においてキーマンの一人となっています。そのマカフィー氏がこの度、仮想通貨のハードウェアウォレットとして「Bitfi Wallet」を発表したことは市場にとっても大きな意味合いを持ちます。今回は、仮想通貨業界におけるマカフィー氏の動向について説明しながら、ハードウェアウォレットの重要性と、「Bitfi Wallet」について解説を加えていきます。

仮想通貨市場にも影響力を持つジョン・マカフィー氏とは?

セキュリティ大手「マカフィー」が仮想通貨ウォレットを発表】ジョン・マカフィー氏は世界中にシェアを持つセキュリティソフト大手「マカフィー」を一代で築き上げた人物です。セキュリティソフト大手として今後ニーズが広がりそうな仮想通貨に関して興味を示しており、マイナーな銘柄に関してもチェックしているようです。

マカフィー氏が興味を持った仮想通貨についてツイートすると、その仮想通貨は軒並み価格が急上昇すると界隈では話題になっています。昨年末には「BURSTcoin」「Digibyte」「Reddcoin」の三つの銘柄が「マカフィー砲」によって急騰を演じました。最近では個人的に個別銘柄についてツイートすることも少なくなっていますが、マカフィー氏は2月に、仮想通貨やブロックチェーンのプロジェクトの宣伝ツイートをする際には、1件につき10万5000ドルを請求することを宣言しており、その影響力が非常に大きいことを示しています。

そんなマカフィー氏は、仮想通貨に裏付けされた独自の法定通貨「マカフィー・リデンプション・ユニット(MRU)」を発行することを発表しています。実在の貨幣のように紙幣を作り、それをブロックチェーンにリンクさせ、償還可能、両替可能、回収可能とするプロジェクトです。それに伴い、独自の仮想通貨「マカフィーコイン」を発行する計画も同時に進めています。

このMRUのユニークな点は、紙幣の額面に応じて最長で100分、マカフィー氏と個人的に面談する時間を持つことに償還できるという点です。マカフィー氏は、償還は故意に高く設定していると発言しており、すでに34万種の額面の紙幣が印刷され、その準備が着々と整っていることを公表しています。

マカフィー氏はICOには関与しないスタンス

仮想通貨に対しては積極的な姿勢を見せていたマカフィー氏ですが、6月にはICO(仮想通貨による資金調達)に関するスタンスを180度反転させています。理由は米国証券取引委員会(SEC)の脅威が挙げられています。マカフィー氏は「ICOを推進する人たちは逮捕されるのを楽しみにした方が良い」とまで発言し、ICOには見切りをつけたことを示しています。

ICOに関しては、各国の規制も不揃いになっており、多くの国家が詐欺の温床となりうるとしてICOを規制しています。マカフィー氏の発言もその流れを汲み取ってのものでしょう。

マカフィー氏は、この発言の数日後毒殺未遂が報じられ、自身のTwitterで何者かによって毒物を混入させられたことについて言及しています。ICOに関する意見を大きく変えたことが原因となっているかは未だ不明ですが、これに関しては引き続き情報提供を募っているようです。

仮想通貨を管理するハードウェアウォレットの重要性

マカフィー氏が公表した「Bitfi Wallet」について説明する前に、ハードウェアウォレットについて簡単に説明を加えていきます。ビットコインなどを管理する方法として一般的なものは、取引所にそのまま預けてそれをウォレットとするものがあります。

しかしそれでは取引所がハッキングを受けた場合、仮想通貨が盗まれてしまう可能性があります。それをよりセキュリティの高い個人のウォレットで管理するのがハードウェアウォレットです。

仮想通貨を保有している方の中で、このハードウェアウォレットで資産を管理している方はまだ少数派なのが現状です。ですがセキュリティの重要性も高まっている中で、同時にこのハードウェアウォレットで資産を管理することにも関心が高まってきています。

しかし、従来のハードウェアウォレットは一部の仮想通貨の管理しか出来ないといった利便性の問題や、取引所のウォレットよりは安全でもセキュリティの問題などが取り沙汰されてきました。マカフィー氏は今回、このように従来から指摘されていたハードウェアウォレットの問題を解決しうる、新たなハードウェアウォレットとして「Bitfi Wallet」を開発したのです。

マカフィー氏が公表したハードウェアウォレット「Bitfi Wallet」とは?

ハッキングできた者には10万ドルの賞金をだすほどの強気ハードウェアウォレットの「Bitfi Wallet」については、6月にマカフィー氏から公表がなされています。匿名性の高い仮想通貨である「モネロ」を含む、多くの仮想通貨や資産管理のサポートを備えたダッシュボード付きのオープンなハードウェアウォレットです。ユーザーは保有するすべての仮想通貨のバランスを一目で見ることができるだけでなく、ATMを使用するように一つの仮想通貨から別の仮想通貨に切り替えることができます。

マカフィー氏は、この「Bitfi Wallet」の開発にあたって「秘密鍵が決して不正な手段で取得されないようにするため全力を尽くした」と説明しており、「これほどまでに洗練されたハードウェアウォレットは他にない」と自信を見せています。その自信の表れか、マカフィー氏は7月に「Bitfi Wallet」をハッキング出来たものに対して、10万ドル(約1,100万円)の賞金を出すと公表しています。

50ドルの参加費を支払った参加者に対し、「Bitfi Wallet」を送付し、ウォレットを空に出来たら「成功」とし、10万ドルを支払うといった流れです。「Bitfi Wallet」は通常価格120ドル(約1万3,000円)と、日本でも多く流通しているハードウェアウォレットと比較してそこまで高価ではないので、今後日本国内でもユーザーが増えそうです。

マカフィー氏の今後と「Bitfi Wallet」には引き続き注目

以上、マカフィー氏と「Bitfi Wallet」について説明していきました。マカフィー氏に関しては、「マカフィー・リデンプション・ユニット」とそれに伴う「マカフィーコイン」が引き続き注目されそうです。ICOに関しては消極的な姿勢を取っていますが、仮想通貨全体に関してはポジティブなスタンスを示しており、以前彼が「ビットコインは2020年までに100万ドルに到達する」と発言していることからも読み取れます。

また、個人でのセキュリティ対策が重要視されている仮想通貨に対し、セキュリティ大手のマカフィーがハードウェアウォレットを発表したということは、ユーザーの関心をひきつけることでしょう。これにより、ユーザーが個人で手軽かつ安全にハードウェアウォレットで資産を管理することができるようになれば、仮想通貨の普及が進む可能性も高まります。仮想通貨市場を牽引する存在であるマカフィー氏の動向と、「Bitfi Wallet」については引き続き注目が集まることでしょう。