仮想通貨投資を行うことや、送金作業をしていると必ず円などの法定通貨へ換金する作業を行うでしょう。この作業は、何気なく手続きしている方も多いかと思いますが、今後長期的に仮想通貨を利用する場合は、換金の仕組みや気を付けるべき点について知っておくことが大切です。また、これから仮想通貨投資を行う方も、取引を始める前に換金方法について覚えておくと、実際に作業を行っても焦らず手続きを進められます。
そこで今回は、仮想通貨の換金をテーマに、換金方法や税金の仕組み、換金時の手数料コストや法定通貨へ換金できない場合について分かりやすく解説していきます。特に、円などの法定通貨に換金できない状況は、2018年1月のコインチェック事件などで起きた事例なので、他人事と思わず覚えておきましょう。
また、仮想通貨の換金時の課税に関する取扱いについても、最初のうちに覚えておけば確定申告時に悩まずに正しく申告書類の作成ができます。
仮想通貨の換金方法
仮想通貨は今や店舗などで決済手段に対応されるまで、市場が拡大していることから仮想通貨払いを選択する方もいます。しかし、それでも全ての店舗や手続き関係で、対応している訳ではありませんので、法定通貨に交換する必要があります。ですので、まずは仮想通貨を円へ換金する方法を覚えることが大切です。
換金方法については、いくつかの手段が考えられます。1つ目は取引所を使う方法です。例えば、ビットコインを保有していたとして、円に換金したい状況とします。
まず、取引所へビットコインを入金し、ビットコインと円通貨ペアで売り注文を入れます。この時、約定の成立が待てない場合は、レート差が大きいが優先的に約定される成り行き注文を入れるといいでしょう。反対に、約定成立が待てる場合は、レート差が成り行き注文より小さい指値注文で、希望の売り価格を提示します。そして、売り注文が約定すると、ビットコインを売却し円を購入することができます。これで、円へ変えるることができました。
次に、多くの取引所で日本円出金機能があるので、出金作業方法も覚えましょう。日本円出金を選ぶと銀行口座情報を追加する画面に変わるので、出金先の銀行口座の番号などを登録します。そして、登録した銀行口座宛てにビットコインを円に交換した上で送金します。これで、換金と出金方法は完了です。
2つ目の換金方法は、東京など一部で導入されているビットコインのATMを利用します。東京の一部のレストランや店舗で、ビットコイン専用のATMが設置されており、その機能はビットコインを円に換金する機能から、ビットコインの売り・買いまでできます。ただし、2018年時点では普及が進んでいないことや、他の仮想通貨に対応していないので限定的な利用方法となります。
仮想通貨の換金にかかる手数料
続いては、仮想通貨を換金する際の手数料について解説していきます。仮想通貨は、売買手数料コストが無料であったり、極めて低コストであったりすることが魅力です。また、換金を行い出金する際にも手数料が掛かるのですが、そのコストについては取引所によって異なっています。ですので、これから仮想通貨を利用する方や、現在換金と出金の頻度が高い方は出金手数料コストを基準に取引所を選んでみるのもいいでしょう。
まず、国内大手の取引所ビットフライヤーで換金・出金する際の出金手数料は、3万円未満の出金について540円掛かり、3万円以上の出金については756円掛かります。次にザイフで換金・出金する場合の手数料は、50万円以上の場合ですと756円掛かりますが、50万円未満の出金では350円となっています。少額出金の場合はビットフライヤーがおすすめで、3万円以上50万円未満の換金がある場合はザイフを利用するなど、使い分けも検討するといいでしょう。また、ビットバンクの場合は、ビットフライヤーと同じ出金額と出金手数料の設定となっています。
ちなみに換金時の課税についてですが、法定通貨に換金した際に売却金額と取得金額に差が発生して利益が出た時点で、課税対象となります。ですので、取引を行う方は勿論、この頻度が高い方も、常に差額を記録することが大切です。また仮想通貨の所得税は、雑所得の総合課税、そして累進課税制度が適用されています。
仮想通貨が換金できない事例
次に紹介するのは、仮想通貨を法定通貨円などに換金できないケースについてです。仮想通貨といえば、自由な市場でいつでも取引や送金作業ができる、といったイメージが強いでしょう。確かに自由な市場ではありますが、必ずしも換金できるとは限りません。
1つ目の換金できないケースは、海外の法規制関係です。日本やアメリカのように、取引や取り扱いを認めている国は、全てではありません。例えば、中国は仮想通貨反対派の代表的な国の1つです。中国は、元々情報管理など様々な分野で規制が強い傾向にありましたが、仮想通貨投資や取引所、換金などについて全面的に禁止しました。従って、2018年時点では、仮想通貨を保有することもできませんし、法定通貨から仮想通貨に換金することも規制されています。
ですので、規制の強い国で、仮想通貨取引や換金といった作業はリスクが高いといえます。
2つ目は、取引所でハッキングや不祥事が起きた場合に、取引や入出金、換金など全ての操作がストップされるケースです。後述でコインチェック事件について解説しますが、この事件の際も大きな混乱が生じました。
例えば、取引所へハッキングが発生した場合、更なる被害を防止するために一時的に全ての操作をストップすることがあります。このような事態に発展してしまうと、取引所のウォレットに入金していた仮想通貨を引き出すことはできませんし、ウォレットの操作も不可能なので仮想通貨を換金して回収するといった対処が難しいです。
このような問題が起きた場合は、ユーザー側で対処できないので、日頃から仮想通貨を法定通貨に交換して、取引に最低限必要な仮想通貨だけを取引所に保管するといった対策が必要でしょう。
仮想通貨を換金する時間も取引所によって異なる
取引所を利用して仮想通貨の換金を行う場合は、出金可能な時間についても確認することが大切です。仮想通貨取引自体は24時間稼働しているので、取引所内で仮想通貨を円に交換するといったことについて、時間を気にして換金する必要はありません。しかし、金融機関へ出金作業も含めた換金手続きを考えているのであれば、気を付ける必要があります。
例えば、ビットフライヤーでは、仮想通貨の出金可能時間について午前11時30分までの出金申請については、金融機関へ当日振り込みが可能となっています。また、午前11時30分以降に出金申請を行う場合は、翌営業日の振込になります。
仮想通貨の換金から出金作業を含めて、当日振り込みにしなければならない用事がある場合には、午前11時30分までと覚えておくとよいでしょう。
他にもザイフは、午前11時までの出金申請ですと2営業日以内に振込が完了します。そして、午前11時以降の出金申請については、翌々営業日15時までの振込となります。このように、2ヶ所の仮想通貨取引所を比較しても、出金時間と振込日について全く違います。仮想通貨の換金に関して頻度が高い方は、自身の振込予定日と出金時間の相性が良い取引所を選ぶのがおすすめです。
仮想通貨の換金ができないコインチェックの事例
前々項目で、仮想通貨の換金ができない事例について、簡単に説明しましたが2018年1月に起きたコインチェック事件の事象についても解説していきます。
いわゆるコインチェック事件とは、2018年1月にコインチェックへハッキングが起こり、仮想通貨ネムが日本円で約580億円分の流出及びと盗難事件が発生しました。仮想通貨ネムを保有していて、盗難されたユーザーの換金はおろか、資産の回収も難しい状況です。しかし、大きな混乱はそれだけではなく、二次被害を防ぐためにコインチェック内に預けている資産の操作や換金について全て一時的にストップしました。
コインチェック事件は、仮想通貨投資家の間だけでなく一般の方にも認識されるほど、各メディアで大きく取り扱われました。また、この1件で学ぶべきことは、仮想通貨取引所に資産を預けていると何らかの問題により、換金できない事態や盗難のリスクを認識することです。
ちなみにですが、事件以降コインチェックでは、補償手続きや一部出金再開など少しずつユーザーへの対応を進めています。また、多くの仮想通貨取引所で二段階認証やコールドウォレットなど、セキュリティに関する整備も進められています。