近年、「個の時代」になったなどとも言われますが、その流れの中、ビジネスにおけるマーケティングの仕組みも変わってきています。ここ数年で盛り上がっている仮想通貨も例外ではなく、インフルエンサーと呼ばれる存在を利用したマーケティングを行っているケースも多々あります。今回はそんな「インフルエンサー」と仮想通貨の関係について考察していきます。
仮想通貨業界にも存在するインフルエンサーとは
大きな影響力・拡散力を持った個人のことを指します。「influence」(感染)を語源とし、当初はブログを通じた拡散欲を持っている人物を指す語がインフルエンサーでした。現在は、インフルエンサーは(「元」も含め)芸能人であったり、作家であったり、経営者であったり、新しい「職種」でいうとユーチューバーであったり。その活動領域は特定の分野に限定されるものではありません。
インフルエンサーに共有して言えるのは、世間一般に広く認知されており、認知されているだけでなくそのインフルエンサーに対して共感、もしくは尊敬などといった感情を抱く「ファン」が数多く存在します。インフルエンサーの影響力、拡散力を持つ発信の手法も、個々のインフルエンサーによってさまざまではあるのですが、元々の生まれであるブログはもちろんのこと、その後大流行したSNS、とりわけ、不特定多数への拡散力の強い、Twitterもインフルエンサーの発信手段として頻繁に使われます。
インフルエンサーの近年のトレンドとしては、より「視覚」に訴えるようなコンテンツが重宝されることもあり、画像投稿SNSのInstagramや、映像投稿サイトYouTubeなどが使われることも多いです。もともとは影響力を持っていなかった個人が有名なインフルエンサーに取り上げられることで世間に認知され、インフルエンサーとなるような連鎖も起きています。
インフルエンサーマーケティングとは
企業のような営利団体が自身の商品のプロモーションの手段としてインフルエンサーを活用するマーケティング手法を指します。ブログが流行ったころから、認知の高い芸能人に商品を宣伝してもらうような手法は存在していましたが、現在はインフルエンサーと呼ばれる一般人が企業の広告塔となりえます。
インフルエンサーからそのファンに向けて「おススメ」として拡散されると、多くのファンがその商品の存在を認知するだけでなく、元々好感度の高いインフルエンサーから発信されていることもあり、第一印象からプラスの感情を抱きがちです。さらに、「あの有名な○○さんがすすめている」サービスを使っている自分を発信したい欲にかられ、さらに拡散されていくことも期待できるため、その効果は1人のインフルエンサーを通じ、非常に大きなものになることも期待できます。
一方で、インフルエンサーマーケティングは一時期問題となった「ステルスマーケティング」につながりやすいといった危険性も持ち合わせています。そのインフルエンサーが紹介するサービスを本心から広めたいと思って発信し、その対価として報酬を得るのは極めて正当なビジネスですが、中には広告料目的に、本心ではすすめられないものや、場合によってはそもそもそれほど認識がないものをインフルエンサーが拡散してしまい、ファンがそれを鵜呑みにして、消費行動に出るような危険性もはらんでいます。このあたりは、受信する側がそういったこともありうるといった前提に立ち、内容や個のインフルエンサーの性質から、見抜いていく視線を持つしかありません。
仮想通貨業界でのインフルエンサーランキング
ブログよりも、YouTubeよりもさらに後になって認知された仮想通貨ですが、やはり近年のトレンドとしてインフルエンサーの影響を良かれ悪かれ受けています。その影響も、仮想通貨全体に影響するもの、特定の仮想通貨に影響するもの、1つの仮想通貨の広告塔となっているもの等様々です。中でも影響の強いインフルエンサーについてインターネットでの評判などを参考に筆者がランキングをつくってみました。ご参考までに。
堀江貴文氏(経営者)
ホリエモンの愛称で親しまれている、元ライブドアの経営者インフルエンサーです。ライブドアの一件で実刑判決を受けていますが、その先見の明と歯に衣着せに物言いはファンを依然として惹き付けています。2013年と早い段階からビットコインに投資を行い、仮想通貨を長期的にポジティブな目線でとらえていることは多くの仮想通貨長期ホルダーにとって心強い材料となるでしょう。
イケダハヤト氏(ブロガー)
ブログ「まだ東京で消耗してるの?」で有名なイケダハヤト氏もまた仮想通貨インフルエンサーの一人です。後発ながらも仮想通貨投資に参入し、かなりの金額を仮想通貨に投資しているようです。最近もとに戻りましたが、一時期ブログタイトルが「まだ仮想通貨もってないの?」でした。「仮想通貨の暴騰ではなく、法定通貨の暴落」など、仮想通貨を長期的な投資対象としてポジティブにとらえています。「ポジショントーク」と明言しながら、持ち前の分析力で研究したおススメの仮想通貨を記事で紹介。仮想通貨イーサリアムやNEMに強い関心を持ち、仮想通貨取引所Zaifの積み立てなども活用しているようです。
玲奈♡丸の内OL仮想通貨投資♡氏(Twitter匿名アカウント)
著名人だけでなく、その正体が不明のインフルエンサーについても言及します。「玲奈♡丸の内OL仮想通貨投資♡」という名のツイッターアカウントも、運営者の正体が不明でありながら(本当に丸の内OLなのかどころか女性なのかも実際は不明です)多くのフォロワーを獲得している仮想通貨インフルエンサーの有名アカウントです。その「設定」がファンを獲得した側面は強いのでしょうが、発信内容に信頼性があるからこそ、そのインフルエンサーとしての人気が保たれています。
与沢翼氏(経営者)
「秒速で稼ぐ男」与沢氏もまたインフルエンサーです。大成功と大失敗を繰り返している人物ですが、現在はシンガポールで成功しているようです。過去「仮想通貨には関わらない」とコメントしながら、現在は仮想通貨rippleに強い関心を持っている模様。一見ブレているようにも見えますが、状況に応じて判断を変え、リスクをとることが出来るのはインフルエンサーである与沢氏が何度でも立ち上がれる要因の1つなのでしょう。
Gackt氏(芸能人)
少し趣向が変わりますが、インフルエンサーマーケティングの一例として紹介します。2017年度末からICO案件、仮想通貨SPINDLEの日本人向けマーケティングの広告塔となっていた人物です。芸能人格付けランキングでもつてに最上位をキープし続ける彼のインフルエンサーとしての信頼性で案件に参加したという方も少なくないのではないでしょうか。結果は地合の悪さもあってか大暴落。仮想通貨のICO価格割れのトレンドを作ってしまった感も否めません。
海外の仮想通貨インフルサーについて
皆さんに身近な、日本のインフルエンサーについて何人か取り上げてみましたが、海外でも「仮想通貨インフルエンサー」のような立ち位置の人物がいます。当然、仮想通貨の一次情報は発信内容が英語であるため、いちはやくキャッチするためにはネイティヴ向けに発信されているレベルの英語を読める必要がありますが、可能な人にとっては海外のインフルエンサーのフォローは有意義です。なぜなら、ブロックチェーンの最新の技術や、仮想通貨ビットコイン、主要アルトコインの最新の仮想通貨トレンド情報はまずは海外から情報が出回ります。
インフルエンサーによる海外から、日本の一般的な仮想通貨投資家よりもいち早く情報を得ることは、とりわけ短期的な取引においては有利に働く可能性が高いものとなります。参考までに、ランキングまでは用意していませんが、海外の超有名どころの仮想通貨インフルエンサーとしては、
ヴィタリック・ブリテン氏(仮想通貨イーサリアム考案者)
ロジャー・バー氏(仮想通貨ビットコイン投資の先駆者。現在は仮想通貨ビットコインキャッシュ派)
ジョン・マカフィー氏(セキュリティソフト会社McAfee創設者。ツイート一つで相場が動くことも)
など、ごく一部ではありますが、インフルエンサーとしてあげることが出来ます。Twitter上の短文程度なら英語が読めるという人はこれらの仮想通貨インフルエンサーのフォローの価値ありです。
仮想通貨インフルエンサーへの5chでの反応
日本最大級の掲示板である5ch(旧2ちゃんねる)には「仮想通貨インフルエンサースレッド」なるものが立っています。スレッドが埋まるたびに新しいスレッドが作られる、比較的人気のあるコミュニティが形成されています。
この掲示板の中にはそれぞれの仮想通貨インフルエンサーに対して、支持者やアンチと言われる立場など様々な思惑を持った不特定多数の集団の書き込みによって、コミュニティが形成されています。こういった5chのスレッドを見ていることで、複数名で集めた仮想通貨インフルエンサーの最新の情報が掲示板委集約されるため、数多くいる仮想通貨インフルエンサーを逐一フォローしなくてもまた、英語が読めなくても海外のインフルエンサーの発信をキャッチできる可能性もあります。
ただし、5chの情報はとても速いですが、一方で正確性を欠きます。仮想通貨インフルエンサーの発信の精査が十分でないもの、もしくは特定の意図のもとにインフルエンサーの情報を捻じ曲げられたもの等もあるので、正しくインフルエンサーの情報を取り入れていくには、より高いリテラシーをもって場に臨む必要があります。