仮想通貨取引といえば、ビットコイン取引を行う方が多いですが、最近ではアルトコインの増加と市場拡大によって、初めての仮想通貨取引をアルトコインで行うケースもあります。また、それだけでなくビットコインやアルトコインなど、複数の仮想通貨取引を同時に進めるパターンもあり、多種多様な取引を楽しむことができます。

そして、アルトコインの中で市場が大きい、メジャー仮想通貨といえばイーサリアムではないでしょうか。イーサリアムは時価総額ランキングで2位を維持しており、ビットコインとは違った方向性で開発された通貨の1つとして世界的に注目されています。また、仮想通貨をこれから始めてみようと考えている方の中にも、ビットコインではなくイーサリアムを購入してみたいと考えることもあります。

しかし、これから初めて仮想通貨の購入及びイーサリアム取引を進める場合、ウォレットについても同時に理解して準備しておく必要があります。そこで今回は、初めて仮想通貨取引を行う方やイーサリアムを購入してみたい方に向けて、イーサリアムの概要や特徴とイーサリアムのウォレットの基本と必要性、どのようなウォレットがあるのかなど分かりやすく説明します。

イーサリアムのウォレットというと、イーサリアム取引を始めてから準備すればよいという認識を持っている場合もありますが、実際は取引の前に準備しないと困る場面もあるので気を付けましょう。

イーサリアムを管理するウォレットを比較

まずは仮想通貨イーサリアムの概要と特徴、イーサリアムのウォレットとは何かという点、そして様々なイーサリアムのウォレットの比較する際に検討してみるといウォレットを紹介します。

まず仮想通貨イーサリアムの概要についてですが、イーサリアムは2014年2月に発行された仮想通貨の中でも歴史のある通貨といえます。また、イーサリアムの開発組織はEthereum Foundationとなっており、開発者はオープンな環境といえます。通貨発行上限枚数は、7200万枚ですので近年発行されているアルトコインと比較すると、少ないですが取引やシステムに問題ありません。

次に取引承認方式について、ビットコインはPoW=プルーフオブワークスという方式となっていますが、イーサリアムの場合はPoS=プルーフオブステークというビットコインと違った方式で運用しています。プルーフオブステークと比較する時のポイントは、仮想通貨イーサリアムの保有量と保有期間を、ブロックチェーンシステムが判断して、より多く長くイーサリアムを利用している方に報酬としてイーサリアムを分配する点です。

そしてイーサリアムの大きな特徴というのが、スマートコントラクト機能が実装されている点です。スマートコントラクトとは、自動販売機のようなシステムと例えられており、ビットコインと比較して仲介者や手続き関係のシステムを準備しなくとも、販売者と購入者が直接取引できる機能は魅力的です。

続いて、イーサリアムのウォレットについてですが、イーサリアムといった仮想通貨には対応しているウォレットでないと管理や送金ができないようになっています。従って、イーサリアムのウォレットについても同様に対応しているウォレットを準備する必要があります。

そして、イーサリアムのウォレットは様々なタイプがリリースされており、初心者の方からすると各タイプの特徴について悩むことがあるでしょう。ですので、ここでは簡単に主な特徴を基準として、イーサリアムのウォレットを比較します。

イーサリアムのウォレットを比較する上で、特に注目すべき点はウォレットのタイプといえます。なぜ、比較するためにタイプを気にするのかというと、ウォレットのタイプごとに使いやすさやセキュリティ能力が変わるからです。例えば、ウェブウォレットやソフトウェアウォレットは、使いやすく送金管理しやすい代わりに、セキュリティ面では課題が残ります。対して、ハードウェアウォレットやペーパーウォレットは、セキュリティ面で強化されている代わりに、入出金操作などで手間が掛かります。

また、イーサリアムのウォレットを比較する際は、Ledger Nano S、Ginco、Wei Wallet、Trezor、MyEtherWalletの中で検討するといいでしょう。後述でも紹介しますが、比較ポイントとして日本語対応していることに注目している場合は、MyEtherWalletを導入するのがいいでしょう

おすすめのイーサリアムのウォレット

続いては、おすすめのイーサリアムのウォレットは、どのタイプかということについてですが、前述の比較で解説したように各ユーザーがイーサリアムをどのように運用したいかによって変わります。そこで、運用方針別に、おすすめのイーサリアムのウォレットを紹介します。

1つ目のおすすめイーサリアムのウォレットは、セキュリティ面を重視したい方におすすめのLedger Nano SとTrezorです。どちらもハードウェアウォレットタイプで、大きさは手のひらに収まり持ち運びや保管がしやすい設計となっています。

おすすめポイントは、オフライン環境下(コールドウォレット)で管理できる点でしょう。パソコンなどUSB端子の付いている端末からUSB経由で、イーサリアムのアドレスを送ります。鍵となるアドレスはイーサリアムのウォレット内で保管できるので、ハッキングによる盗難リスクを防ぐことができます。尚、イーサリアムのウォレットとして使用する際は、MyEtherWalletというウォレットソフトと連携する必要があります。

2つ目のおすすめイーサリアムのウォレットは、前述でも紹介しているようにMyEtherWalletです。タイプとしては、ソフトウェアウォレットの中のデスクトップウォレットに区分されます。おすすめポイントは、イーサリアムを扱う方やイーサリアムベースのトークンを保有している方などが、準備しておいて損がないという点です。つまり、イーサリアムだけでなくイーサリアムクラシックやイーサリアムブロックチェーンをベースにした、トークンも送金や管理ができるという優れたイーサリアムのウォレットだからです。

また、おすすめポイントはそれだけでなく、様々なイーサリアムのウォレットと連携させることができますし、基本的に他のイーサリアムのウォレットはMyEtherWalletがないと動作できない特徴があります。ですので、まずはMyEtherWalletをインストールしてウォレット環境を整えることが大切でしょう。

使い方についてもイーサリアムのウォレットには珍しく、日本語対応している点がおすすめポイントです。

イーサリアムのウォレットを使ってカスタムトークンの追加ができる

イーサリアムのウォレットについて知る上で、カスタムトークンについても覚えておくといいでしょう。ICOにてトークンが発行された場合、多くのトークンは新規発行のため既存のウォレットでは対応していません。ですので、ユーザー自身がウォレットの設定を調整して、トークンの追加を行う必要があります。

そして、このようなトークン追加の操作を、ウォレットへカスタムトークンを追加すると呼びます。勿論、仮想通貨イーサリアムをベースにしたトークンは発行されており、イーサリアムベースのトークンを保有したら、イーサリアムのウォレットにてカスタムトークンを追加する作業が必要となります。

イーサリアムのウォレットは、MyEtherWalletを準備しておくとよいでしょう。ERC20規格というイーサリアムベースのトークンは基本的に追加できますし、ハードウェアウォレットとの連携も考えると用意しておくメリットが多いです。

MyEtherWalletでイーサリアムのウォレットのカスタムトークン追加の流れを簡単に説明しますと、まず公式ホームページにアクセスします。自身のアカウントからトークンの追加画面を選び、ICO案件で購入した新規トークンのシンボル(ETHのようなもの)と、アドレスを入力するとカスタムトークン追加作業が完了します。

イーサリアムのウォレットで送金する方法と流れ

イーサリアムウォレットで送金する方法と流れ初めてウォレットについて覚える方や、これからイーサリアムのウォレットを使う方にとって覚えておきたいことといえば、送金方法や流れです。

簡単に説明しますと、イーサリアムのウォレットの送金方法はビットコインなどと同様に、アドレスと送金先を入力する作業が主な手続きの内容です。ただし、送金方法の中で分かりにくい所があります。それは、ガスリミットとガス価格です。イーサリアムのウォレット特有のシステムなのですが、送金する際にはガスリミットとガス価格の数値を設定する必要があるのです。つまり、手数料コストといえます。

ガスリミットの数値を増やすと、送金時の手数料コストの上限が上がります。何らかの要因で送金処理に負荷が掛かったとして、上限値まで費やすと自動で停止する安全装置のようなものです。続いてガス価格とは、送金手数料全体のコストを下げる設定で、数値を下げる程手数料コストを削減できる代わりに送金時間が延びます。

ポイントとしては、特に急いでイーサリアムのウォレットから送金する理由がない場合は、なるべくガスリミットとガス価格を抑えて、コスト削減した方がいいでしょう。

イーサリアムのウォレットの安全性について

イーサリアムのウォレットを購入、インストールするにあたって安全性についても気になります。セキュリティ面については、他のウォレットと同様にタイプごとに違いがあるのでイーサリアムのウォレット特有のセキュリティに関する特徴はないといえます。

従って、冒頭でも紹介しているように、安全性を重視したいのであれば、MyEtherWalletと連携した上でLedger Nano Sといったハードウェアウォレットを、最低でも1台は購入しておくのがおすすめです。

また、イーサリアムのウォレットの秘密鍵などの管理や、取引に使用しているPCなどのセキュリティチェックを日々怠らないことが安全性向上に繋がります。イーサリアムのウォレットの安全性に頼らず、他にも安全性を高める行動を自身で考えてみることが特に大切です。