仮想通貨の取引をするときにはユーザー同士が売買する場合、取引所から仮想通貨を購入しますが、その際には「手数料」というものが存在します。しかし、ほとんどの取引所では取引の成立で0.1%や0.2%、中には「手数料無料」としていることもあります。それどころか国内ではマイナス手数料を採用していることもあり、手数料を支払うのではなく取引をすることで仮想通貨をもらうことさえできてしまいます。

手数料の存在は取引所の公式サイトなどで確認できるので、あまりに手数料が高い場合は利用を差し控えたりできますが、一般的には公にされていない「スプレッド」の存在ご存知でしょうか。隠れた手数料とも言われ、スプレッドの存在を知らずに取引を重ねると非常にもったいないことになります。そこで、今回は仮想通貨におけるスプレッドについて詳しく解説しますので、仮想通貨取引に生かしてみてください。

仮想通貨取引の実質的な手数料であるスプレッドとは

「スプレッド」という言葉は仮想通貨の取引だけではなくFXでも株でも登場する言葉で、端的にいえば「売値と買値の差額」です。少し言い方は難しくなるかもしれませんが、専門的にはスプレッドは「仮想通貨の金利差」とも表現できます。

具体的にスプレッドの数字を出してイメージしてみると、売値が1BTC=15,000円で買値が1BTC=13000円であればスプレッドは2,000円です。通常、スーパーやコンビニといった小売店が仕入れて売る時のように「安く仕入れて高く買う」が原則です。取引所(販売所)も商売で開設しているわけですから、手数料を取らなければなりません。それがスプレッドなのです。

仮想通貨での取引を安全に行える場所を提供しているために、スプレッドという手数料を支払うと考えればわかりやすいでしょう。ですから、公式サイトなどで表向きは「取引手数料無料」や「0.1%」などとあっても、仮想通貨の売値と買値の差額によるスプレッドが発生し、実質的な手数料として存在するのです。

それから、スプレッドは常に一定ではありません。仮想通貨市場の変化によってスプレッドは変わってきます。当然、売値も買値もその時々で変化するからです。今日と明日でも変わりますし、ボラティリティ(値動き)の高い仮想通貨ならば数時間、数分でも変化します。仮想通貨においては特にスプレッドの変化が激しいと考えたほうがいいでしょう。

例えば、ビットコインの価格が暴騰している場合、ビットコインの売り手が少なくなり、市場に出回るビットコインの量が減っている状況です。売る人が少ないということは買値がさほど変わらない状態で売値が高騰しますのでスプレッドは広がっていきます。このように、スプレッドは仮想通貨市場の変化によって変化します。特に仮想通貨の価格の暴騰や暴落が起こったときには、スプレッドには注意したいところです。

仮想通貨取引所のスプレッド

スプレッドの概要に関してはつかめてきたと思いますが、実はスプレッドが発生するのは「販売所」だけになります。仮想通貨の取引の経験が浅い方は取引所も販売所も同じではないかと思っているかもしれません。しかしながら全く異なる性質があります。スプレッドを正しく理解するために両者の違いも解説します。

まずは「取引所」ですが、こちらはユーザー同士が仮想通貨の売買を行う場です。いわゆる「板」と呼ばれるものに売りたい人と買いたい人の情報が載ってあります。具体的には1BTCを1万円で売りに出している人が50人いれば1BTC=1万円が50BTC分あると板に記載されます。そこで自分が1BTC=1万円で20BTC欲しいと考えていたのなら取引が余裕で成立するわけです。

もちろん、誰もができるだけやすい値段で買いたい(高い値段で売りたい)わけですが、自分が思う価格と数量が売りに出されている保証はありません。つまり、常に自分が思うような板情報になっているとは限らないのです。ただ、仮想通貨の取引所のスタンスとしてはユーザーが取引をする場を提供しているだけですから、仮想通貨の取引額のいくらかを手数料としてもらいます。

基本的なスプレッドの計算方法に当てはめれば、板を見て最も安い売値、最も高い買値の差額は計算できますが、これは手数料として取引所に支払うわけではありません。なぜなら、自分がその売値と買値で取引が成立したわけではないからです。

では、スプレッドの計算式に当てはめた数字は何を意味するかといえば「取引量の多さ」を示します。仮想通貨の売値と買値の差が狭いほど取引量は多くなります。仮想通貨の取引量が多いということは、自分が希望する売買が成立しやすいともいえます。投資家としてはスムーズに取引が成立することを望みますから、仮想通貨の取引所選びで迷っているときは板情報を見てスプレッドがどうなっているかをチェックしてみるのも一つの方法です。

仮想通貨販売所のスプレッド

今度は「販売所」ですが、ここは仕入れた仮想通貨をユーザーに販売するところです。スーパーやコンビニと一緒です。国内の業者ではコインチェック、ビットフライヤー、ザイフといったところが仮想通貨の販売所を設けています。先の例のように1BTC=13000円で仕入れたら1BTC=15000円で販売したりして儲けを出すわけです。多くは手数料を無料にしていますが、スプレッドを利用して実質的な手数料を受け取っているのです。

このカラクリはしっかりと覚えておきましょう。しかし、取引所と違って売買したい時にすぐ取引は成立します。特に仮想通貨の売買が初めてのころは販売所を利用した売買をすると思いますが、スプレッドに関して注意しておいて欲しいこともあります。次のテーマでみていきましょう。

仮想通貨取引所より販売所のスプレッドの方が高い

スプレッドが仮想通貨取引に与える影響先に解説したように、スプレッドはその時々で変化し、仮想通貨の売値と買値の差額が大きくなったり小さくなったりします。変化するスプレッドは販売所においての実質的な手数料ですからスプレッドが広い(大きい)ほど、手数料を支払うことになります。よって、仮想通貨取引を頻繁に行えば損をします。特に、少額の売買を行うときには資産の目減りは速くなります。

重ね重ねですが販売所をメインに使う初心者トレーダーはこの点も念頭に入れておきましょう。販売所の賢い使い方としては複数の口座を持ち、最も安く購入し最も高い買取りをしている販売所で売ることを心がけましょう。アービトラージという投資方法ですが初心者には一番わかりやすい方法です。

全体を比較するとみえてきますが、仮想通貨の販売所のスプレッドと取引所の取引手数料を比較すると断然、取引所の取引手数料が安くすみます。ですから、仮想通貨の取引に慣れてきたのであれば取引所で売買をすることをおすすめします。

4つの仮想通貨取引所・販売所のスプレッド比較

最後にスプレッドが狭い(小さい)仮想通貨の取引所、販売所を4つ紹介しながら比較します。まずはビットフライヤー(bitflyer)です。国内では最大規模ですので、取引量の多さからスプレッドも狭い傾向にあります。取引画面も見やすく構成されていますので初心者、中級者でも安心できます。

次はDMMビットコインです。人気女性タレントのローラさんをイメージキャラクターにしていることで知名度も上昇しています。手数料は無料となっていますがその分だけスプレッドは広めに設定されている印象です。

ザイフ(Zaif)は特徴として、コイン積立や最大25倍のレバレッジ取引が可能と魅了的ですがスプレッドはこちらも広めになっています。手数料は安めですので使い分けが必要でしょう。

最後にGMOコインをみてみると販売所のスプレッドが他社よりも低めになっています。販売所として利用するならばおすすめです。

簡単に仮想通貨における各販売所のスプレッドを紹介しましたが、先にも申したようにその時々で変化します。複数の口座を開設して比較してから仮想通貨で売買をしていきましょう。