仮想通貨の取引を楽しむ方は世界中に数多くいると思います。2017年の過熱ぶりから下火とも思われそうな仮想通貨市場ですが、新たな仮想通貨取引所「ゾディアック」の登場で仮想通貨市場も大きな変化を迎える可能性があります。
2017年、空前の仮想通貨ブームが起きてビットコインは10万円台であった価格が一気に230万円まで高騰していきました。仮想通貨はビットコインだけではなく主要なアルトコインもこぞって価格の暴騰が起きて仮想通貨の投資家が一気に増えたのも事実です。この文章を読んでいる方でも仮想通貨市場の熱さや人気ぶりを察知して仮想通貨取引所に口座を開設した人は多いのではないでしょうか。
しかし、仮想通貨市場の急な成長や仮想通貨関連についての法規制によりサービスの提供が追いつかない場面が度々みられました。具体例で言えば、仮想通貨の新規口座開設の申込を一時的に制限したり、仮想通貨取引に思わぬ時間がかかったりなどです。このような仮想通貨取引に関する課題を解決しようとしているのが今回、紹介する「ゾディアック」です。ではどのような特徴を持つ仮想通貨取引所なのかを解説してきます。
仮想通貨取引所が抱える課題をゾディアックが解決
仮想通貨取引所として新たに開設が予定されている「ZODIAC(以下、本文中ではゾディアック)」は、世界でも最大規模の取引量などを誇る「Bittrex(ビットトレックス)」が関係しています。当初ゾディアックは、2018年の3月ごろの開設かともみられていましたが8月上旬現在でも正式な稼働は確認されていません。
しかしながら、ゾディアックの仮想通貨取引所としての方針などはホワイトペーパーや公式サイトでも公開されています。冒頭でも触れましたが、現状の仮想通貨取引所が抱える問題点を解決し、ゾディアック独自のコンセプトのもと運営を始めようとしています。
仮想通貨の投資家であれば「仮想通貨取引所のこんな部分が改善されたらな…」という考えは多かれ少なかれあると思います。多くの仮想通貨投資家にとって最も重要なことは出金制限と考えられますが、1日の出金制限をしている仮想通貨取引所もあります。
例をあげて考えてみると、2017年の初めの頃は仮想通貨ビットコインが10万円ほどでした。1日の出勤制限が10万円ならば問題なく出金できます。しかし、12月に記録した過去最高値の230万円だったら0.043BTCしか引き出せません。様々な仮想通貨取引所を使って、まとまった金額の取引をする仮想通貨投資家にとってはデメリットになりえます。
仮想通貨取引だけではなく、コインチェックの流出事件からもわかるように仮想通貨取引所に預けられている顧客の資産は世界中のハッカーから狙われやすくなっています。いざという時に少額の資金しか動かせないのは資産管理でもリスクになるのです。
その他、仮想通貨取引所に必要とされるものとすれば、インターフェイスが分かりやすい、取引画面の操作がスムーズに行える、多くの銘柄が取り扱われている、サポート体制が良い、取引量が多いなどでしょう。残念ながらこれらすべての要件を満たしている仮想通貨取引所は国内外見ても無いと言っていいでしょう。
国内の仮想通貨取引所ではサポート体制が整っていても海外の仮想通貨取引所は問い合わせ自体が英語で行わなくてはならないなどの不便さもありますし、世界でも大手取引所のBinance(バイナンス )などは度々メンテナンスなどを行い利用できないこともあります。以上のような問題点を念頭に入れながらゾディアックの特徴に触れていきたいと思います。
仮想通貨取引所ゾディアックはニッチな市場をターゲット
仮想通貨取引所が抱える様々な問題点に対してゾディアックは様々な形でアプローチしていることがゾディアックの公式サイトから伺えます。まず、取引所としての理念やコンセプトとしてゾディアックの公式サイトのトップ画面では小売市場をターゲットとした次世代の仮想通貨取引所というのが分かります。
これはゾディアックがビットコインやイーサリアムなどと言ったメジャーな仮想通貨ではなく、これから期待が持てる銘柄など注目度の低いニッチな市場をゾディアックがターゲットにしていることが推測できます。既存の取引所でいえばバイナンスのような取引所でしょう。
さらにゾディアックは「世界有数の仮想通貨と伝統的な取引プラットフォームの知識と経験を組み合わせることで世界をリードする仮想通貨取引所になることを目指す」ともあります。ゾディアックは冒頭から取り上げているような既存の仮想通貨取引所でサービスが受けられない現状を打開しようとしているのも伝わっていきます。
ゾディアックが目指す最先端の取引所
具体的にゾディアックは、最先端のセキュリティー、安定性や高パフォーマンスのテクノロジーを搭載することも公式サイトでは明示されています。さらにゾディアックは、ユーザーがやりとりをする仕組みであるUIをサービスによって得られるUX、アルゴリズムをシンプルにし、トレーディング用のAPI、365日24時間体制のカスタマーサポートを備えた取引所を構築しようとしています。
更にゾディアックはマーケティング面ではアフィリエイトプログラムのサポート、100名のオンライン営業員の確保、300万人の既存顧客を有する強みもあります。ゾディアックの開発面でも仮想通貨や現実の法定通貨の流動性を確保し、新しいトークンにおける他との差別化、世界各国の法律に合わせたライセンス取得も目指すようです。ゾディアックの今後の展開では日本でのライセンス取得(金融庁への届け出、登録)もあるでしょう。ゾディアックがこのようなサービスが提供できるのはビットトレックス以外にも強力なパートナー企業がいるからです。
仮想通貨取引所ゾディアックのパートナー企業
ここからはゾディアックのパートナー企業について解説していきます。ゾディアックのパートナー企業は先に紹介したビットトレクス、Invest.com(インベストドットコム)、CoinTree(コインツリー)、Singurariteams(シングラリチーム)の4つの企業となっています。それぞれの特徴を簡単に紹介します。
まず、ビットトレックスはもはや説明不要かもしれませんが世界でも大手の仮想通貨取引所でアメリカに拠点を置く取引所になります。2017年の年間収益は6億ドルにものぼり規模の大きさは数字でも立証されています。収益率も85%、1日の取引額は5億ドルを超えるような取引所です。単純な計算で1日550億円規模の取引がなされている計算です。大規模取引所が関係するのはゾディアックの大きな強みです。
それから、インベストドットコムはオンライン金融プロバイダーサービスを提供する企業でゾディアックではマーケティング機能やUI作成の知識、コンプライアンス要件管理を担当します。コインツリーはイスラエルに拠点を置くクラウドファンディングやコンサルティングを行う企業でゾディアックではICO開発の支援をメインに担当しています。
シングリラチームは民間仮想通貨ファンドで様々な技術をベースにした企業開発に焦点を当てている企業です。2015年と2016年にはイスラエルで最も活動的なファンドとし表彰された経歴を誇ります。
このように各分野の第一人者とも言える企業が手を組んで開発を進めているのがゾディアックです。今はまだゾディアックのアカウント登録、口座開設はできませんが公式サイトにはメールアドレスが登録できるようになっています。何か最新の情報が更新されると通知が届くようですから。ゾディアックに登録してみるのもいいでしょう。
仮想通貨取引所ゾディアックの独自トークンについて
ゾディアックはICOによる資金調達を行い、「ZDC」というトークンをイーサリアムベースのERC20により発行しています。発行上限は10億枚となり50%はICO、40%は設立チーム、10%をエンジェル投資家(創業間もない企業に投資する裕福な個人)に配分しています。ゾディアックの公式サイトでZDCを購入する段取りは踏めないので、ゾディアックに一般の投資家が購入するとなれば取引所が開設されてからの可能性が高いです。
ゾディアックにはバイナンス が行なっているようなトークンを使った手数料割引(20%)もあり、一定量を保有しているユーザーはゾディアックのプレミアム機能を使うこともできます。ゾディアックのプレミアム機能の内容に関しての詳細は公表されていませんが各種優遇や今後の将来性を考えるとZDCの保有はゾディアックユーザにとっては不可欠になるでしょう。