取引所から取引所にビットコインを送ったり、または個人間でビットコインを送金したりする際、予想以上に時間がかかっていると、ビットコインアドレスは間違っていないか、手順は間違っていなかったか不安になる場合があります。ビットコインなど仮想通貨の送金は銀行間の送金とは仕組みが違います。システムを知ることでなぜ遅れているのか、早くビットコインを送るための対処法などを知り、遅延しても慌てないように対処していきましょう。

ビットコインを送金する仕組みとは?

ビットコインの送金時間と手数料を比較所有しているビットコインを送金するのは、銀行で言うところの他の口座へ送金することです。口座にあるビットコインを、送り先のビットコインアドレスに送付します。そのビットコインアドレスが銀行で言うところの口座番号になります。
・「購入した取引所の口座」から「ウォレット」へ送金
・「購入した取引所の口座」から「別の取引所の口座」へ送金
・個人間のビットコインの送金など
上記の2点が最も多く、基本的に送金する場合のケースです。

ではビットコインの送金時には何が行われているのでしょうか?ビットコインの送金の際には何が行われているのか仕組みを知っておくだけで、時間がかかる理由にも少しは納得できるかもしれません。ビットコインを別のウォレットへ送金すると、「暗号文と公開鍵の作成」「送金リクエストの検証」「ノードによるブロックの検証」「プルーフ・オブ・ワーク」というものが行われます。

その上、トレードが正当なものか承認する作業があり、それをマイニングと呼びます。マイニングを行なっている人はマイナーと呼ばれ、ビットコインのトレードを承認する作業を行う代わりに報酬として新規発行されたビットコインを少額受け取ることができます。また送金の際に手数料があるのも、承認作業を第三者の立場として行ってくれているマイナーへの手数料となります。これらの作業を全て完了して初めてビットコインの送金が完了するので、ネットワークの混雑状況によって、掛かってくる時間に差が出てくる場合もあります。ちなみにビットコインの場合は約10分かかります。

承認作業とはビットコインのマイニングと上記で説明しましたが、何故ビットコインのトレードには承認作業が必要なのか、疑問になった人のためにご説明します。ビットコインで売買(ウィレットからウォレットに移す)されると、ビットコインの売買履歴を1つのブロックにまとめて記録し、ネットワーク上に分散して保存しています。そのシステムを「ブロックチェーン」と呼びます。これは画期的なシステムで、ブロックは数珠繋がりのように、チェーンに繋がっていくのでデータ変更や改ざんが不可能と言われています。

例えば、「AさんからBさんに1BTC送金」という売買データがビットコインのブロックチェーンという台帳に書き込まれるようなイメージです。書き込まれるには、その交換が正しいと承認するための「マイニング」が必要になります。マイニングは第三者に行われ、これが銀行など中央集権が必要ない理由の1つでもあります。トレードは暗号化されているので、ネットワークに繋がったコンピューターで計算されることで承認されます。この承認作業をしている人たちをマイナーと呼びます。このマイナーは世界中に存在しますが、世界的にビットコインの売買量が増加し、マイニングに時間がかかっているとも言われています。

承認作業は何回か行われている

承認作業は取引所によって行われる回数が違ってきます。承認作業に関して知っておくべき基本的なポイントとしては以下です。

①承認作業は複数回行われる
②多くて6回の承認をされる取引所もある
③1段階の承認には約10分かかる

承認作業が複数回行われる理由は、ブロックのチェーンが改ざんされにくくなるメリットでもあります。取引の確実性を確保するためには、基本的には6回の承認をとる必要があるとされています。ちなみに取引所「zaif」は6回が基本となっています。コインチェックとビットバンクは通常3回になっています。3回の承認は基本的に30分ぐらいと覚えておくといいでしょう。したがって30分は待たされることになります。

追加手数料を支払うことで承認回数を0回にすることも可能です。しかし0回はセキュリティ上、安全面が心配されるのであまりおすすめしません。どこの取引所も取引(トランザクション)の承認回数を表示しているので、確認してみるといいでしょう。

送金にかかる時間と送金手数料の比較

銀行とは違い、24時間いつでも送ることができますし、仲介を必要としないP2Pのシステムによって手数料が安く済みます。取引所によって多少違いますが、ビットフライヤーからビットコインを送金する際の手数料は、0.0004BTCです。

①コインチェックは0.0005BTC
②Zaifは0.0001BTC
③BITPOINT無料

となっています。取引所によってですが、送付する際、送金手数料がいくらなのか表示されます。またこれも取引所によって異なりますが、送金時間を短縮するための課金のようなシステムもあります。ビットフライヤーなら「優先度」という欄があり、手数料を上乗せすることで送金時間が短縮されます。コインチェックにも「高速入金」というものがあり「通常なら約30分かかりますが、0.002BTCを支払うことで、0 confirmations(認証作業)でも入金することが可能」とあります。

このように手数料が現金の送金や振込より安く、いつでも送金できますが、ビットコインは送金時間が長いと言われています。ビットコインの送金時間は基本的に10〜30分ですが、最長で数日かかってしまうこともあります。ビットコインの送金時間が最短でも10分かかる理由は、マイニングと呼ばれる認証作業が10分に1回行われるからです。しかも10分以上または数日かかってしまう場合もあります。

何故、10分以上時間がかかってしまうのかというと、ビットコインのスケーラビリティ(ビットコイン取引の処理能力)に問題が出てきたことと、急激なビットコインの売買量の増加で、ブロックチェーンの承認が追いついていと言われています。マイニングがされ始めた初期は、マイナーにもまだ競争相手が少なく、また暗号レベルも今ほど高くなかったので、マイナーにとって有利な環境でした。家庭用のノートパソコンでもマイニングできるほどでした。しかしマイナー人口が増え、暗号レベルも高くなるとコンピューターに投資しなくてはならず、それと共に電気代が高額になったりと、とても個人では参入できない分野になりました。

その結果、マイナーは淘汰されその数を減らし、現在ではマイナーを請け負う業者が決まってきていることと、仮想通貨の急激な普及でマイナーが足りないと言われています。それでも、あまりにも時間がかかると、ちゃんと送金されているのか心配にもなります。特に、大きな金額を取引所からウォレットに移した際は、時間がかかっていると送れているのか不安にもなります。

なかなか送金されない時の対処法は?

ビットコインの送金についての遅延理由や対処法を実際にリサーチ送金時間に10分〜30分、混んでいる時は数日かかってしまう場合もあり、あまりにも時間がかかっている場合はアドレスを間違えずに送っているかどうか、取引履歴で確認してみてください。もし間違っていた場合、取引が完了する前ならキャンセルができます。取引所間の場合、手数料を増額することで、早く送れるようにもなります。例えばコインチェックには0.002BTC支払うことで高速入金ができます。

また取引所からの送金なら手数料が決まっていますが、個人間での取引で独自にウォレットから送金する場合、手数料をケチってしまうと全く承認作業が進まないケースもあるので注意が必要です。

なお送金手数料がゼロの取引所が、ビットポイントです。手数料がゼロなのはビットポイントが代わりに負担しているからです。ビットポイントも上場している大手の取引所なので、ゼロだからといって不安になることもありません。

これから承認時間は短縮するのか?

送金時間に最短で10分、最長で数日かかってしまうビットコインの送金ですが、これからも時間がかかってしまうのかは気になるところです。実店舗でもビットコインで支払うことが可能になってきましたが、レジの前で10〜30分も待つのは酷です。現在この処理能力問題を解決するために「Segwit」という取引サイズを圧縮し、取引速度を早めるシステムの導入を行なっています。将来的にはもっと使い勝手の良い送金方法になるかもしれません。
ビットコインの処理能力を拡大するために、2017年8月1日にビットコインからビットコインキャッシュという暗号通貨が分裂しました。またこれからSegwitが本格的に導入されれば、今以上に早く送金できるようになるでしょう。しかし11月に分裂予定だったSegwit2xが延期になったので、スケーラビリティの問題はまだこれから議論されるそうです。