Kraken(クラーケン)という仮想通貨取引所は、2014年という初期から日本での仮想通貨取引サービスを開始していた老舗の取引所です。このKraken(クラーケン)が、2018年6月末までにすべてのサービスを停止すると発表したため、残念だと感じた人も多かったのではないでしょうか。セキュリティ面で、特に高い評価を受けていたKraken(クラーケン)はどのような仮想通貨の取引所であったのか、詳しく見ていきましょう。

Kraken(クラーケン)はサンフランシスコに本社がある仮想通貨取引所

Kraken(クラーケン)は2011年よりサンフランシスコに本社を構えており、日本では2014年10月30日に営業を開始した仮想通貨の取引所です。クラーケンは、特にセキュリティ面に強く、サポートがきめ細かく、信頼を重視している取引所であるという評価を受けています。特に、過去に一度もサイバー攻撃にあったことがなく、セキュリティ面では非常に信頼性が高いことは、世界的に認められている仮想通貨取引所です。

また、日本で仮想通貨取引所を運営している時は、日本円以外に、ドルなどの通貨も受け付けていました。日本から外貨で入金するためには、クラーケンではかなりの手数料がかかったようですが、様々な法定通貨の利用が可能だったということから見ても、他の仮想通貨取引所とは一味違う、国際色豊かな取引所だったということがわかります。

Kraken(クラーケン)の魅力は、取り扱いアルトコインの種類の多さ

Kraken(クラーケン)が取り扱っていたアルトコインは、イーサ(ETH)、イーサクラシック(ETC)、EOS(EOS)、グノーシス(GNO)、イコノミ(ICO)、ライトコイン(LTC)、メロン(MLN)、オーガー(REP)、テザー(USDT)、ドージコイン(XDG)、ルーメン(XLM)、リップル(XRP)、モネロ(XMN)、ジーキャッシュ(ZEC)など、日本の他の仮想通貨取引所では取引できない、クラーケンならではの仮想通貨も多く含まれていました。

豊富な種類のアルトコインを取引できることがクラーケンを利用する大きなメリットとなっていましたのですが、クラーケンが撤退してしまった今は、これらのコインは海外の仮想通貨取引所でしか購入するしか方法がなくなってしまいました。

海外の仮想通貨取引所は、一度慣れてしまえば簡単ですが、海外の取引所に口座を作り、実際に資金を送金することに対して「きちんと着金するのか」「取引所内の口座の資産がきちんと保全されるのか」など、不安を覚える人もいます。クラーケンであれば、海外の仮想通貨取引所でありながら、日本にも子会社があり、日本語にも対応していたので、日本人にとっては非常に利用しやすい「海外の仮想通貨取引所であった」と言えるでしょう。

クラーケンにように取り扱いコインが多い方が、ユーザーの選択肢も広がって投資のチャンスは多くなるのですが、現状では、日本の仮想通貨取引所で売買できる通貨は、約10種類ほどにとどまっています。

世界を見ると、千種類の仮想通貨が存在しますので、クラーケンのように、少しでも取り扱い通貨が多い仮想通貨取引所が生まれてほしいものです。

Kraken(クラーケン)はマウントゴックスの破産整理に協力

Kraken(クラーケン)は、破たんしたマウントゴックスの支援会社として、被害者を救済するために長い間尽力してくれている取引所でもあります。

マウントゴックスが破たんした時には、投資していたビットコインが手元に戻らなくなり、多くの被害者が出ましたが、クラーケンはマウントゴックスの破産整理に協力しており、社会的信用や高い技術力が、当時から評価されていたということがわかりますね。

そのクラーケンが日本から撤退してしまったことは、やはり残念と感じるユーザーが多かったようです。今仮想通貨に投資をしている人の中には、マウントゴックス事件から長年仮想通貨を買い続けている人も多く、そういった人達は、クラーケンのことをとてもよく知っており、クラーケンはとても良い取引所だったと高い評価をしています。

Kraken(クラーケン)が日本市場から撤退した理由とは?

日本市場から撤退した仮想通貨取引所クラーケンKraken(クラーケン)が日本から撤退した理由としては、費用に対して収入が見合っていないことや、資金を日本ではなく、その他の地域に注力したいという方針変換が行われたからということです。日本では、仮想通貨取引所は金融庁の登録制となりましたが、はっきりと認可が得られない「みなし業者」のままで営業を続けてきたところも多く、クラーケンもそのうちの一つでした。

世界的に評価が高いクラーケンもみなし業者であったということで、金融庁から認可を受けるためのハードルがとても高かったということがわかります。ただ、クラーケンの場合は、セキュリティ問題はクリアしていたけれど、取り扱い通貨が多すぎたからという説もあります。コインチェックのXEM盗難事件で、みなし業者に対する風あたりも強くなり、クラーケンが仮想通貨取引所として運営を続けるには、徐々に採算が取れない状態になってしまったのかもしれません。

しかし、噂話の域を出ませんが、クラーケンの取り扱っていたコインが、国内の他の仮想通貨の取引所よりも圧倒的に多かったため、それを脅威と感じた他の取引所が、金融庁にネガティブキャンペーンを行って、クラーケンを追い出してしまったという一説もあります。その真偽のほどはわかりませんが、業界第一位を自称していたビットフライヤーを筆頭に、ビットバンクやザイフなど、国内の取引所の多くが業務改善命令を受けており、登録を受けた国内の取引所だからといって、良い取引所であるわけではないということが露呈してしまいました。

特にビットコインFXにおいて、注文が通らない、ストップロスが作動しなかった、注文を出してから執行されるまでに数分ものタイムラグがあるなど、システム上の問題により、ユーザーが大きな損失を出してしまった例も多く報告されており、投資家保護の観点から見ると、未だ非常に危険な状態であると言わざるを得ません。海外の仮想通貨取引所が日本に参入し、良い意味での競争が行われれば、国内の取引所においても、システムの改善や顧客本位の考え方が浸透していくのかもしれません。

金融庁はバイナンスの参入を拒否

日本は、仮想通貨に関しては先進国であると思われていました。2017年には他国に先駆けて仮想通貨法を施行しましたし、仮想通貨に対して理解がある国であると考えられてきました。

しかし、コインチェック事件があってから、日本は仮想通貨に対してより厳しい姿勢で臨むようになっており、ともすれば、仮想通貨の成長を妨げてしまっているのでは、と思うようなことも散見されます。投資家の保護を重視するあまり、仮想通貨市場へ必要以上の圧力をかけようとしているのかもしれません。

それが顕著にあらわれたのが、一番勢いがある仮想通貨の取引所と言われている「バイナンス」の日本進出問題でした。日本は、昔から金融面では世界に遅れをとっていると言われていましたが、仮想通貨の分野においては、世界の一歩先を行ける可能性がありました。
バイナンスが日本に本社を置けば、きっと仮想通貨の中心は日本になっていたでしょう。

しかし、金融庁はバイナンスのことを批判し、日本から追い出してしまいました。バイナンスはその後、地中海のマルタに本社を置いています。それをきっかけに、マルタ島では証券トークンの取引所の開設が発表されたり、仮想通貨の取引所「OKEx(オーケーエクスチェンジ)」がマルタ証券取引所との提携を発表しており、マルタは次世代の仮想通貨技術の中心となっていくような勢いがあります。日本は、大きなチャンスを逃してしまったと言わざるを得ません。

アメリカのクラーケンは、1600個を超える仮想通貨の上場を検討

2018年はじめから、仮想通貨市場は低迷していましたが、夏になり、良い兆しも見え始めています。今まで仮想通貨に投資できなかった「機関投資家」が参入するような兆しがみられ、大きな資金が流れ込むのではと期待されています。

それにタイミングを合わせたかのように、アメリカの大手仮想通貨取引所のコインベースがカルダノ(ADA)、ベーシック・アテンション・トークン(BAT)、ステラルーメンズ(XLM)、ジーキャッシュ (ZEC) 、ゼロエックス(ZRX)の上場を検討していることを発表しました。これらの通貨は、「今後上場するかもしれない」という期待から買われ、価格が大きく上昇しています。

また、クラーケンも「コインマーケットキャップに掲載されているすべてのデジタル資産を含めた、全1600種類以上の銘柄を追加する検討に入っている」ということを発表しました。1600種類というと、業界最大級の取り扱い数です。実際にそれほど多くの通貨が上場すれば、仮想通貨市場への影響力が大きくなると考えられています。

このように、クラーケンは日本から撤退してしまいましたが、高度のセキュリティ、顧客からの信頼が厚さなど、是非日本で運営を続けてほしかった仮想通貨取引所であると言えます。おそらく金融庁に登録されるためのハードルの高さから、日本での営業を断念したと思われますが、クラーケンは「今後再び日本に戻る可能性もある」と発言してくれているようなので、その時を楽しみに待ちたいですね。